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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
修也の周りは危険ばかりだ
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修也の周りは化け物で危険ばかりだ

今回から新章です。新キャラも前章のキャラも出てくる筈ですぞ

「本日未明に巨大人工浮島(ギガフロート)をつなぐフェリーの1つが沈没したとの報道がありました。この船に家族か知り合いが乗っていた生徒はお伝え下さいとのことです。そういうことで終わり閉廷!そんじゃ解散。最近物騒だから無所属はさっさと帰ること。部活生は終わり次第帰宅な」


子供の面倒に疲れたのか顔にシワを作り一部に白髪が生えていた教師は必要最低限の通知を行うとそそくさと教室を後にする。


生徒たちは自身の目的の場所にバラバラと別れていく。


そんな教室の中で机に伏せたまま寝ている少年の首元を、その少年の友人は掴みながら揺らして意識を身体に引き戻す。


「ほーれ。終わったぞー。目ー覚ませー」


身体が凝り固まっているのか、ポキポキと音が離れていても聞こえる程に鳴り友人は少し怯えたがいつも通りとそれを続ける。


「んなぁ・・・?」


「お前太陽が沈み始めるといつも寝るな。睡眠時間足りねえんじゃね?」


意識が戻ってきたのを確認すると、手を離して机に倒す。


「もうホームルームおわた?」


「終わったから起こしたんだよ。帰宅部はさっさと帰れってさ」


倒れた時に打ち付けたのか赤くなった顎をすりすりと触りながら身体を起こし友人と目を合わせる。


「いつもあのセンセ言ってんじゃんそれ」


「今日は特に、みたいだな」


椅子から立ち上がり荷物を手に取り肩にかけて友人と共に教室を後にする。


「しっかし、そのフェリーのやつが本当に起きてるんなら部活なんて行かせないでわいらみたいに帰らせるのが正しい判断では?と修也は訝しんだ」


「勝手に訝しんでろ。学校というが政府が決めたんだから、俺らはそれに従っていりゃいいだろ」


友人と正門で別れると水筒を忘れたことに気づきそれを取りに教室に戻る。


「放置し続けると汚れと匂いがこびりついて取れなくなっちまう」


太陽が沈み教室が真っ赤に染まっている中に見たことのない少年が窓の外を見ていた。


「誰だろ?気にしなくていいか」


水筒を手に取りバックにしまい教室を今度こそ後にしようとするが、先ほどの少年が一切反応がなくただ外を見続けていることに違和感を感じたため、声を掛けてみる。


「あのーもし部活に入ってないのなら今日は早く帰った方がいいぞー」


「・・・・・・」


返事がない。聞こえていないのだろうか?先ほどよりも大きく声掛けをするがそれでも反応がない。


流石に耳が遠過ぎるのではと感じ、少年のポンと肩を叩くとそこで初めてこちらに気づいたような反応でこちらに視線を向けた。


「どうかしたのかい?」


「どうかしたのかい?じゃなくて!って小林か。お前さんまだ部活入ってないだろ?それだったらさっさと帰らないとセンセに怒られるぞー」


「そういやそんなこと言ってたね。ありがとうね声かけてくれて」


「声じゃなくて直接触れてるけどな・・・まあいいさ。おいらは帰らせてもらいますー。んじゃな」


手を軽く振りながら今度こそ教室を後にして帰路についた。


「んで・・・なんでお前さんがついて来とんねん!?」


車の前照灯を点灯させるか否かを考える暗さの中、商店街を歩いているのを小林は追って来ていたのだ。


「家に帰宅するんじゃないの?」


「お前さんを家まで連れて来た覚えはないけど、日課だよ。おいらは学校が終わった後はゲーセンに行くって決めてんの。そういう小林はこっちなのか?」


「ううん。ただ暇だから付いて行ってるだけ」


「さっさと帰れって言われただろ?センセの言ったこと守れよな」


「今から日課にするから僕もゲームしにく」


理由が適当過ぎてため息が出る。頭をボリボリと掻きながら振り返り忠告をする。


「おいらは遊びに行くんじゃなくて命賭けに行くの。遊びでやってんじゃないってこった」


当然ゲームが遊びではないという言葉に疑問を持った小林はそれを訪ねる。


「どうやって説明すればいいか。しゃあねえ・・・1回分終わったおいらは帰るし、お前さんも帰るんだぞ」


2人はゲーセンに入るとすぐに丸いレバーといくつかのボタンがある筐体に座りお金を入れて始める。


「見てるだけもつまんないだろ?どうせなら一緒にやろうぜ」


「初見だけどいいの?ゲームセンターに行く人たちって家で練習してから来るもんなんじゃない?」


「そういうゲームは昔のだよ。今は大体オンラインで出来るからゲーセンでやらなくなるんだよだから1世代前のやつを出して練習するとかかな」


「ほえー1つ賢くなったよ」


小林を誇張抜きにそういうと、同じようにお金を入れて同レーンでゲームを開始する。


「初見ならCPU戦やってからだな。対人戦までに可能な限り覚えてくれ。あと負けてもいいからな。勝ちに行くんなら本気で怒るけど、そんなのを初見相手にするつもりはない」


対人戦までの数戦で操作を小林に説明しながらCPU戦を終わらせると、小林は腕をうーんと伸ばして口を開く。


「僕覚えたよ」


「マジで?早くね?」


「コンマ入力とかも大丈夫だから大船に乗った気分でいて」


不安ではあったが、期待しなきゃいいと考えて画面に視線を戻し、対人戦を始める。


試合は・・・・・・即座に終了した。最大試合時間は240秒だが1分も経たないうちに敵を殲滅し勝っていたのである。殆ど1人でという。


「やったぜ。」


「本当に初見か?」


首を縦に振る。表情や仕草からもそれを確認することが出来た。


「・・・・・・」


「どしたの?」


小林の手をがっしりと掴み目を輝かせ息を荒げながら口を動かす。


「すげえよ小林ィ!おいらこのレベルになるまでクッソ時間かかったのに・・・!」


「そんなに凄いことなら素直に喜ぼうかな?どうだー凄いでしょー」


「すげえよ冗談抜きにでさ!これからも一緒にやってくれるか?」


「暇さえあればね。そのかわりに条件付けるけどいい?」


「なんだ?出来ることだったらするぞ?」


「じゃあねえ・・・小林じゃなくて、イン。僕の名前で呼んでくれないかい?」


「そんなんでいいのか?」


「正直言って僕さ名字が嫌いでね」


「分かった。これから相方頼むぜ?(イン)


にひひと満面の笑みを浮かべると、苦手なのか頑張った感のある笑みで小林———贇は返してきた。




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