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ジェノサイド・リアリティー  作者: 風来山
第三部『ジェノサイド・リアリティーⅡ リロード・オブ・ジ・エクスプローラー』

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206/223

206.マザーオーティラス

「ハァ、クソッタレ!」


 俺達は、苦労してオーティラスの最終形態を倒せる。

 しかし、倒しても倒しても迫りくる他の個体が人型オーティラスに進化して、またマザーオーティラスになるだけだ。


「きりがないわね……」


 いつも冷静な久美子も、苦しそうに息をつく。

 敵のビーム砲に対抗するためには、電撃の魔法を撃ち合わなければならないのだが、これもそう何度も使えるマナがない。


 マナが尽きかけている俺の代わりに、久美子達が撃ったりもしてくれるのだが。

 どっちにしろ、このままでは追い詰められてしまう。


(真城ワタルは殺せ! 他の個体は、地上に上がるときの宿主として使うことにしよう)


 勝ちを確信したのか、マザーはテレパシーでそんな指示を飛ばしている。

 俺は不意に、何かがおかしいと気がついた。


 そういえば、こいつは最初にすべての母、マザーと言ったが、なぜ全ての生物を生み出している存在が、コロコロと入れ替わるのだ。

 もしかして、この人型オーティラスの最終形態はマザーではないんじゃないか。


「久美子。さっきの奇獣の鍵をよこせ!」

「え、下の階に逃げるの?」


 そうじゃない。

 さっきの奇獣の王から取った鍵を俺は、久美子から受け取ると階段への扉を開けた。


「やっぱりか!」


 階段に続く通路の奥には、醜く肥え太った巨大な女王蜂のような宇宙生物が隠れていやがった。

 ボスの部屋の他に、隠れられる場所といえばもうここぐらいしかないからな。


(我を見たな)


「見たぞ。お前が本当の本体だな、化物め!」


 このテレパシー、最終形態の人型オーティラスがしゃべっていたわけではないのだ。

 ボスの部屋の奥、この下への階段に続く通路の間に、こいつらの本当の本体であるマザー・オーティラスが隠れていた。


 なるほど、あらためて女王マザーを眺めて気がつく。

 こいつらのベースは蜂型か。


 卵から幼虫、成虫に変化する進化する生物としては納得がいく。

 ゴボッゴボッとマザー・オーティラスは、複数ある口から肉塊を次々と吐き出す。


 そこから、また新たに最終形態のオーティラスが形を生そうとしている!

 一匹でもきつかったものが、複数体。


 さて、どうするかと思った時に、俺の視界に猫耳が目に入った。


「プギャー!」

「悪いなニャル、もうこれしか手がない」


 反射的にニャルの首根っこを掴むと、天高く投げる。

 すると、人型オーティラス達はニャルに向かって手を伸ばした。


「いまだ!」


 ニャルの絶叫が響き渡る中、俺は次々に人型オーティラス達の首を斬り落として進む。

 こいつらどんだけニャルが好きなんだよ、所詮は虫ってことか。


(バカな!)


「マザー、お前を倒せば終わりだ!」


 人型オーティラスを全て斬り捨てた俺は、マザー・オーティラスに向かって跳躍した。

 まず、女王蜂の腹を全力で斬り裂く。


 マザーは暴れまわるが、こいつは動きが鈍重で人型より弱い。

 やはり、守られなければ何もできない存在か。


(やめろ。我の腹が、これでは新たな子を産めぬ……)


「それをやらせないために潰してんだよ!」


 これ以上人型を作られるとこっちが困るからな。

 続けて頭を斬り潰すと、目障りなテレパシーが弱まっていった。


(……おのれ、我は、宇宙最強の生物!)


 宇宙最強は、お前ら蜂じゃなかったってことだ。

 その事実を身体に刻みつけて死ぬがいい!


 俺が女王蜂の首を切り飛ばすと、途端に耳障りなテレパシーは途絶えて、他のオーティラス達も動きを停止して物言わぬ肉塊と変わった。


「ふうん、他の兵隊蜂はテレパシーで動くロボットのようなものだったのか」


 宇宙には、不思議な生き物もいるものだ。

 戦っている最中にも、こいつらの記憶のイメージが脳に入り込んできていた。


 爬虫類型や、人型もいたのは、戦って喰らった相手の形状を手に入れたものだったようだ。

 俺達も、もしオーティラスに負けていれば、素体として取り込まれていたかと思うとゾットする。


「真城くん、少し休憩しない?」

「ああ、まあそうだな……」


 珍しく弱音を吐く久美子。敵を倒した時にかかったのか、緑の体液にまみれてドロドロになっている。

 いつも涼やかな顔で戦ってる久美子ですらこれなのだから、いかに激戦だったかということを物語っている。


「流石に気持ち悪いわね。お風呂を作りましょうか?」

「いや、和葉。それは無理じゃないか」


 ボスの部屋には水場はあるが、宇宙生物達の死体がもうドロドロのグチョグチョで、緑色のヘドロみたいなもので汚染されている。


「こいつらは食えないデスか」

「ウッサー、お前の発想凄いな」


 この土壇場でも食い気を出すのは筋金入りだ。

 こいつら毒があっただろ、どうやっても食えそうにない。


「もう虫はいやにゃ、虫はいやにゃあ! とにかく、ここから離れたいニャー!」


 完全にトラウマになってしまったのか、やはり緑色の体液に汚れたニャルはここから一刻も早く逃げたいと主張する。

 ある意味、一番活躍したのはこいつなので、希望を聞いてやるか。


「休憩するにしても、もう次の階層の扉を開いてしまったんだ。十八階層に進んで、そこで設営するなりして休むことにしよう」


 下の階の扉を開いてしまった以上、ここにいても進んでも危険度は変わらない。

 俺達は、疲れた身体を引きずりながら、地下十八階の階段を降りることにした。

次回2/18(日)、更新予定です。

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