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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
修也の周りは危険ばかりだ
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夜の学校2

「はぁはぁ痛っ!」


 痛みが鈍くなることはもうないのだろうか?1日に分泌される量に制限があったりするのなら、もうこれからは攻撃を貰えない。貰うとしても動けるものにしなければならない。先程のような引っ張り攻撃などだろうか。


 扉の向こう側から聞こえる音は扉に触れるものではなく、足音だけだった。


 しかし近づくわけでない。化け物は大きな音と視界に入らないと反応しないようだ。


「(前は姿が見えてなくても窓を触っていたのに、おいらのとは別タイプなのか?)」


 足音が去っていく。ステルスゲームの警戒状態が解除された時のようだ。


 緊張が途切れるのと同時に呼吸が荒くなる。どれだけ教室の空気を取り込んでも頭の重みがなくならなず、酷くなっていくばかりだ。


 教室のがダメならと窓側へと移動しようとしたが、立ち上がろうにも力が入らない。這いずるように動くのであれば問題なく行けそうだが。


 這いずりながら窓に近づき教室の半分ほど行ったところで先程までいた扉がX字状に切り裂かれ4つの固形物へと変化させた。


「あれだけの化け物を展開し、その間に脱走つもりだったみたいだね。ただのゲーム好きな極東連合の子供だと思ってたよ」


「その声・・・・・・贇か?」


 外の光が少年を照らし出し、贇は片刃剣を左手で持って教室へと入っていく。


「さあ。今まで殺してきた人々の数を今ここで答えられるかい?」


「なんの話———」


 草原を駆け抜けるかまいたちのように修也に右腕を切り裂く。


「えっ・・・・・・?」


 思考が追いつかず、贇が窓側に来てから数秒後に振り向き、そして切り裂かれた右腕の衝撃でうつ伏せから仰向けへと変えられる。


「これだけ学校に配置出来たんだ。計算してないと普通の人たちに気づかれる。答えて」


「あの化け物に襲われたのにどうやったらあれをおいらが操れるのさ!?」


 手に持った片刃剣で血が溢れ出す右腕の爪を器用に1枚剥ぎ落とす。


「痛みで狂われても困るからね。早く言えばもう切りはしない。さあ」


「し、知らない。成分が何かさえまともに知らない人に作れるわけないでしょうが!」


 2枚目が剥がれる。


「んっあああ!・・・・・・信じてよぉ。知らないんだよぉ」


 修也は左手で顔を隠しながら涙を流す。しかし敵と認識した贇はお構いなしに3枚目、4枚目と続いていく。


「意外に我慢強いんだ。極東連合の人々はみんなそうなのかい?」


「ひぐっ・・・・・・!うぅぅぅぅ」


 顔を覆っている左手を蹴ると先程と同じように剥ぎ始める。


 手の爪は全て剥がされ次はどの部位を剥ぐのかと贇が考えていた時、廊下側から気配を感じ取り顔を上げる。


「誰っ!」


『状況証拠だけで判断するなんてお前らしくもない。それに拷問で出た情報は基本的に間違いばかりだって知ってるだろ?』


 女声の機械音声が月明かりに照らされた青年の喉から聞こえた。


「生きてたんだね・・・・・・」


『温和がそちらに行ったと思うから、生きていたって言うのは変な気がするが』


「これは君には関係ない話でしょ?それに君が来たってことはここは極東連合関係だね。だからこの子から聞き出そうとしてるんだ」


 修也は話について行けていない以前に、言葉を理解出来ていない。何故なら使用している言語が修也には理解出来るものではないからである。


『その少年は剣以外の傷もあるようだし少なくともここの担当ではないんじゃないか?』


「どっちにしろ確保はする。邪魔するなら許さないよ」


 青年はため息を吐くと腰に手を伸ばして上部が開いた拳銃を取り出してそれを贇へと向ける。


『言葉で理解してもらえないならこうするしかない。その子を離せ』


「へえ・・・・・・僕に喧嘩を吹っかけるんだ」


 贇は修也から手を離して青年に刃を向ける。


「君の喧嘩乗ってあげるよ。その代わりに僕が勝ったら君が連れ去ったJPPとマリーメイアの座標を教えて貰うよ」


『・・・・・・・・・・・・分かった。良いだろう。2人の命を賭けよう』


「やったね」


 修也は贇から解放されるものの、動けないまま仰向けに倒れたまま理解出来ない言葉を聞くことしか出来なかった。


 青年は修也に近づくとポケットに手を伸ばして中にあった輸血パックを取り出してそれを輸血する。


『イン。場所は廊下でいいな?教室内はこの子に危険が及ぶ』


「いいよ」


 贇と青年は廊下へと向かっていくところで贇は修也の方を向き修也に理解出来る言葉で呟く。


「この人に勝ったら今度は君だからね」


 そう言うと、教室には修也以外の生物はいなくなった。

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