表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/124

聖者達part ルーガナンの宿屋-3

前回の誤植に対してのコメントが笑いの壷にハマってしまい、アイディアとして協会も教会も存在するようにしました。前回の誤植は一応修正しました。

さて、いきなり泣き出した私を心配そうな目で見ながら私の分として出されていた葱ダレバーグを食べているラーベは、私を心配してくれているのか、こう話してくれる。


「主様、泣かないでください。いつかきっと再会できますよ。私の記憶にはこんな言葉があります。『想う心、道の神アルグリューガナンが導き、想い人出会う道となるだろう。』と。その方に会えなくて涙を流してしまう程想っているのなら、きっとまた会えますよ。」

「………うん、ありがとう。ラーベ………でも、その前に言うことは無い?」

「も、申し訳ありません………主様……。つい手が出てしまいました……。」


……………慰めてくれた事は嬉しいけどね、ラーベ。私の頼んでいた葱ダレバーグをペロリと食べた後に言うセリフじゃないよね?と思いながら私はラーベの頭を少々強引に撫で回した。


「その方とは、いつか同じ食材で勝負してみたいものですね………。一応、料理人なので挑戦できそうな人がいるのは嬉しいです。」

「多分、負けませんよ、暗は。勝負の時を楽しみにしていてください。」


ルーガナンさんは燃える目をしていた。恋愛関連を抜きにしても、一番を越えてみたいという気持ちは強いらしい。………良い勝負になりそうだけどね。王宮料理人の曾孫なら暗に善戦できるだろう。


「じゃあ、鰻バーグ二つと葱ダレバーグ一つお願いします。」

「…………鶏笹身グリーフジリスク焼きを二つ………。後牛挽き肉のグラタンを一つ。」


響も泣き止んだらしく、私やラーベが興味が沸いていたメニューを注文していた。しかし、鈴はまだ泣いていた。そして、何を血迷ったのか酒のページを開いていた。そして、その中で無料のドリンクである『ベニャ亀の血酒』を注文していた。


ちなみに、私達は未成年だという事をシータさんは知っているはずなのに止めなかったのに疑問を覚えたのだけど、ルーガナンさんの持ってきたガラスの器に入れられた飲み物を見て納得した。……………ベニャ亀の血酒…………見た目はコーラだった。ついでに言えば黒ビールにも似てるには似てるのだけど、泡が大きくない。つまり、これの見た目はコーラなのだ。


酒のメニュー欄には他に『赤ベニャ亀の血酒』やら『無色ベニャ亀の血酒』などもある。確かに透明なコーラや赤色のコーラも存在していた気はする。しかし、亀の血からってなぁ………と思っている内に、鈴がそれを飲み干していた。


「…………これ、コーラだよ。ホントに……。」

「………これって、元々は血なんだよな?」

「うん、間違いは無いはずだ。しかしこれは………。」


それを聞いて私はルーガナンさんにこのベニャ亀について聞いてみると、結構あっさりした受け答えだった。ちなみに、この世界ではアルコールが入っていなくても泡がでるだけで酒の字が入ったりするらしい。


「このベニャ亀は死体になると体の中で腐食を抑えるために、大量の糖質を生み出して中の血を動かし続けていく。元々ベニャ亀は泡を吐くようなモンスターだからかその力が体内に残った血に宿っていってこのような感じになる。直接取った血なら睡眠防止やらの効果はあるけどその分腹を壊しやすいからね、店で出される物には多少の苦みはあるけど消毒作用のある『異常浄化草のすり身』を入れるんだ。」


…………………ベニャ亀は自覚は無いだろうけどどうやらコーラという飲み物を作るために産まれてきたようなモンスターらしい。甲羅を持っているから………的な、そんな感じだった。いや、でも都合が良すぎるだろと思ってしまうが、このベニャ亀の血酒は酔いが回らない発泡する飲み物として人気らしいので何も言わないことにした。まぁ、コーラはただの炭酸水だからなぁ………。


「そういえばベニャ亀は肉の方は食べないんですか?」


早瀬がそう聞くとルーガナンさんは顔をひきつらせていた。それはもう、苦笑いすら出来ていないほどにだ。まぁ、コーラ………いや血を全て抜いているから血抜きは出来ているし、肉も結構使えそうだと思うんだけどなぁ……。スッポンも普通に食べられていたし。しかし、ルーガナンさんの答えはこうだった。


「肉統協会では最低ランクのF(家畜の餌にすらならないレベル)で鑑定されるほど料理には向いていません。なんせ生でも焼いても蒸しても薫製にするなどして加工しても味は良くないですね。例えるなら七麦茶の六杯目に近いです。この肉については肉統教会でも異端とされる肉ですね。」

「いや、肉統教会ってなんですか?肉を崇拝するんですか?そんな狂信的な教団がこの世界には存在するんですか?」

「この世界でのベジタリアンなのか……?肉しか口にしないことを決めている奴らが集まるのか……?」


すると、ルーガナンさんはこう説明してくれる。それはかなり宗教的な話だった。………まぁ、現実的かもしれないなぁと感じる。そんな話だった。


「肉統教会は現代では第87代目の教皇、クロッケス・ビィーンドが治めている宗教であり、肉の神オヴァヘライスを主神とし、オヴァヘライスの娘達を信仰しているミータリアンと呼ばれる肉食主義者の集まりですね。入信するにはその者が住んでいる土地で穫れる野菜の全ての種類を燃やし、その炎で焼かれたハムを食べきる事ですね。」


…………ちなみにハムの大きさは200ミリリットル程のペットボトル一個分くらいらしいです。しかも、野菜の種類が多いと焦げることもあるそうです。…………かなりキツいな入信試験!!と思ってしまう私であった。


「ちなみに、入信者はジーブルフリーデ公国では少ないですが、肉の名産地と呼ばれている神聖ヴィアンローテ教皇国には肉統教会の本部と肉統協会の本部が存在しており、肉統教者には聖地と呼ばれております。ちなみに、肉統教信者には『肉喰の加護』が付与されて、肉をどれだけ食べても飽きない、腹が壊れない、栄養バランスも崩れない他、食べようと思い続ければいくらでも肉が食べ続けられる程の胃袋が手に入ります。」


…………どれだけ肉に対して狂信的になっている人達なんだろうかと思いながら私は肉統教会に付いての話をBGMにして、葱ダレバーグと鰻バーグを楽しむのだった。………いや、いくらなんでも私達は肉統教会に入信する事はないと思うけどね………、と思いながら私はハグハグとハンバーグを口にする。ちなみに早瀬は次に来る合い挽き肉のカツ丼を最後の注文にしていた。このジーブルフリーデ公国には米が存在しないらしく、合い挽き肉を米代わりにしているらしい。………分かったよ、ラーベ…。また注文してあげるからとラーベの頭を撫でる私なのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ