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俺の周りは絶望ばかりだ  作者: キノコ二等兵
白銀タケルは問題に突っ込んでばかりだ
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シュレの依頼

ある施設の近くについた俺は車の中で仕事用に衣服を変えながらシラヌイを見ると、彼女は中指を立てて舌打ちをしていた。


「結局物理で押し切りやがって・・・」


『語彙力筋力資金力名声全てが俺にはないからな。行くならこうしかない。帰ったらこの埋め合わせはちゃんとするつもりさ』


「要らねえよそんななくなくやるような埋め合わせ」


『これから一切の連絡は取れない。心配だろうが、やってみせるさ』


「やらんでいい」


着替え終えた姿は、余裕のあまりないダメージ入りのパンツに、ポイントのない黒シャツ。1部が白髪なのはおかしいので根まで含めて白く染めた髪の毛、カラコンを入れてその髪の毛との違和感を減らす。度の入った黒縁眼鏡。喉の変声機の数値を変更して俺の要素は可能な限り排除した。


血液などの変更は流石に出来ないが、窓原から貰った白銀タケルという名前を使うことで多少は誤魔化せる筈だ。


『どうよ?似合ってますか』


口調も変えてみよう。そうすれば更にバレにくくなる筈だ。


「知らんな。人っていうには案外冷たいもんでな。前にも私は殺されかけただろ?そういうことだ。意識をしなければその辺は適当でかまわんさ」


『つまりは?』


「いけるということだ」


やったぜ。俺は両腕を天高く上げる。


『それでは行ってきますね。シラヌイ』


シラヌイは何も返さなかったが、俺は親指を突き立てグッチョブと示して森へと入っていく。


『ただ歩くだけだと問題ないけど、キャリーバッグを引いてとなるとやはり辛いですなぁ』


道が整備されているとはいえそれでもここ最近長い距離を歩いていない俺にとっては十分キツいものだ。


息が上がってはしまったが、何とか入口までに着くことが出来た。


「ん?誰だ」


『わ、私は白銀タケル。ご依頼を受けてここまできたのですが・・・』


「本人かの確認をする。証明書とそこの機械に座れ」


指示通りに証明書を出し機械の前に座ると、警備員はどこかへ電話をかけるとすぐに次の指示が飛んできた。


「確かに依頼があったようだな。画像も確認させてもらった。時に問題ないようなので、そのまま中に入ったらJPPの元へ向かい、詳細説明をとのことだ。いいな?」


『分かりました』


フェンスが開き俺は足を進める。あれ以来の敵施設の中への侵入だ。念入りに注意して俺が日南休だということを隠さないと。


施設内を歩いて移動していると、俺よりも小さい子供が白衣を着て何やら難しい話をしていた。構成成分が違うとかなんやらだ。


全員が全員とはいわないだろうが、白衣率が異様に高い。研究施設だから当然なのか?


「なぁなぁあんたぁ」


『私ですか?』


振り返るとこれも俺よりも子供のような少女が声をかけてきた。


「そうあんたやぁ。新人さんやろぉ?ジャップのとこにぃ向かいたいんやったらこっちやでぇ」


『すいません。ありがとうございます』


少女は袖が長いせいなのか手を出さないで腕を組んでいた。


にひひと少女らしからぬ表情を浮かべていたが気にすることでもないので、通り抜けようとすると少女に掴まれる。


「あんたぁどうせ迷うんや、ジャップの場所までウチが送るさかい」


それはありがたい。施設内の確認は後々出来るしいましたらしたで逆に疑われそうだ。


『お願いしてもいいですか?えと・・・・・・』


「ウチはヴェルバーベルベッドや。あんたぁは?」


『白銀タケルです。白に銀で』


「シラギンちゃんか!なんとまぁよろしゅうな」


『しらぎです』


「訓読み音読み間違えてちゃいますか?」


『付けた親に言ってください』


少女の後を追うと、最深部と思われる場所にその部屋はあった。


「ここや。話終わったら、ウチに電話しぃな。暇あれば手ぇ貸すさかい」


『ありがとうございます。それではミス・ベルベッド』


「ヴェルバーでえぇ。ウチがシラギンちゃんって言っちょんやけ、同じようにせぇへんとウチの気分が悪くなる」


『分かりました。それならそう呼ばせていただきますねヴェルバー』


初対面の相手に友好的に手を貸してくれたヴェルバーと別れて、目的の部屋のドアノブに手を伸ばす。


息を整える。今回の目的はあくまでJPPをどうにかするのが目的だ。殺すのは目的じゃないし、したくもない。ヒナに手を出さないと明言してくれるだけでいい。


だが、今すぐ言っても取り入って貰えるとは思えない。だから俺はまずは仲間として潜入する。勿論全力でする。適当だったらバレるのは必然だと思うから。


息を整えた俺はノックをした後返事を受けて中へと入った。

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