夜の学校
刹那と合流し情報交換を行いつつ、次の行動を模索する。
「ここが今回の化け物の支部なのかもしれない。数はさっきよりも増える感じかな?」
セイエイは弾倉を入れ替えながら、予備の弾倉を即座に抜けるようにポーチに納めていく。
「けどセイエイさん」
「んな?なんだ?」
「わいユウスケと同じようになってるはずなのにこの傷で済んでるのはなんでなんですかね?」
「血がドロドロで不味かったんじゃね?知らんけど」
「無責任な・・・・・・」
「責任も何もあそこで襲われたのは自業自得だろ?目標を追ってたらお前さんらがいたから運良く助かったが」
「猛省してます」
「それでいい」
ここからは身を隠せる物がない。3人は正門を盾に校舎からこちらを狙っているものがいないから窓1つ1つを確認していく。
「二階はどこも開いてないです」
「三階もだ。刹那の方はどうだ?」
「来る前から1人で見張っていたのよ?もう3回やって結果は変わらなかったわ」
セイエイは携帯で時間を見ると幾らかの文字を打ち込み校舎へ向かって走り出した。
特に何もなく校舎にたどり着くと上から足音が聞こえてきた。
「上にいる感じか。いくぞ2人とも」
二階に上がると変わらず足音は聞こえるものの、人影は見えない。
「教室内みたいだ。警戒を———」
ピシューという鳥が風を切るような音を立てながら、別校舎と繋ぐ廊下側から腕の長い化け物がセイエイに向けてその長い腕を伸ばしていた。
警戒はしていた。だが腕の長さがセイエイと刹那の予想を越えていたのだ。
「・・・・・・!!!!!」
修也は運良くその方向を見ていたことが幸いし、2人よりも早く動けた。説明しても間に合わないと判断した修也はセイエイを突き飛ばして自分がそれに巻き込まれた。
「修也君・・・・・・!」
「止まるまで待つしかない!今撃ったら修也がどうなるか分からないか!」
刹那は銃を構えるものの、発砲すれば壁の柱に骨髄を損傷し、先程の怪我も相まって致命傷になる可能性があった。
2人は勢いが収まった所で腕の長い化け物の撃ち抜き修也を解放した。
しかし遠く離れたしまったことと銃声のせいで、化け物たちが目を覚ましたときのように教室内から姿を現した。
「くっ・・・・・・修也なんとか耐えてくれ!」
直進しようにも数が多く通ることが出来そうにない。逆に迂回した方が早いまであるのではないだろうか。
2人がそう判断し迂回を始めた頃。修也はタイルに叩きつけられたことで、元々傷のあった右手のガラス破片が更に深々と刺さり、痛みが増していく。
その場で腕を抑えたかったが、まだ機能停止していない腕の長い化け物が側にいる。
「銃声で出てない教室・・・・・・あった!」
運良く化け物のいない教室が側にあり、修也はそこに滑り込むように教室へと潜り込んだ。