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聖者達part 王都の商店街にて-6

………どうやら、このウィンドウは隼人に残留したスキル、『ただの屍ウィンドウ』の効果らしい。スキルの説明としてはこうだ。


・ただの屍ウィンドウ………アイテム召還条件とスキルが融合したスキル。召還条件は話し掛けられた時に無視するなどの反応を起こさなかった場合に出現する。ウィンドウは一回につき三分ほど残留する。基本メッセージは『返事はない。どうやらただの屍のようだ。』だが一回目と百回ごとに特殊なウィンドウが召還される。ウィンドウは手に取ることでアイテムとして手に入る。出現時間を過ぎるまで誰にも触れられなかった時、消滅する。


それを見て私はあのウィンドウを触ってみた。すると、手に取れた。意外と軽く、しかし堅さは充分ある。耐久性は分からないが使い捨ての盾としては使えそうだ。もしかしたらエンチャントの実験台にもなるかもしれない。


・屍ウィンドウ 初回限定版………☆9 色々と盛り沢山なウィンドウ。初回限定版なためか普通のウィンドウよりも硬く耐久力もある。しかし、加工しにくい。


「初回限定版でこれって、かなり凄くないですか?」

「まぁ、元王様だからねぇ………。お~い、隼人~。キルシュさんのパンツの形状はなんだったんだ~?」

「………奈津ねぇ、無駄にウィンドウを増やさなくても良いから……収拾つかないほどウィンドウが転がっているんだけど……。」

「別に使い道はあるからね~。回収しておくよ。」


そんなこんなで隼人のウィンドウを出現させては回収するのが五分ぐらい続き、ようやく隼人が意識を取り戻したのである。ちなみにキルシュさんはもう許しているというか呆れている顔だが、早瀬の顔には未だに怒りの表情が伺えた。そんな早瀬の顔を不思議そうに隼人は見つめていた。


「………………俺に何があったんだっけ………?」

「……その前に、隼人は私に何か言うべきじゃないの?」


もしかしたらまた早瀬が隼人を攻撃するかもしれないと思った。…………まぁ、大丈夫だろうとは思うのだが。一応は元ドMな王様だし。そう思いつつ隼人の最初の一言を待っていると、隼人の言葉はやはり朴念仁のような、唐変木のような答えだった。


「………さっきの着ぐるみは笑ったけどその服は似合ってんな。可愛いと思うぞ。」


多分隼人はこれを無意識というか深く考えずに言っているのだろうと思う。それ故に早瀬が想いを伝えにくいのだ。というか、伝わらないのである。まぁ、さっきのの言葉を言われた早瀬は赤面しながらもじもじとしている。しかし、それでも隼人に言わせたいことがあったのか、隼人にこう言うのだった。


「隼人、私の事を褒める前に下着を覗いてすみませんでしたって、キルシュそんに謝って。」

「あ、そうだったのか………すみませんでした。キルシュさん。」

「い、いえ………大丈夫ですよ。でも、この人は止めて貰えませんか…………。私のパンツの形状を教えてくれってしつこいんですよ………。」

「…………奈津、いい加減にしておけ。また早瀬に殴られるぞ。また地面の上でノビたいのか?」

「別にいいじゃん。もしかしたらノーパンかもしれないしさ。まぁ、夢のまた夢なんだろうけど。」

「そうですよね、白って言っていましたから……。下着は履いていますよね………。」


そんな感じで話していると、ルーシャさんがその話を断ち切った。まぁ、そうしてくれると有り難いんだけどという雰囲気だったので良いことをしてもらったと思っていると、ベルさんが次の店に行こうと誘ってきた。それに私達は着いていくことにしようと思っていると、私はメンズと書かれた小さなコーナーを見つけた。ルーシャさん曰く、イメージと違う出来になってしまい、女性向けのファンシーな物とは言い辛いデザインなのだが、捨てるのも勿体ないという品物らしかった。私は少しだけ覗いてみると、興味のある物がそこにはあった。


「この籠手とかっていくらするんですか?」


私はその中の一つ、『黒狼絹の籠手』を指さしながらルーシャさんに聞いてみると、銀貨一枚分の素材で作ったのだけれど、かなり古いものらしく、銀穴貨一枚でお釣りをくれる値段にまでマケてくれた。これはかなり有り難いことだった。ちなみに、この籠手は剣道の胴着に使われる物ぐらいの大きさだった。しかし、剣道の籠手とは違い、指をはめる場所が手袋と同じように五本の指に分かれていた。


「流石に私も商売人として何年も前に作ってから店頭に並べていた物を高値で売りつける事はできないよ………。」

「確かあれって長手袋を作ろうとしたら出来ないことに途中で気づいてどうにか籠手にしたけどデザインが男っぽいのになっちゃったやつだよね……。」


ルーシャさんとソネットさんが話している間に私は籠手を付けてみる。意外とすっぽり入った割には同じくスパッと抜けることは無かった。手を握ってみると素手の時と同じように動かせる。このままピアノも弾けそうな程動かせるので、剣などを持っても大丈夫そうだ。そう思いながら私は量産品のナイフをSWから取り出し、軽く動かしてみる。結果、違和感は無かった事が確認できたのでナイフをSWに戻した。まぁ、いつもしているわけにもいかないだろうという事にして転身で出せる装備として登録してからSWに入れる。その時にこの籠手のステータスもついでに見てみると以下の通りとなった。


・黒狼絹の籠手………◎6 黒狼の毛の中から絹になりうる部分のみを使い作られた手のひらの部分と、黒狼の硬い毛の部分と皮で作った手首の部分でできた籠手。


追加スキル×2

・高速抜刀Lv4………抜刀のスピードが上がる。柄の部分を飛ばす攻撃の場合、そのスピードと威力も上がる。

・止血………切断などの攻撃で血が出る所がすぐに止血される。



……………高速抜刀の説明は、どこの若く見える主人公の剣技だよと突っ込みたくなってしまう。まぁ、つっこめる相手もいないため、私は誰にもそれを言わずに、ラーンブルータスの服屋から出たのであった。…………因みに、奈津は何も買わずに出た。いや、結局早瀬にセクハラしようとして殴られ、失神したので奈津は文句は言えないだろう。


そして、次に向かうのは旅用の保存食料の店だったのだけど、途中で隼人が何かを見つけた。そして、それを置いてある店のお爺さんにそれが何かを聞いていた。


「これか?これは、テレパスの機会版と言えるものじゃよ。これが最後の一セットじゃけどのぉ。」


それは、私達が求めていた電話と呼べる物らしかった。…………………………なんか都合良く話が進むなぁと思ってしまった私であったのだった。

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