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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
修也の周りは危険ばかりだ
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恐怖体験

 気配に対して一定距離を空けて追っていく。その気配が誰か分からない以上、しょうがない。ただ少女のようなものが見えただけというものでだ。


「あ、歩きすぎて乳酸が・・・・・・」


「俺だって・・・・・・溜まってきてんですけど?」


 互いに睨み合うが特に争うこともなく気配を追い続ける。


 200、300メートルほど歩いたところで気配の移動方向が道からズレていく。修也はそれをユウスケに耳打ちするとズレた付近の建物の出入り口に手を伸ばす。


「ここは空いてないか・・・・・・そっちはどう?」


「ダメだな。俺たちが追ってることに分かって鍵でも閉めたかねぇ?」


 しかしこちらに気づいたような気配は感じなかった上、気づいているならわざわざ鍵なんて閉めないだろう。普通に管理が行き届いているだけだ。


「虱潰しするしかねえですなぁ。おいらが反対側やるから頼むよ」


「ういーーー」


 手分けして鍵のかかっていないビルを探していく。


 するとユウスケ側の5つめのビルの鍵が外れており、それを修也に伝える。


 2人は特に会話もなく静かに中に入っていく。同じ気配かどうか分からないが気配は続いている。


 階段を上がり僅かに扉が開いている階に行くと、音を立てないように静かに開けて中へと入る。


 逆光でどのような姿だったかは分からない。しかし何かを抱き抱えており窓ガラスを割って外へと飛び出していった。


「何か持ってた?」


「分からん。わざわざなんで窓割って・・・・・・」


 修也はそれを追うように窓側に行き飛び出したものが何かを探す。


 方向的に逆光はなくなり確認が出来る。それは化け物で抱えているものはスカートを履いているため少女と思われる。


「いや、そういう趣味の男性かも・・・・・・ってそんなの関係ないでしょわい」


「どっちに行った?」


 ユウスケは階段を降りようと扉に手をかけながら修也に方向を尋ねるとすぐにそれを伝える。


 階段まで向かっていたらユウスケとほぼ時間が変わらないと判断した修也は割れた窓から飛び降りる。


 運良く———汚いから運がいいとは言わずに不幸中の幸いというべきか———近くにゴミ袋がまとめられた場所があり修也はそこに飛び降りた。


「くっ・・・・・・なんだぁこれ?中身がバラバラじゃないか」


 ゴミ袋に入っているものは一般的なものに加え普通なら入れるようなものではない金属パイプやガラスで作られた器物だった。


 当然勢いでガラスは破損し袋を破ると修也の身体に突き刺さる。


 ゴミ袋から起き上がると、廃ビルの間からぞろぞろと化け物が姿を現し始めていた。


「や、やべ・・・・・・」


 これだけの数を見つからずに逃げる事は出来ないと判断した修也は、ゴミ袋の中から金属パイプを取り出す。


 ちょうどそこでユウスケがビルから出ようとしたところで、中にいた化け物に首元を絞められる。


「がっ・・・・・・!?」


「ユウスケ・・・・・・!」


 しまったと修也は自分に後悔する。化け物がいるのは何もユウスケのいる場所だけではないのだ。複数の化け物に見つかってしまう。


 もう逃げれないと悟った修也はまずはユウスケの首を絞める化け物の腕を殴り解放する。


「ユウスケ!大丈夫問題ないか!?」


「ゲホッゲホッ!!!!!た、助かった」


 なんとか間に合ったようで呼吸を整えていく。


 もうこうなってしまうと迎撃するしかない為、ユウスケに自身が持っている金属パイプを投げ渡す。


「取り敢えず前にいるやつだけ倒して突破しまっせ?行けるか?」


「俺は部活入ってるんだぜ?体力は任せろ」


 扉を開けると去っていった化け物の方向へと走り出す。


 何体かの化け物を殴り飛ばす。が、数が多く処理しきれずに途中で背後から鈍器で殴られたような感覚が修也を襲い、別の廃ビルに吹き飛ばされる。


 吹き飛ばされて歪む視界の中自分を吹き飛ばした何かを探すと、自身が先ほどまでいた場所に左腕が肥大化した化け物が立っていた。


「ユウスケは・・・・・・?」


 同じように攻撃を受けたのか、反対側の廃ビルに倒れ込んでいた。


 遠目では呼吸をしているか分からない。自然と心拍数が上がっていく。


 なんとか起き上がろうとするものの、ゴミ袋で刺さったガラス破片がそれを邪魔する。


 痛みで意識がそちらに向いてしまった。即座に腕長に意識を戻すも当然その判断は遅れて、追撃が修也を襲う。


「ぎっぐっ・・・・・・」


 ギシギシと首が絞め上げられる。視界が上がっていく。ダメだと思った時、完全に修也の視界は真っ暗になった。

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