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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
修也の周りは危険ばかりだ
134/202

学校にて2

セイエイのとなりに置いてあったうどんはこれでもかと積まれた量だった。


「この量・・・・・・特盛頼みましたね・・・」


「得々特盛だ。若いんだから食え。後金は後で頂戴するぞー」


「悪魔だぁ・・・」


食べることに意識を割くと夢中になってうどんにかぶりついていく。


「ジュルルルルル!!!!!」


「もっと静かに食べようぜ?」


「ジュルルルルル!!!!!」


「こりゃ怒ってるなあ。自分が悪いからなんも思わないけどさ」


意識をうどんに向けて話すこともせずに食べ続けたことで、山盛りにあった麺は汁が見えるほどまでに減り、そこで初めてふう・・・と息を吐いた。


「きっつ・・・セイエイさん次は攻めてただの特盛にして下さいよ?今回は食い切りますけど・・・」


「正直無理だろ思ってたけど、お前すごいな・・・」


「どうも・・・ってか自分が食えないと思ってるなら辞めて下さいよ・・・」


呆れた顔で麺に視線を戻すと大量の麺との戦いを続けた。


服越しからでもわかる程に腹部を膨らませつつも何とか食べきると、セイエイに金額を渡してすぐに食堂を後にする。


「おいらは教室に戻ってますんで」


「まじか・・・俺も帰るから一人にしないでくれー」


セイエイは異常な量を食べ切った修也に驚いたがすぐにそのあとを追うように自身の食器を片付けて空き教室に戻った。


教室に戻り昼食前と同じようにセイエイは資料に目を通し、修也も自分も読みたいと言うとセイエイが読み終わった分を目を通し始めた。

————————————————————————

BOW 006

通常型004の汎用性を捨て右腕部に集中させることで、近中距離の戦闘能力を向上させている。右腕部の肥大化に伴い四肢の縮小、特に左腕部が機能を無くし耐久性能の劣化を確認。

004や005と同時運用で真価を発揮すると思われる。

————————————————————————

「(見たことないけど、まだ実戦形式のデータは取れてなかったみたいだ)」


しかし資料内の写真を見ても近距離ならまだしも中距離に対応しているようには見えない。


次の資料に手を伸ばす。

————————————————————————

BOW 003

通常型004の作成開始後に開発が進められたが、完成がこちらが先に終了003に名称変更を行う。

004と比べて耐久性能は劣るものの再生能力及び戦闘能力はコスト面を除き上回っている。

製造方法も簡易的ではあるが効率には難があり、生きた生物に専用の液を注入し、その後一定のストレスを与える必要がある。

■■■に使用後発症するまでに1週間かかり、その上全ての感染者が発症するわけではない為、信頼性に欠ける点もある。

メリットしては発症以前の記憶を保持したままこの性能を与える事も可能であることも■■■と■■で立証済みである。

デメリットにもなりうるものの為使用には細心の注意を払い使用すること

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手が自然と震えてしまう。何かの容器でゼロから作られるならまだいい。しかしこれは生きているものから作り上げるものであった。


修也は歯をギリギリと鳴らす。自分たち以外を人間ではないとでも思わないと、こんなこと出来る訳がない。


巨大人工浮島(ギガフロート)が仮想敵だからなぁ。そうでもしないと勝てないし」


「なんでそんなこと知ってるんです?」


「そりゃなぁ近くに異国があるってことは仲が悪いって事だからな。仲が良ければわざわざ違う国にする必要はない」


「よく分からないですけど、分かりました」


「はっきり言うのは嫌いじゃないね」


資料を読みながら小さく笑う。普通の人にしか見えないが、どうしてこんな人が殺人を行なったと言われているのだろうと思っている修也だったが、芹がわざわざ忠告するぐらいなのだから噂になるようなことがあったのは事実なのかもしれないと思いながら、次の資料に手を伸ばそうとした時、誰かが教室へと入ってくる。


「お前たち授業中だぞ?サボって何してるんだ?」


入って来たのは生徒指導の先生だった。


「いや、えっとその・・・」


「刹那に頼まれたんっすよ。センセーそれに俺は例のことでみんなと授業は受けれないっすからね」


「セイエイ、君のことは重々承知だ。問題は手前の子だ。名前はなんだっけ?」


「こいつも同じ理由っす。そういうことで見逃して下さいよ」


「そうだなぁ・・・ってなるか!ボケ!手前の子を待ってる生徒がずっといるんだよ!流石に見ていられなくてな」


先生が外の誰かを呼ぶと、入って来たのは当然だが芹だった。


「昼食中だけだと思ってたけど・・・そういう訳っすか。なら戻りますよ。セイエイさん。今日は刹那さん来ませんでしたし、放課後行きますんでお願いしますね」


「しゃあねえ。今日はお開きにすっか。残りはまた後でな」


修也は頭を芹と共に下げると教室を後にし、自身の教室へと戻っていった。


「・・・・・・極東連合側の人間なのに巨大人工浮島(ギガフロート)が悪いって思わず、こっちが悪いって認識出来るってことは少なくとも、アレ関係ではないって事かもしれないなぁ」


そうぼやくと、次の資料に手を伸ばしていった。

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