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ジェノサイド・リアリティー  作者: 風来山
第三部『ジェノサイド・リアリティーⅡ リロード・オブ・ジ・エクスプローラー』
182/223

182.御鏡竜二だったもの

「ゲホッ、このがらだは、しゃべりにくいね」


 口からダラダラと青い液体を吐き出して、人の形を持ったゾンビスライムの塊がしゃべりはじめる。


「本当に御鏡竜二なのか」

「そうだよ真城くん。ようやく、しゃべりやすくなってきたな。人と話すのも久しぶりだぁ」


 そうやって、不気味にニッと笑う姿は、出来損ないの泥人形にしか見えないが。

 その言葉はやけに理知的だ。


「おい御鏡、お前は黄泉帰ったのか?」


 黄泉アビスからの復活。

 そうできないように死体を焼き尽くしたのだが、それならここにまた現れるのはわからなくもない。


「黄泉帰り? 違うよ。僕が飛ばされた場所はもっと酷い場所だった。そこは、暗い何もない空気もない何もない世界だったんだ……」


 また恨み言が始まった。

 黄泉アビスからの復活ではなく、もっと違う世界からの復活らしい。


「異次元世界みたいなものか。バグの世界のような」

「そうだよ。僕はそこでどうしようもなかったから、とにかく手当たり次第触れるものを全部飲み込んだんだ。苦しかったぞ」


 おそらく異次元世界みたいなものなのだろう。ゲームで言えば、バグの世界みたいなものか。

 ジェノサイド・リアリティーⅡの設定から考えるに、次元転移装置「ゾロアリング」だとは予想できる。


 蘇生と言うよりは、御鏡のいう異次元からこの世界に転送されたのだろう。

 しかし、一体誰がこんな厄介な男を、上階のアンデッドが言っていた洞主というやつか。


 まったくこいつは、殺しても殺しても切りがない。

 だが今は、会話を回すことだ。


 こっちに注意を引き付ける必要がある。


「それにしたって、味方まで飲み込むとは、いい度胸じゃねえか」

「味方? ダンジョンの雑魚モンスターなんて、僕の味方じゃない。取り込まれて僕の力となる餌だ」


 全てを喰らい飲み込む。

 無茶苦茶だが、御鏡の変異した種族ゾンビスライムならばそれはできる。


 こいつは、異次元でバグを飲み込んで、こんなにおかしな化物になったのか。

 さっきから中層街の壁がギシギシとなっている。


 かなり強く設定されてはいるが、街の外壁は破壊不能オブジェクトではない。

 おそらく扉の部分が一番持たない。


 リリィナの部下達が、閉じた扉を必死に押さえてるが、あそこが破られれば中層街は終わりだ。

 味方も喰らい、敵も喰らい、この中層街そのものすらも御鏡は喰らおうとしている。


 とんだ大飯喰らいだ。


「苦しかったけど、君に勝ちたい一心で僕は喰らい続けたんだ。そうして、今こうして君を遥かに凌駕する存在となった。ランクが最強なんてもう関係ないんだ! 僕に飲み込まれて思い知るがいい、僕こそが最強だ!」


 脳が腐ったのは一度消滅したことで治ったようだが。

 その腐った性根までは治ってないようだ。


「またそれか、俺を飲み込めるもんなら飲み込んでみろ、モジャ頭!」


 孤絶ソリチュードの刀身を引き抜き、外壁に身を乗り出して誘ってやる。

 そうだもっとこっちに近づけ、この手の巨大生物の倒し方はコアを潰すことしかない。


 おそらく、モジャ頭がこのビッグゾンビスライムのコアなのだろう。

 本体さえ潰せば、おそらくこの莫大な肉の塊は死滅する。


「御鏡くん! こっちをみなさい!」


 誰かと思えば、俺がモジャ頭を挑発する横から、竜胆和葉がビュンと飛び出して天高く飛翔した。

 あいつ、自分が囮になるつもりか?


 それとも、なにか効果的な攻撃方法を考えついたのか?

 他の奴ならともかく、ガソリンをたくさん用意していた和葉なら、何か手立てがあるかもしれない。


 もし危なそうならすぐに出ると心構えをしながら、俺は目の前の戦闘に目を凝らした。

次回9/3(日)、更新予定です。


新作始めましたので良かったら見てくださいね。

詳しくは下記です。

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