闇の巫女part アイテムボーナスと餞別-4
「一応転生ボーナスと死者転生ボーナスは三つずつと決まっていますから安心して見ておいてください。まぁ、人によって違う福袋見たいなものですから………」
そう言われたので一個一個じっくり見ようかなと思って、俺は転生ボーナスを見た。
・竜剣アルシュルード………◎5 紅竜と銀竜の牙を加工して作られた剣。銀竜の鱗が持ち手になっていて、魔力を剣の中に込めやすくできている。紅竜の牙がベースなため、込めた魔力は基本的に炎となって刃に纏われる。
□………紅竜の牙×10 紅竜の鱗×20 銀竜の牙×10 銀竜の鱗×25 竜の生き血×30 竜石×150 上質な鉄鉱石×800 上級耐熱石×600
…………………進化素材多すぎませんか?この武器………。いや、確かに◎6は貴重だから分かるけれど、それでもランクアップまでにどれだけ掛かるのか心配になってきた。もし◎15への道があるのならどれだけ必要になるか……そう思うとやってもいないのに疲労感がどっと肩に乗ってきた。まぁ、胸が多少大きいためか肩は凝っていたのだけど。
「転生ボーナスは最大が5で死者だと8が出ることもありますけどという所です。」
「まぁ、後二つだけなんだしサクッと見てしまおうか…」
・ベルハンマー………◎3 大きいベルの形をしたハンマー。相手に当てたり、縦に大きく振ると音符を放って追加攻撃もできる。音符は光属性が含まれており、闇のモンスターに効きやすい。音符の種類はランダム。
□………黄銅石×50 祈りの欠片×80 音竜の毛×800 音竜の鱗×60 鉄鉱石×300 竜の喉肉×5
「特殊効果があるとレア度低くても素材の数が多いんだろうか………?」
音竜の毛なんて800ですよ。どんだけ音竜とやらを狩らせるつもりなんですかね………。一発で取れる量が分からないからなんとも言えないのだけど。
「その通りですよ。一応軽々しく強化できない設定になっていますから。成金みたいな人が出にくくなるようにしているんですよ。」
「……………まぁ、今までに出てきてるのはチートとか無いからまだ安心できているんだが………」
死者転生でどれくらいの物が出てくるかが心配になってきた。絶対にこの二つとは比べものにならないほどの素材か必要になるのだろう。そう思ってしまう。そして、転生ボーナスの最後の一つを確認した。
・お菓子のレシピ集達人編………☆5 スキル、お菓子作り達人を修得するためのアイテム。これを使うと修得できるスキルを使うと素材さえ揃えば様々なお菓子を作ることが可能。スキルは最初の一回しか修得されず、修得後はレシピの中に必要素材が書かれるのみになる。これ以上のレシピ集は無いと言われている。このレシピには我々のいる世界とのパラレルワールドから来たものがいるためにホットケーキなどの物も流通している。その替わりとなる素材もキチンと素材として入っており一年に一度更新される。味や見た目をイメージできていれば、可能な限りの素材の情報が出てくる。
これを見て、ややチートっぽくないか?と思いつつ、SWからこのアイテムを取り出そうとキラクに質問した。
「SWか出すにはどうすれば良いんだ?念じてタッチで良いんだろうか………?」
すると、キラクはやり方を見せるように自分のSWを操作した。見た感じ、タッチだけで良さそうだ。キラクはその後にSWを操作して仕舞っていた。ちなみにキラクの出したのは何かしらの本だったと思う。
「まぁ、念じても出るには出ますけど、その時は登録しておかないと………。」
そう言って俺にSWの画面を見せてくれた。どうやら念じるだけで変更したり出したりするにはお気に入りボタンを押しておかなければいくら念じても出てこないらしい。SWを出す暇も無いときに出せると勝機が見えそうな物は積極的に登録しようと誰もが思うのだろう。
「でもこのアイテムは有り難いかな………。素材で変な物を使わなくても済みそうだし………。」
そう思いながら俺はレシピ集を手元に呼び出した。生前はよくお菓子や料理を作っていた。幼なじみ達にもよく試食させたり作ってくれと頼まれたりしていて、バレンタインとかにもよく渡していたな…………まぁ、一般人の方だと上手いレベルであって、アイツ等みたいに飛び抜けているわけでは無いのだけど。それでも、美味しいと言われて嬉しくないわけではないのだ。素材さえあればまた作れる。そう思いながら作りたいお菓子を頭の中に思い浮かべた。
『スキル:お菓子作り達人 を修得しました。』
『レシピ集にプリンが追加されました。レシピ集にどら焼きが追加されました。レシピ集にティラミスが追加されました……………………………』
思い浮かべた途端、大量のレシピがレシピ集に追加された。結果として、スフレやらパフェやらが大量にこのレシピ集に追加されまくり、結果として同人誌レベルの薄さから広辞苑並の分厚さになってしまった。
「…………………この世界のお菓子って、何があるんですかね………?」
するとキラクは静かに答えた。
「角砂糖と黒糖ぐらい………ですね。このアイテムはドロップしたことがないらしいですし。」
物凄く納得してしまう答えが返ってきて、料理版の方ではしっかりと出来ているんだろうかと不安になってしまった。充実してなかったらこれよりも分厚くなるのだろう。とりあえず持ちにくくなったレシピ集をお気に入り登録してからSWに仕舞うのだった。