第2章プロローグ
ヒナは学校シラヌイとイサリビは仕事なので、復帰にはまだまだ時間がかかりそうな俺は1人家で据え置き機で遊ぶ毎日だ。
時折電話が入るが非通知なので無視だ。何で知らん人間に出なきゃならないんだ。それのせいでこうなったんだから、放置は安定。
『しかしやることねえなー』
1人ぼやく。いつもは何かをしてたから暇だと感じはするものの本当の意味での暇ではなかった。
家にあるゲームは全てやった。ゲームを通しでやるRTAとか縛りRTAとか。やるなら動画撮っときゃ良かったな。
携帯のゲームもスタミナを全て使い今日やることは午前中に全て済ませてしまった。
ずっとゲームだと気分が悪くなることもある。体力を戻すのも兼ねて家の中で出来る運動を始めるか。
まずは腹筋を・・・・・・という所で、インターホンが鳴った。待たせるのは良くないので筋トレは後にして、下に降りよう。
杖を突いて下まで降りて外に誰がいるかを確認すると、久しぶりの顔ぶれだ。
『俺の真似ありがとな。シュレ』
「何かしたわけじゃない。シュレは君を傷つける結果を招いてしまった」
『漫画のキャラも言ってたぜ。死なない限りは負けじゃないってな』
「負けじゃなくても生きてるの辛かったらそれは負けだと思うけど」
『家には誰もいないから少し付き合えよ』
扉を開けるがシュレは玄関で動かない。
『どうした?』
「今のシュレは入れないよ。憤怒たちに殺される。君を撃ってまで行かせないようにした彼らだ。行かせる原因を作ったシュレを許すと思う?シュレが同じ立場なら絶対許さない」
あれ以来から憤怒たちとは会っていない。シュレの言う通り許さないなら立ち止まるのは危険だ。でもそれでも来たのなら何かあるはずだ。
『・・・・・・来た理由は?』
「察してくれてありがとう。極東連合の人間が在るもの使って生物実験をしてる。そしてそこにJPPがいるようなんだ」
『あいつが?』
あいつはヒナを誘拐した奴だ。これは重要な話だ。
「実験が成功したらどうなるか分からない。平凡君には白銀として潜入して欲しいんだ。誰かを殺す必要はない。実験対象をこちら側につければそれを使って巨大人工浮島を狙ってるJPPと合流、上手くいけば力を得られるかもしれない」
『その対象をどうにかすれば良いんだな?実験対象ってことは結構時間かかるな。となると動くわけには・・・だが、ヒナをまた泣かせるのも』
「行くならすぐに決めて欲しい。シュレが行きたいんだけど、一定の場所がダメなのは分かるよね。それが原因で何か起きるのは避けたいんだ」
『じゃあ俺の方から憤怒たちに伝えておけば』
何言ってんだかという目を向けて小さくため息を吐く。
「君がここ最近会ってないのは知ってるんだ。それに彼らには、シュレにもだけど、人としての心はほぼないって言っていい」
『俺に伝えてくれてるじゃん』
「1人身になったことで多少は人に近づいたのかもしれないね。でも彼らは違う伝えることが出来たとしても行動に移してくれるかどうか分からない。動いてくれるか不安だ」
『俺だって動かないかもしれないぞ』
「んん・・・酷いこと言うけど、JPPをどうにかしないとヒナが危険なことになる。芽は先に潰しておくべきだ」
それを言われると動かないといけなくなってしまう。
『分かった上で言うなんてタチ悪いな』
「酷いこと言うけどって言ったじゃん。だから」
今回は選択肢がある。JPPの時とは違う。それに奴に問いただすことも出来るはずだ。わざわざヒナを狙った理由を。
それに戦闘する訳じゃないのなら仕事のリハビリも兼ねて行くのもありだ。
『するとしても、家族と要相談だ。勝手に行くなんて二度と絶対にしたくない』
「時間はないけど行ってくれるならそれでもいいよ」
相談するということは行かない、行けないということでもあるのにそれでもしていいのか。なら言葉に甘えよう。
『ヒナは厳しいからな。行けるかどうか分からないぞ?』
「そうなったら最終手段を使うだけさ」
扉をゆっくりと閉める。向こうも話すことは終わっただろうし。
『んじゃあな』
「また逃げる旅だよ」
扉が閉まると同時にシュレの気配が消えていた。
さあ帰ってきたらまた伝えるか。怒られるのやだなぁ。