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ジェノサイド・リアリティー  作者: 風来山
第三部『ジェノサイド・リアリティーⅡ リロード・オブ・ジ・エクスプローラー』

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204/223

204.宇宙忍者の巣窟

 迷宮の奥から迫りくるライオン頭の合成生物キマイラの群れに対して、リリィナ率いる特殊部隊ブラックジェケットがライフルを乱射した。

 距離があるから、遠距離攻撃はまあ悪くない。


 先頭のキマイラから一斉に、チタン合金の弾丸を喰らって蜂の巣になる。


「キュキュキュキュキュ!」「キュキュキュ!」


 なんか気色悪い悲鳴だなと思ったら、すぐさまパッカリと皮が割れて中から緑の体液ドロドロの宇宙生物が飛び出した。

 もちろん、堅い外皮に被われた連中に弾丸なんか効きはしない。


 それどころか、向こうが飛ばしてくる緑色の破片のようなもの(ニャルはクナイと言ってたが)で前に出た兵士達が倒され始めた。


「リリィナ、もういい!」


 こうして、敵を引っ張り出してくれただけで十分。

 発砲が止むと同時に、俺は敵に向かって飛び込んだ。


 右手にソリチュードを掴みながら、左手にはニャルの首根っこを掴む。


「ニャーーーーーーーー!」


 ほらよっと。

 ニャルを宇宙忍者どもの上に投げ飛ばした。


 弱い標的であるニャルに、昆虫めいた宇宙生物達は毒霧攻撃は仕掛けない。

 みんな一斉にストローのように口吻こうふんを伸ばして、ニャルに寄生しようとする。


 やっぱりこういう習性か。


「ギュゲ!」「キュゲ!」


 伸ばした口は、堅い昆虫の殻に覆われてはいない。

 そこに孤絶ソリチュードの刃を叩き込んでやれば、簡単に殺せる。


「なんてことするニャー!」

「なんだよ。役に立ってくれるんじゃなかったのか」


「役に立つとは言ったけど、こんにゃんじゃ」

「ほら、次が来たぞ」


「ギャニャーーーーーー!」


 天井に張り付いて接近してきた宇宙忍者たちも、ニャルがお気に入りらしくみんな寄生しようと飛びついてくる。

 何だよニャル、大活躍じゃねえか。


 俺のやり方を真似て、久美子やヴイーヴル達も宇宙忍者を倒し始めた。

 ニャルが弱点を引き出してくれるので、サクサクやっつけられる。


「ヴイーヴル、こいつ連れてきて正解だったな」

「ご主人が凄いのだ。我ではこんな使い方思いつかなかった」


「鬼畜ニャ、鬼畜の発想ニャ! ニャルは仲間ニャぞ、仲間を使うとか」

「お、次だな」


「ハギャアーーー!」


 再びニャルの悲鳴が響き渡ると、またダンジョンの奥から続々とキマイラがやってくる。

 リリィナ達が遠距離攻撃で宇宙忍者を引っ張り出して、ニャルを囮にしてさっさと中身を叩き潰す。


 うん、良いパターンに入ったな。

 こんな調子で、俺達はキマイラとともに現れる宇宙忍者どもを片付けていったのだが……。


「こりゃまた、気持ち悪いな」


 通路にびっしりと、卵のようなものがねちょねちょの粘液とともに張り付いている。

 気持ち悪さもここに極まれりだ。


「ご主人、ここを通らないと先には進めないのではないか」


 ヴイーヴルにそう言われずともわかっている。

 これは、明らかに足止めだよな。


 前にも蜘蛛の巣で止めるみたいなのはあったが、どうも通路を封鎖するようなところまではいってない。

 向こうはもしかすると、通路を封鎖できないってルールでもあるのだろうか。


「まあ、とにかくこういうのは焼却だ」


 どうせ近づいたら、卵がぴしゃっと割れて中から幼虫が出てくるんだろうから、俺は獄炎の魔法を放って焼き殺そうとした。

 しかし、少し黒焦げて粘液は飛んだが卵は無事のまま。


 みんなで炎球ファイアーボールを撃ちまくってみたが、火力が足りてないのか卵が強固なのかびくともしない。

 続いて、リリィナたちが爆弾を撃ち放ってみたが卵は割れなかった。


 どうも、成虫よりも堅い殻に覆われているようだ。


「おい、和葉。あぶないぞ!」


 なんと、そこに卵がびっしりの通路に和葉が平然と入っていく。

 襲われると思ったら、なんと和葉が飛び移る先に、ブロックが出現する。


「大丈夫よ」


 罠を作り出すスキルの応用か。

 和葉はなんか、どんどん何でもありになってくな。


「そんな危険な真似をしなくても。囮ならニャルを使えばいいのに……」

「もう私はいかないニャー!」


 向こうまで行った和葉は、平然とこっちに戻ってくる。

 卵から幼虫が飛び出してきたりはしない。


 和葉の両手にいつの間にかガソリンの携帯缶が握られていた。

 ドクドクと、それをぶちまけていく。


 なるほど、魔法の火力では弱いから火力を足そうってことか……。


「毎回思うんだが、ガソリンとかどっから持ってきてんだ」


 補給できるチャンスはあったとは思うが、どんだけの量を隠し持ってるんだ。

 何か、そういうスキルでもあるのか?


「ふふ、あとで二人っきりになった時に教えてあげるわね」


 そういって笑いかけてくるんだが、なんか怖え。

 和葉のガソリン撒きが終わるのを待って、俺は炎球ファイアーボールで着火する。


「変化ないように見えるんだが、これでなんとかなるもんかな」

「まあしばらく見ていて、堅い卵はゆっくり調理しないとね」


 結果は、和葉の言うとおりだった。

 ジワジワと焼かれるガソリンの炎のせいか、しばらくして卵がビキャと割れて中から幼虫が飛び出した。


「よし、ニャル出番だ」

「嫌ギャニャーーーー!」


「さすがに、冗談だ」


 おそらく幼虫は成虫より弱いし、寄生してこないだろうしな。

 ウジャウジャ湧いてくる幼虫どもをこちらに引きつけてから倒すと、ガソリンが燃え尽きるのを待ってから、俺達は迷宮をさらに先へと進むのだった。

次回2/4(日)、更新予定です。

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