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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
白銀タケルは問題に突っ込んでばかりだ
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防衛準備2

弾を撃ち終えると、弾がないですよという合図なのか、上の一部分が開いていた。熱そうなので触れないでおこう。


台に置き予想以上に緊張していたのか少し息が上っていた。


「初めてにしては上出来だ。時間はないが可能な限り仕上げていくぞ」


初日はそれで済んだが、本部がくる前日にはそんな甘い言葉はなかった。


「頭を狙う必要はないと言ってるだろ。確実に当てることを考えろ」


言われ通りしているのだが、撃つ前はちゃんと構えた先に胴体があるのに撃つ時はどうしても予想よりも上がってしまう。この癖をどうにかしないと弓田屋さんの怒りの鉄槌が飛んできてしまう。


「もう一度言う。銃の反動は腕で殺すんだ。手じゃない。反動がきてから腕を使う。おもちゃで銃を撃つ時にその反動を演出するためにやってたのが染み付いてるような感じだ」


『分かってはいますけど・・・』


「言い訳はいい。今入ってる弾全てを身体のどこかに当てれば今日は終わりだ」


首を流れる汗を壁に掛けたタオルで拭き取り弾倉を取り替えて的に拳銃を構える。


撃つ前にあげるならそれに合わせて下げるだけだ。銃口を少し下に向けてから発砲する。


全弾撃ち終わり的を見ると何発かは本当にギリギリというレベルだったが、一応全弾身体に当たっていた。


「よし今日は終わりだ。明日は今日みたいな撃ちかた認めないからな」


バレテーラ。まあ実際のところあんなのオーケーにはして欲しくない。弓田屋さんの言葉はもっともだ。


安全装置をかけて弾倉を抜き取り拳銃を返すと、弓田屋さんと共に射撃場を出る。


するとスピーカーからアラームが鳴り響いた。


『なんですこれ!?』


「敵か?」


放送内容を聞き取るために動きを止めて集中する。


『8番地区の広場に未承認者(アンノウン)を確認。全部隊は至急向かってください』


弓田屋さんはすぐに振り返ると射撃場の銃を適当に手に取る。


「いくぞ」


『でもこれ———』


「ガスガンでも機能はする」


弓田屋さんから渡された拳銃に弾倉を入れて装填してから安全装置を掛ける。


「走れ・・・!」


休まず8番地区の広場へ着くと、多くの職員が銃を持って立っていた。


敵はいないようでどこにいるんだとガヤガヤしていた。


「全員まだいるかもしれないんだ!警戒態勢を止めるな!」


弓田屋さんの言う通りだ。俺はいつでも銃が抜けるように拳銃に手を掛けておく。


それから数分後、別の入り口からJPPが入ってきた。


「皆さン、放送からの時間10分でこれだけ集まれたようですネ。弓田屋さん入ってからの警戒維持ありがとうございまス」


「ああ」


「Dr.JPP、なんで自分たちはここに集められたんだ?理由を聞かせて頂きたい」


「訓練でス。ですが訓練というと適当にこなす人も出るでしょウ。それを避けるためでス。皆さんが仕事中な所に行ったのは申し訳ありませんガ、これで皆さんの状態を見ることが出来ましタ。ありがとうございまス」


いつの間にか側にいた弓田屋さんは消えてJPPの側に行きマイクを握る。


「全員分かってると思うが、明日は本部が来ると思われる日だ。そのタイミングで敵の襲撃を考えられるためこういう対応を取った。もしこれに不満があるやつは俺の場所に来い。それ相応のことをしてやる。いいな!これにて解散!全員襲撃時!——————」


一拍置いて言葉を放つ。


「死ぬなよ。いつもいるやつが死んだら悲しいからな」


そう言うとマイクをJPPへ返してこちらへ戻って来る。


「ここ以外ではいつも1人の男が、よくもまあこんなことを言えたものさ」


自分を被虐しているようにため息を吐く。1人というのはどういうことだろう?あれだけ人と話せる人が今まで1人だったのか?


「さてと・・・今日は解散するか?シラギン」


『マリーと顔を一度合わせてから明日に備えます』


「そうか。それじゃあ行こうぜ」


明日はちゃんと会えないかもしれないから、今のうちに会っておこう。そう思った俺は弓田屋さんと共にマリーとヴェルバーの元へ向かった。


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