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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
白銀タケルは問題に突っ込んでばかりだ
113/202

当日2

朦朧とする意識の中、弓田屋さんは俺の身体を揺らしなにかを叫んでいた。音は認識出来なかったが大体言いたい事は理解できる。ならば言うことは1つだ。


『弓田屋さん・・・後からヴェルバーと行きます。弓田屋さんは先にマリーと・・・』


悔しさを滲ませながら弓田屋さんは俺と同じように意識が飛んだマリーを抱きかかえると、通常の扉から脱出した。外合わせて俺の意識も1度飛ぶ。


また意識が戻ると、近くには銃声も悲鳴も無くなっていた。呻き声もだ。戦闘位置が変わったかそれとも全滅したか。


悲鳴をあげる身体に鞭打ちながら動かそうとするが、何かがのしかかり動けない。瓦礫だとするなら柔らかく、考えられるとしたらぬいぐるみ越しか。


上に乗っているものを退けようと身体を捻り背後を見ると、何かが垂れてきた。


『ん・・・?』


垂れてきた場所を触れるとべたりとした感触がしていた。


血ではない。それは分かる。出血を良くするからこれは血でないとよく分かる。


じゃあ何が垂れてきているんだろうか?壁が溶けてそれが溶けているのか?もしそうならアルカリ性とか酸性とかで肌が大変なことになっているはずだが、そんな事もない。


確認する為にも1度上のものを退けよう。まずは左肘を使って少しずつずらしていき、足以外が動かせるぐらいになった所で右手も使って完全に退ける。


『はぁはぁ・・・重かった』


次にやるのは周りの確認だ。弓田屋さんとマリーは何処かへ行ってるはずだからヴェルバーを探そう。


『ヴェルバー。どこですか?聞こえていたら返事をお願いします』


返事はない。俺の場所であれだけのものがあったのだから、近くにいたであろうヴェルバーは・・・いや、マリーが無事だったのだから問題ないはずだ。


身体を引きずり瓦礫のない場所を目指そうとするが、誰かに頭を踏みつけられる。


「JPPはどこだ?」


男はそう尋ねる。今の状況で尋ねてくるという事はこの襲撃を行った者だろう。なら伝えるわけにはいかない。


『底辺の人間が知るわけな———ッガッッ』


踏む足が強くなり圧迫感に襲われる。噛み締めて耐えはするがそれでどうにか出来るわけもなく、逆に悪化させる結果になってしまった。


「仲間を守りたい気持ちは分かる。だが人間の優先順位は自分の命だろう。教えてくれるならばお前の命は考えてやってもいい」


『・・・・・・』


もう片方の足の膝で左肘に乗り掛かり関節を外す。


『ッッッッッッッッウ!!!!!』


「後ろの女のようにされたくなければ言うんだな。生殺与奪はこちらが持っている」


ヴェルバーを殺したのか・・・・・・そうなる可能性は当然あった。逃げてもいいと言われた上で残ったんだ。覚悟はしてた。だけども・・・・・・。


「シラギンっ!」


扉から数人が俺の名を呼びながら上の男に向かって弾をばら撒く。それに対して男は俺を盾にしつつ立ち上がり小機関銃を構える。


だがそれのおかげで締め付けが弱くなり右手を動かす余裕が出来た。


銃弾が横行し誤射が起きてもおかしくない状態だが、正確な射撃で互いに攻撃を続けていた。


・・・・・・今だっ!!!!!


逆手でナイフを握りそれを男の腹に刺す。押さえ込んだ腕が緩み、それに合わせて押し飛ばして味方の方へ走り入れ替わるように部屋の外に出る。


「シラギン」


余った突撃銃を投げ渡され、手に取り即座に安全装置を外す。


「ここでヤツを足止めにする!援護出来るな?」


『いけます!』


味方が左右立ちに左右しゃがみで4丁の突撃銃で弾幕を張り続けていたが、まだ撃てる場所があると踏んだ俺はうつ伏せになりながら、ヴェルバーを殺した男に目掛けて銃弾を放った。




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