聖者達part 嵐のようなメンバー達 常時半裸の龍喰者編-6
とりあえず御伽噺に興味津々な二人のことは放っておいて次のページを見ると、『シングラハイムのガラクシュルテン討伐戦』のページだった。
「…………ガラクシュルテンって連続で三回討伐戦があってようやく討伐された竜ですよね…………。」
「そうだな。しかも、このガラクシュルテンへの討伐戦は全て一年の間に行われた物だ。」
「………………どんだけ切羽詰まって討伐しようとしてたんですか、ガラクシュルテンを。」
まぁ、そんなこんなで『シングラハイムのガラクシュルテン討伐戦』のページを見る。よく見ると、なぜか他のガラクシュルテン関連の『スクーシュのガラクシュルテン討伐戦』と『スクーシュのユヌキューシュ鎮魂戦』も続けて書かれている。そして、解説には『当時は三つとも別々の戦争として書かれていたが、現在ではガラクシュルテン滅竜戦として書かれていることも多い。』とある。事実、そのままこれでまとめられていた。
◎ガラクシュルテン滅竜戦
・当時新たな子を妊娠していたテポーデの子を流産させ、『幼き神竜の暴走』のような事が起こらぬように当時のテポーデの夫だったガラクシュルテンを討伐すると、シングラハイム王国の王、ヴェイネンツア・シングラハイムⅢ世により宣言された事が始まり。その後、シングラハイム王国の英雄ユヌキューシュの功績でテポーデの流産には成功するが、ガラクシュルテンに殺されたユヌキューシュの敵を取るために娘のスクーシュが二度ガラクシュルテンを討伐に行ったとされる。
・滅竜戦第一戦はユヌキューシュの率いる兵士、計500人による小数部隊により竜の里を襲撃したガラクシュルテンは浮き足立っており隙を着かれたが、一瞬にしてユヌキューシュの率いる兵を半数以下にした。その後、一部の兵が恐怖から馬の尻を叩き逃走した。ガラクシュルテンの「悲しい部下を持ったものだ」という言葉を聞いたユヌキューシュは他の兵も逃がす動作に出た。そして、単身でガラクシュルテンに挑むも惨敗。しかし、最後にユヌキューシュの呪いにより、テポーデの子供………ガラクシュルテンの第一子は流産してしまった。ユヌキューシュはそれを見届けてからガラクシュルテンに喰われ、その一部始終を見ていた兵士の一人が恐怖のあまり失禁しながら馬を走らせたという。
・滅竜戦第一戦から逃げ帰った兵士からユヌキューシュが死んだと伝えられたユヌキューシュの一人娘であるスクーシュが兵を集め、第一戦から僅か二ヶ月後、ガラクシュルテンを討伐する事を目的として、滅竜戦第二戦の火蓋を切った。集まった兵士は主にガラクシュルテン以外の竜の足止めを目的としており、ガラクシュルテンの元まで向かったのはスクーシュとユヌキューシュの親友だった魔導師アルピレコス、スクーシュの幼なじみの剣士パグレイオスと滅竜銃士アギトラの四人だった。スクーシュ自身が強力な魔術師だったためにガラクシュルテンに善戦するも、援軍として来た竜、アルミュールとハジュワーセⅡ世によりパグレイオスとアギトラと供に瀕死に追い込まれる。そして、ガラクシュルテンからの攻撃により左目を失明、左腕は半分になり、右足は全損した。その後、三体の竜の複合ブレスが迫っていたとき、アルピレコスの転移魔法により一命を取り留めたスクーシュ、パグレイオス、アギトラだったが、退避命令が出せていないために計五千人の兵が犠牲となった。転移魔法で帰った後にパグレイオスは恐怖から精神的に不安定になってしまい剣士としての冷静さを失ってしまい、その後一時的に回復するも身内が死んだ後に再発し、雨で増水している川に飛び込んだ後、行方知らずとなっている。。また、アギトラはアルミュールからの攻撃で利き手の指を全て燃やされており銃が扱えなくなってしまったために滅竜銃士を引退し、滅竜の加護を与えるためのシスターに転職した。その後、良縁叶って結婚している。アルピレコスについてはラオベンミルクから教会の近くに上空から死体を返されたという記録が残っている。
・滅竜戦第二戦から一ヶ月後、義腕と義足に自身の魔力を込めた義眼を付けたスクーシュはシスターとなったアギトラを訪ねて滅竜の加護を受けたが、それだけでは足りないと新な方法を考えた。その結果、自身に強い呪いをかけるという事に決定したため、再びアギトラの元を訪ねて滅竜の唄を覚え、自身に『父の敵ガラクシュルテンを殺せぬ限り死ぬことができない』という呪いをかけ、単独でガラクシュルテンの元へと向かった。滅竜の唄を歌いながらガラクシュルテンを殺すために竜の里を進んだ。その道中に竜のブレスを喰らったり、ガラクシュルテンの爪を受けても死なず、血を全て吐き出した後も歌い続け、とうとうガラクシュルテンを殺し、その後、呪いの効果から意識が途絶えて死亡した。その後ら滅竜の唄は対策が出来てその後、滅竜の唄で死んだ竜はいない。
…………………………。壮絶すぎませんか?これ?
「ちなみに、スクーシュはガラクシュルテンを討伐できた暁には自身の体を報酬とするとして兵を集めたという諸説があるほど、第二戦の兵の集まりようは不自然だったと歴史家の中で議論が行われています。」
「いや、それじゃあパグレイオスやアギトラは百合になっちゃいますけど………。」
「まぁ、それだけ父親のユヌキューシュを尊敬していたわけなんだよ。スクーシュはな。」
「ユヌキューシュは単独でシングラハイム王国の城の地下に現れたゴーレム数千体をたった一人で全滅させたと言われています。それから英雄と名の付くように……。」
しかし、ガラクシュルテンに惨敗してるんだよなぁ………。後、スクーシュさんは完全に復讐の事しか考えていなかったのかと思ってしまう。それに、滅竜の唄についても気になるのだ。そう思っていたら塔子ちゃんがすでにニグルさんに訊ねていた。
「そういえば滅竜の唄ってどんな感じなんですか?」
「一言で言えば軍歌ににている。竜を殺した英雄の栄光を滅竜の加護と供に歌い出せばたちまち竜は死んでしまうような音波を持つリズムの唄だ。現在では全ての竜には滅竜の唄対策の鱗ができている。まぁ、ドラゴンは変わらないがな。」
そして、次のページをめくると、また纏められていた。ヴェグネーベン討伐戦の話だった。それを見て、余りに胸悪かったことか。まぁ、これまでもそんなのは多かったのだけど。童話と違って神話なんかの終わりの後味の悪さはかなり悪い。それでも、続きが気になるので放っておくことにしたのだった。