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聖者達part ルーガナンの宿屋-1

個室ではなく大部屋に近いある意味VIPが泊まりそうな部屋に響と鈴がおり、写真のトレードが終わった後、二人にビートルベルを渡した後、シータさんに呼ばれ、食事をする事になった。本来ならこの時までに報告するべき事があったのだろうが、それは食事の時に持ち越すという結果になったのだった。ただ、違和感を感じるのはSWに荷物が全て入っているからであるためだろう。


私は食堂に行く前に宿の外に出てからラーベをエンチャントの効果を使い召還する。人目に付かないようには配慮しなががらなのだが、どうなるのかは不明だった。…………ちなみに、トラベルホースを出てからラーベが出てこなこったのは、ラーベが他の馬に別れの挨拶をしたいと言ったからで、トラベルホース全ての馬に挨拶が終わる頃に召還すると言ったからである。


「カー」

「よしよし、ちゃんと皆にお別れの挨拶はできたのか?」

「カー」

「うん、できたみたいだな。」


ラーベは召還された直後、私にすり寄ってきて、嬉しそうに鳴きながら私の頬を舐めた。それを見ながら私はラーベに人間の姿になるように頼んでみた。するとラーベの周りに魔法陣ができ、ラーベが光に包まれた。光が止むと、そこには一人の女の子が立っていた。…………大事なところがなんとか隠れた裸の状態の長い黒髪の五歳位の女の子が。



「こ、これでいいのですか、主様……。は、恥ずかしいです………。」

「………………ゴメン、ちょっと待って。何か着れそうな服を探してみるから。服も一緒に出てくる変化なのかと思ってたから。」

「………大体あっていますけどそれは服を着た状態から馬の姿に戻ってからなんです………。私は一回も人の姿になったことはありませんでしたから……で、でも主様になら全てをさらけ出しても………。」

「いや、そこまでしなくてもいいから!!」


そう言いながら私はSWを操作して服を探す。すると、転生ボーナスと基本セットのどちらでも無いフォルダがあることに気付いた。それを確認すると、転生前の私の鞄や靴などの項目だった。暗の写真は一種の賭けで検索機能を使っていたために、この項目には気がつかなかったのだと考える。


「………制服の方は女子の時のままなのか………。これを呼び出して……。サイズは私と同じかぁ……。しょうがない、今日はこれで乗り切って明日ちゃんとした服を買いに行こう」

「は、はい………主様……。私は主様に愛されているのが幸せです。良い主様に巡り会う事ができました……。」


感涙しているラーベに私は制服の上の部分を羽織らせた。これで裸では無くなった。ちなみに下着やスカートなどはサイズの問題で無効となった。とりあえず大事な所を隠すように布は巻いたけれども、かなりギリギリな服装だと思う。まぁ、出発するまでに時間はかなりあるためまたラーンブルータスの服屋で何か買ってあげようと考えた。


「じゃあ、行こうか。そろそろご飯の時間だし。」

「は、はい。主様。で、でもでも私が食べてもよいのでしょうか?私は呼吸という行動が同時に食事と同等となっています。だから申し訳ないというか……。」

「何を言っているんだ。皆で食べた方が美味しいって決まっているしないか。」


そう言いながら私はラーベの手を取り、ルーガナンの宿屋の食堂に向かった。その間、ラーベは私の手をギュッと握っていた。それを見て私はラーベがとても愛おしい存在に思えた。…………って、私はこんな少女であるラーベに馬車を引かせようとしていたのかと後悔してしまう。しかし、もう一頭馬を買うのもなんかなぁ………と思ってしまう。


食堂に着くと、そこにはすでに食事をとっている隼人と鈴、私が来るのを待っていたのであろう響と早瀬、料理人の女性をナンパしている奈津とそれを止めるシータさんの姿があった。


「おっ、流も来たのか~。美味いぞ、このハンバーグ。他にも鰻のハンバーグなんてのもあるんだが美味なんだよ。あ、すいません、葱ダレバーグおかわりで~。」

「全く………隼人も食い過ぎるのは良くないぞ。明日はアトラクションがあるのだから。あぁ、すまないが私には鰻ハンバーグのおかわりで。」

「……二人ともいくら食べても値段は変わらないからって食べ過ぎ。シータさんも困ってる。」

「そうですよ。まぁ、早速ナンパをしている奈津ねぇよりはマシだけど………。」


どうやら、ここではおかわり自由というか、食べ放題らしい。宿屋の長曰く、宿は趣味でやっているだけで本職はギルドで働いている冒険者らしい。そのためか、高い宿代を払っていればどれだけ注文しても食事の値段は大銅角貨一枚分でいいらしい。かなり太っ腹だなぁ、と思っているが宿代は大銀貨一枚なので普通なら高く感じてしまうだろう。


私はシータさんにラーベの事を説明した後、ラーベにも食べ放題の権利を貰えるように宿屋の長に頼んでくれることになった。その間に私はメニューに目を走らせた。ここはハンバーグなどをメインにしているらしいと思っていたのだけど、他の種類も多いらしい。ステーキやフライなども目立っていた。その中で、食べ放題設定でも有料と書かれていたメニューもあった。それは不定期というか、二度とメニューに出てこないようなメニューらしい。簡単に言えば宿屋の長が狩ってきたモンスターの肉から作っているらしい。今回載っていたのは竜目肉のステーキ、一個で金角貨一枚だ。そこまでして食べるべき価値は分からなかったため、私はそのメニューから目を逸らし、普通のメニューを見た。


「とりあえず、普通のハンバーグを二つお願いします。」

「ハンバーグ二つね。はい、注文入りました!!ハンバーグ二つ!!」

「あ、一つはラーベの分だから。」

「…………は、はい!初めてのお肉……興奮します。これまでは人参や穀物、牧草しか食べていませんでしたから……。私達クロウペガサスは雑食なんですよ~。」


私はとりあえず一番シンプルなハンバーグを注文した。………他の物も気になるが、一応シンプルな物をまずは食べてみようも考えたのである。すると五分後に二つのハンバーグが運ばれてきた。なるほど、見た目の方は悪くないたと思った私であった。ちなみに、ラーベは涎をだらだら流していた。


「じゃあ、この世界で初めての食事……どうなりますかねぇ……」


まぁ、すでに大量に食べている隼人や鈴を見れば大丈夫だと感じるけどね………。いや、本当に。

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