マリーとJPP2
「この子達に情が移ったみたいだねえ。ヒナを殺そうとした奴らなのにね・・・やっぱり男って浮気ガチなのかな?」
「私に聞くな」
「何さ、自分に意識を向けてくれないから拗ねてるの?」
「そういうのじゃない」
「ふーん。ま、いいけどさ」
キュウたちが戦っている上で、シラヌイと温和はカメラ越しにそれを見ていた。
その映像では2人で憤怒を攻撃しているにもかかわらず、軽くこなしている状態が映っていた。
「ボロボロで良くやるよ。2人とも傷が塞がってないだろうに。もし完全なコンディションだったとしても憤怒に勝てるとは思えないけどね。だって、ねえ?」
船が動き出す。温和や憤怒は目的の場所に届ければいいのだから船が出てしまえば勝ちなのだから。
「はい俺の勝ちー何で負けたか明日まで考えといて下さいー」
近くの座席にどっぷりと座って巨大人工浮島へと到着するのを待つことにした。
その頃下では・・・・・・。
カキンッ!と火花を散らしながら俺と弓田屋さん、憤怒はナイフをぶつけ合っていた。
「リミッターで力はどうにかしてるみたいだな!結構慣れてきてるみたいで嬉しいぜ、俺は」
『俺は嬉しくもなんともないがな!』
「人殺しを楽しんでいるのかお前は!」
「楽しんでるんじゃない。兄弟の成長を見るのって楽しいだろ?そういうやつだよ」
兄弟だとは思ったことはないが、そういうことにしておこう。
『じゃあ逆に言えば弟である俺は勝てないっていうのか?』
拳銃の弾倉部を鈍器のように振り下ろす。憤怒は俺の腕に左腕を入れることで勢いを殺しつつ攻撃を無効化する。
「お前の攻撃方法は俺たちが教えたし、それ以前に分かりやす過ぎる。まあ同一人物だし当然といえばそうなんだが」
「シラギン!」
動きを止めた憤怒へ弾丸を撃ちながら弓田屋さんは1人ではないことを伝えてくれる。
「ユダヤ・・・・・・か。人を殺していた奴には皮肉だな」
「言っていろ」
「惨殺者がよくもまあそんな名前で活動していたと思うぞ!本当」
「反省はしている。だが後悔はするつもりはない。後悔なんてしたら死んでいった人たちに申し訳が立たないだろ」
ナイフで打ち合いつつ会話を交わしている。俺ではその隙間に入ることが出来ない程に隙のない戦闘に見える。
「へえ・・・やるよなあんた」
憤怒は右足で弓田屋さんの顎目掛けて蹴りあげる。それを回避する弓田屋さんだったが、小さく悲鳴を上げて少し後退する。
『弓田屋さん!』
「・・・ッすまん、シフトチェンジだ!」
「させんよ!」
言われる前に吶喊をかけた俺に憤怒は腰に取り付けた突撃銃を腰だめの状態で撃ち出す。
撃ち出された弾が四肢を貫いていく。だがそれでも俺は止まらず突っ込む。
しかし憤怒はそれを読んでいたのか、近づいた俺の頭を掴むと弓田屋さんの方向へと投げ飛ばす。
「ボーリングゲームだ!」
投げ飛ばされた俺を掴むと憤怒へ投げ返す。その間に俺はヴェルバーの時にやっていたように怪我を素早く治す。
弓田屋さんは俺をボールのように投げたのではなく、真っ直ぐ槍のように一直線に飛んでいっていた。俺は右腕のリミッターを外しながら力を込めて憤怒へと飛んでいく。
そんな攻撃を避けないわけがなく飛び去るがそれに対して弓田屋さんはアンカーを飛ばして動きを封じる。
「いけるな!」
『なんとぉ!』
拳が憤怒の左頬に入るが、しっかりと入った感覚はなく、逆に俺の右手にひびが入る。
『まだぁ!!!!!』
勢いが死に着地する。それに合わせて攻撃の方をやめて修復リミッターを外してそれで治った右腕を押し込んでいく。
「ぐううう」
歯をくいしばって俺の拳に耐えるが、それも折り込み済みなので今度は左腕で殴る。そしてまた右と繰り返して殴り続けて憤怒の意識が飛ぶまで殴るのを続けた。
完全に動きが止まり意識がなくなったようだ。念のため弓田屋さんも確認してもらい、さらに用心して近くの柱に憤怒を固定してから上へと向かった。