最後の施設へ3
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「ホントにキュウは人になったんだね・・・・・・」
コーヒーを片手にキュウの行動をモニターしているレッドフィールド女史の呟きにシラヌイは尋ねる。
「元々あいつは人だろ?少しヒナさんに執着しがちな所はあるけど」
「見た目はね。けど昔はそうじゃなかった。ヒナちゃんを守ることが最優先で、本人がキュウに恐怖を覚えることもあったぐらいだもん」
「・・・・・・」
「ん、やっぱり甘い方がいいや。どうせカフェインは入ってるから関係ないし」
今も最優先だがと思ったが、守護対象が恐怖を覚えるほどということは、監禁等のレベルまであったのだろうか?
「今はどうなのさ?」
「ヒナさん優先なのは変わってないが、彼女が問題を起こせば叱りもする。ここ最近は直接会ってはいないが・・・・・・」
「何かあったの?」
「とある人を助ける為に船と運命を共にしたことになってる」
「ああなるほど・・・・・・」
レッドフィールドはそれ以上のことは聞かずにシラヌイ自身のことを尋ねると、何から話せばというような表情を浮かべると、簡略的に説明した。
「———というわけで、私はキュウのところに身を寄せているわけだ」
「へえーそうなんだ。ありがとね」
扉にこんこんとノック音が鳴る。
「どうぞー」
「女史。お元気ですか?」
「うん。とっても元気。彼らも良い感じだけど思ったより変化が起きるの遅いね」
「まだ覚醒する方法が安定していないのがやはり痛いですね。ストレスが原因だというのは分かってもどのようなストレスが原因かどうかまでは分かっていない」
「とは言っても子供を使うのはねえ」
「培養型ではどうしてもストレスの点が発見出来ない。それに今回使用している子供全て両親からの許可を頂いております。その分の手当ても」
つまりは売られたということか。シラヌイはレッドフィールドへ殺意の視線を飛ばすが、分かり切っていたとばかりに無視すると、話を続ける。
「理解はしてる。兵器として使うにしても死んだら終わりでしょ?そうなる前にあれらを停止させるのは———」
モニターからサイレンのような音が鳴り響く。レッドフィールドは話を打ち切るとすぐにモニターに視線を移し、実験施設内に暴徒鎮圧剤を散布する。
「BOWである以上効き目がないかもしれない。君はマニュアル通りにシェルターに逃げて」
「女史は!?」
「シェルター内からは散布出来ない。それにボクには護衛もいるしね」
研究員は悩む仕草を見せたが、やはり自分の命には変えられない。謝罪の言葉を言うとシェルターへと向かっていった。
「完全にBOW化してなければ良いんだけど、最悪な状況を想定しないとね。シラヌイさん、これを」
戸棚からオプションパーツの取り付けた突撃銃を取り出すとそれをシラヌイに投げ渡す。
「こちらに攻撃をしてくる者のみに限定して発砲して」
「・・・・・・見分ける方法は?」
「今回の実験に使用した物は眼球が燃えたように赤くなるものだからそこに注意して。髪の毛で目が見えない場合も考えられるから、スコープで逐一確認して」
レッドフィールドも同型の物を持つと施設内への散布量を追加していく。