温和の態度に
シラヌイとキュウが争っている間に来ていたヘリから覆面を付けた兵士がJPPたちを連れて行こうとしていた。
「ほら乗れ!暴れるなら手足の一本や二本持っていってもいいと上からの命令だ」
「何度も行っているでしょウ。私は行きますガマリーは・・・」
突撃銃で腹部を殴られる。倒れ込んだJPPの首元を掴むと投げ入れるようにヘリに乗せる。
「ほらあんたも乗るんだろ?」
「まあね。もう1人いたんだけど放置でいいよ。じゃあお願いします」
温和はヘリの助手席に座り、マリーとJPPを後部に乗せるとヘリが浮き上がり何処かへと飛び上がろうとする。
「行かせるか!」
屋上に上がって弓田屋はその勢いのまま飛び上がるヘリの着陸脚を掴む。
「くっ!死にたいのか!」
後部にいた兵士は身体を乗り出しながら突撃銃を弓田屋に構える。
「馬鹿!身を出すな!」
弓田屋は乗り出した兵士の突撃銃を掴むと勢いよく引っ張りヘリから落とした。
「このままでいいから巨大人工浮島に!」
温和は補助席から後部座席に向かうと、登って来る弓田屋と会敵する。
「帰りたいならさっさと2人を返してもらう!」
「お好きにどうぞ!させはしないけどね」
「なら好きにさせてもらう!」
身を乗り出したまま戦闘を余儀なくされている弓田屋は自然と使える部位が限られる。その時点で不利を背負っているが、一歩も引くことはなく温和の攻撃を流していく。
時折ヘリのパイロットは機体をほぼ垂直までに倒して弓田屋を落とそうとするが、足を食い込ませているのか、離れる気配がない。
「しつこいなっ!ここで2人を助けたとしても、今度は巨大人工浮島全体から狙われるだけだよ!」
「だとしてもマリーを兵器としてしか見ない者たちに渡すわけにはいかん!」
急所のみを攻撃するが、当然の如く回避と流しで決める。
そんな中、動きを封じられていたJPPは弓田屋に視線で合図を送る。
それを認識した弓田屋は拳銃を温和に投げつける。動ける状態であることに気づいていなかった温和はそれを弾いてしまい、その弾いた拳銃を手に取ったJPPはそれをパイロットへと撃ち込んだ。
「何っ!?」
当然ヘリはコントロールを失い、落下を始める。温和は戦闘を中断して操縦桿を握り機体を立て直そうとしている間に弓田屋は2人を抱き抱えてヘリから飛び降りる。
「この高さだったら死ぬってわかんないのっ!?・・・しょうがない。船だけでも墜としておこうか」
一度ヘリを船付近まで戻すと、憤怒がいるはずにもかかわらず機銃をばら撒き船を炎上させる。
「もし海に落ちた3人が生きていたとしても、助けるものはいない」
機関部まで確実に潰すと温和はその場を飛び去り、船は即座に爆発して沈没した。