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ジェノサイド・リアリティー  作者: 風来山
第三部『ジェノサイド・リアリティーⅡ リロード・オブ・ジ・エクスプローラー』
193/223

193.分断の糸

 後方をアリアドネ、側面をウッサーと久美子たちに任せたからには、俺は前の敵を一匹でも多く屠らなければならない。


「グッ!」


 大蜘蛛どもが爆発するのも構わずに、俺はとにかく前へ前へと斬り込んでいく。

 ようは倒す速度を上げることだ。


 爆発した時には、次の大蜘蛛を斬っていれば爆発には巻き込まれない。

 一人で先行した俺は辺り構わず、次々に大蜘蛛どもをなぎ倒していった。


 やはり単独行動のほうが俺にはあってるな。


 ――シュルルルルッ!


「チッ」


 腕に絡まった糸を振りほどく。

 爆発する蜘蛛だけでなく、動きを遅くする糸を吐く蜘蛛も混ざっている。


 だが、こんな小手先の技に構うものか。

 こいつらも全部ぶち殺してやればいい!


 蜘蛛を斬りし続けて、俺は狭い通路を抜けて大広間へと躍り出た。

 同時に、待ち構えていた蜘蛛達が俺の通ってきた、細い通路を塞いでいく。


「これが狙いか」


 誘われている感じは受けていたがな。

 道を塞ぎやがった蜘蛛は斬り殺したが、俺はどうやら分断されてしまったようだ。


「……待っていたぞ」

「誰だ?」


「貴様がこの世界の王、真城ワタルだな。まんまと罠にハマってくれたわ!」


 現れたのは十四階層のボス蜘蛛、アラクネー。

 八本足の蜘蛛の身体に女性型の人間の胴体が付いている。


 しかし、その姿はゲームで見たものよりもより禍々しく変貌していた。

 なんか尾っぽに、サソリの毒針みたいなのが付いているし、全体的にゴツゴツと強化されている。


「お前、アラクネーじゃないな」

「おや、気がついたか。わからぬようにしていたのだが、どちらにしろもう遅いぞ」


 無表情に人間の胴体をだらりとさせるアラクネーを操っているのは、アラクネーに取り付いている半透明の男であった。

 そりゃ、階層ボスの部屋から思いっきり出てきているし、俺の名前を知っているのだからこのゲームのボスではあるまい。


 何よりアラクネーは女性型なのに、声が男だからな。


「お前も、洞主によって異世界から召喚されたモンスターだな」

「モンスターとは酷い言い草だ。私は、元の世界では霊王デシートとして君臨した、高貴な存在なのだぞ」


「そうかよ!」


 分断されたこの状況で、このまま時間稼ぎされても困る。

 おしゃべりは終わりだと、俺はアラクネーもどきに斬りかかっていく。


 尾っぽから、毒針がミサイルのように飛んで俺の目の前で爆発したが、その程度では動じない。

 肉を切らせて骨を断つ!


 ダメージを受けても、それで敵に致命傷を与えればいい。

 俺の孤絶ソリチュードの長い刃は、アラクネーの急所である腹に深々と突き刺さった。


「フハハハハ!」


 腹を真っ二つにされて、生きていられないはずのアラクネーがまったく動じずに、俺に太い足を振り回して攻撃してくる。


「チッ」


 合わせて刀を引き抜いて後ろに下がる。

 一歩でも遅ければ、武器は取られていた。


 戦闘の際、俺はいつも荷物を軽くするためにリュックサックを落として戦う。

 だから予備の武器はこの場にはない。


 長期戦になれば不利だ。

 俺は、勝ち誇る敵に向かって更に孤絶ソリチュードを振るった。


 胴体に攻撃が効かないのならば、操っている霊王デシートを直接狙う。

 しかし、俺の攻撃を避けようとしないのもそのはずだった。


 半透明の身体には、刀の攻撃は通用しない。


最終アーク イア 飛翔フォイ!」

「炎の攻撃など無駄だ!」


 やはり霊体なのか。

 確かめる意味ではなった炎球ファイヤーボールだが、アラクネーの胴体にはダメージを与えても、霊王デシートには通用しない。


「通常攻撃は通じない。私には斬られる身体がそもそも存在しないのだから」


 霊王デシートの力なのか、腹を斬り裂いた上で炎球ファイヤーボール焼いてやったアラクネーの胴体が見る見るうちに回復していく。


「冥土の土産に教えてやろう。私が憑依することで、その生物の身体を成長、進化させていくことができる。真城ワタル、強い貴様は私が使う素体としてはちょうどいい。貴様を倒した後で、その身体を乗っ取ってやろう」

「冗談じゃない!」


 正面の敵を相手をしないわけにはいかないから攻撃はするのだが、本体である霊体を倒さない限り、何度でも回復され続けるようだ。

 唯一、霊体にダメージを与えられる霊刀は、分断された前の部屋にある。


 さてどうする。

 久々のピンチに、俺は孤絶ソリチュードの柄を強く握りしめた。

拙著「酷幻想をアイテムチートで生き抜く」六巻発売(11/30)を記念して

11月は4週に渡っておまけ更新(とボツラフ画公開)をやってますので、そちらの方もぜひよろしくお願いします!


次回11/19(日)、更新予定です。

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