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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
巨大人工浮島《ギガフロート》編
160/202

巨大人工浮島《ギガフロート》の兵士として2

 中枢全体が見える崖上に辿り着き現在の状況を確認していく。


「ウルフ。予定時間ではもう中枢に侵入している時間だが・・・・・・」


「BOWを導入しているみたいだ。ほれ見ろ」


 フォックスは双眼鏡を受け取り戦場を見渡すとなるほどと呟きながら、次の行動を提案する。


「こちら側にはいない。装甲車はこの場で待機。数人で中へと侵入という形でいこう」


 ウルフ隊長はその提案を受け取り、侵入部隊を編成する。


「シラギとウェイバーはいちど後退し武器と衣服を交換して後退する兵として移動しろ」


 後退指示を出していない可能性が高いのにその判断は大丈夫なのか・・・・・・?


「先程無線傍受の際に『敵部隊を迎撃した。本隊へいちど合流する』と伝えたらいい感じにルートデータ貰えましたよー」


「とのことだ。俺も行くから離れて行動するなよ」


 俺たちが戦場を見張っている間に他のチームが衣服と武器を持ってきており、俺たちはそれを身に纏った。


「側で見られない限りは問題はない。行くぞ」


 崖上から滑るように降りていき施設へとバレないようにする為に隠れながら進んでいく。


 BOWは本隊へ攻撃を仕掛けているのが見える。だが今は合流は出来ない。


 中へと侵入した俺たちはそのあまりにも静かな空間に驚きを隠せない。


「こちらウルフ。店長みせながから受けたミッションを開始する」


「隊長?そんなの聞いてないっすよ?」


「侵入が間に合った場合の作戦だからな。元は我々が行う作戦ではなかった」


 ある人間を保護するのが目的らしい。あのBOWは資料では見たことないから、それ関係か?


「今回の作戦はその人間からの依頼だ。本隊が到着していないなら我々が行う」


 だとするなら大体の場所とかも聞かされているんだろうか?


 施設内を進んでいくが中はもぬけの殻と言わんばかりに人がいない。全て出払っているのか?


 アフリカとしても重要な拠点な筈だが、静か過ぎる・・・・・・こんな大規模施設を放棄したのか?ウェイバー、シラギ。中枢部に向かい状況を把握する」


 俺たちは部屋を確認する事もなくその場所へ向かうと、あったのはいくつかのコードが繋がれたノートパソコンと情報処理システムを身体に搭載したBOWのみだった。


「酷い・・・・・・」


「いくら兵器とはいえ雑な扱いをしていいほど安いものじゃないだろうに・・・・・・」


 ふたりの呟きは違ったものの困惑した表情には変わりなかった。


『どうしますか?』


「・・・・・・命の冒涜ではあるが、可能な限りデータを採取する。ここまで人がいないとなると、依頼者もここにはいないと思った方がいい」


 隊長はBOWの写真を撮りながら血液の採取を行なっていく。俺たちはそれ以外であるパソコンや部屋に散らばっている資料を集めていると砲撃が直撃したのか、施設内が大きく揺れた。


「味方の攻撃ならこう届くまでには進行出来たか・・・・・・よし、ダウンロード終了だ。お前らずらかるぞ!」


 隊長保存用の箱にそれらを全て詰めるとBOWたちを撃ち抜いていく。


「これで少しでも苦しみから解放されることを願って」


 供養と呼べるものではなかったが、きっとBOWたちも多少なりとも良いところに行けたらいいなと思いながら俺は手を合わせる。


 資料をあるだけ集め終わった俺たちは銃を手に取り元来た道を戻り走る。


 すると先程の揺れで扉が緩んだのか、開いており地下への道があった。


 そちらには人の気配が強く残っている。もしかしたらいるかもしれない。


『隊長。今過ぎた場所が地下へと繋がっているようで、気配も感じます』


「・・・・・・分かった。向かうぞ」


 階段を降りていくと、慌ただしく行動している研究者たちがいた。


「一度後退したら何の騒ぎですこれ?」


 隊長は敵の一兵士のように近くの研究員に尋ねると、足を止めぬまま吐き出すように単語を発した。


「逃げるんだよ!あんたもそんなところで足を止めてないで逃げるぞ!」


 やはり放棄するのか。ならこのゴタゴタ中に見つければ何の問題もなく連れていくことは出来そうだ。


 俺たちは逃げる人々と同じように走りながら一部屋一部屋の扉を開けて確認を行っていく。


 しかしそこで砲弾が貫通して施設内の人間たちは吹き飛び直撃した場所は瓦礫で埋もれてしまった。


『ゲホッ!ゲホッ!隊長ご無事ですか?』


『なんとかな・・・・・・お前らも無事か?』


「なんとか。これでは合流は難しいかと・・・・・・いちど自分たちはこちら側に残った研究員と共に脱出します」


『ならこちらは元々撤退ルートだった上から脱出する。外に出たら迂回してでも崖上に戻ってこい』


 その通信を最後に無線は調子が悪くなったため、俺たちは研究員たちを起こしながら脱出地点へと向かった。

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