悪気はない。態度は悪い
「かっぱぁあああ。芹に追われて面倒だったぜ」
「修也よー幼なじみの女子は大事にしろよ」
バックを適当な机に置いてぐでーと椅子に寄りかかって座る修也に対してセイエイは笑顔だが、ピキピキと額に線を入れるように注意を促す。
「どうしてです?」
「いつも世話になってるんだろ?家族と暮らしてて感謝の言葉が一切ない人に世話なんてしたいか?」
「うーむ・・・・・・しゃあないって諦めますかね」
「家族ならそれが出来るが、あくまでも他人だからな幼なじみは。そんな態度取られたら見捨てられるぜ?」
今まで気にしていなかったのか、その指摘を聞いた修也はその場で口に手を置きぶつぶつと呟くとセイエイの方を向く。
「おいら1人暮らし出来る人間じゃないですし、謝ってきます。それじゃあもし刹那さんが来たら帰ったって言ってください」
セイエイはおうさと手を振って修也を送る。修也は扉を閉めながらそれを見ると、下駄箱へと走っていく。
「まだ芹はいるかね・・・・・・?」
靴は既になく下校したようだ。
「んじゃまあ帰りますかおいらも」
帰宅すると、リビングの方から何やら音が聞こえる。ガチャガチャと音を立てていることから、誰かがゲームでもしているんだろうか?
「ただいまっと。んで何でユウスケがわいの家でやってんだ?その作品お前ん家にもあるだろ?」
「回線が悪いんだよ。自分の視点からだと問題ないんだけど、他人のやつと相性悪くてまともに出来たしねえ。最悪蹴られるし」
「回線を変えろ回線を」
「高層マンションにゃあ限界があんの!今度ゲーセン行ってやるからさ」
「そういう問題じゃなくてそれなら一言言ってから来いや!」
「んが!負けたわ・・・・・・お前さんは芹に言ってんのか?ちゃんとさ」
それを先程指摘されたばかりなので何も返せない。
「自分は良くて他人はダメ。そりゃあ道理が通らないと思わないか?まあいいけどさ。芹案件なら彼女市内の方に行ったぜ」
「あれま。わざわざ?」
「女の子だからな。服は多く持っている事に越した事はないでしょうよ」
ゲームを終えたユウスケは筐体をしまうと冷蔵庫から飲料水を取り出す。
「水ならいいよな?」
「ついでにおいらのも頼む」
ユウスケはへいへいと呟きながらコップに水を注ぐと食卓テーブルの上に置く。
「どうも」
水を喉に通すと部屋に戻り私服に着替えると、外に踏み出す。
「じゃあオレも帰るかー。付いてくわ」
「了解さねーカセット忘れないようにな」
ユウスケは荷物をまとめると、それを背負い2人で市内へと向かった。