修也の周りは化け物で危険ばかりだ2
小林———いや、そう呼んで欲しくないと本人は言ったので贇と自身の中でも言うようにしよう。
贇と別れた時には当然空は暗くなっていたが、低空を浮かぶ雲のおかげで足元が見えなくなる程ではなかった。
部活も終わったごろなので帰宅しても1人ぼっちということもないだろう。
珍しくゲームで勝ち越せたこともあり、自然と身体が軽くなっていく。疲れが吹き飛んだようだ。
「さっさと帰って家でも練習しないとなぁ」
バックを背負い帰路につく。
「早く帰れとは言われたけど、まだ太陽が沈んだだけなんだけどなぁ・・・」
普段ならば死に顔で歩く会社員の姿や学生を見るが、それらがゲーセンを出てから見ていない。
1人帰宅は何時ものことだが、他人が一切いない街灯のみの道を歩くのは滅多にと言っていいほどない。
「まっ、こんなもんか」
自宅の近くの公園内にある林からガサガサと物音が聞こえた。野良猫か犬がいたと思うが、ほかに音が無さすぎてそれに驚き声を上げてしまい尻餅をついてしまう。
「こんな事ぐらいで声あげるなんてわいもチキンだなぁ」
近くに落としたバックを拾い立ち上がると、更に大きな物音が林から鳴った。
「まだいるのか?飼う気もないしさっさと帰るか」
背後から変な気配を感じて後ろを振り返る。
林から出てきた犬か猫かと思ったが、そこにいたのは人型の何かだった。
「な、なんだ・・・?酔っ払いか?」
千鳥足でこちらに近づいてくる。街灯のみのせいでよく見えなかったが、やばいという事だけは理解出来た。
自然と後ずさりを始めて距離を置いていく。
「何ですか・・・?警察呼びますよ?」
一切反応がない。捕まってもいい覚悟があるのかそれとも通報される前に———というやつか。
逃げようと走り去ろうとしたが、何かにぶつかってしまう。
何にぶつかったのかその方向に視線を向けると、同じような千鳥足の人型が身体を揺らしていた。
「ひっ・・・」
丁度街灯がそれを照らしていた。その姿は見える肌全てが血に染まった———いや、肌の色が元々赤い何かだった。
背後にいたやつも同じものだろう。逃げられる場所が公園しかない。一瞬躊躇うが覚悟を決めて公園の中へと逃げてしまった。