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聖者達part 嵐のようなメンバー達 常時半裸の龍喰者編-5

「あ、ヴェグネーベン関連では次になりますけど、テポーデ関連では『オプアティウスのヴェグネーベン討伐戦』については後回しにしておいてあります。とりあえず今は『黄金果実の戦い』の方が書かれている方を見ましょうか。」


ルカナさんはそう言って『黄金果実の戦い』のページを開いた。…………でも、同じような話は私達の世界にもあるんだけどね。金の林檎の話が。パリスの審判のような、アテナとヘラとアフロディーテが争ったとされるのが。この神話ではゼウスの妻であるヘラは君主の座をちらつかせており、知恵と戦の神アテナは戦の勝利をちらつかせたが、当時の世の中で最も美しい女、ヘレネを与えると言った美と愛の神、アフロディーテが、アレクサンドロスから黄金の林檎を受け取ったという物だ。丸パクリみたいな内容じゃなきゃいいけど………。



◎黄金果実の戦い


・繁栄の神であったアングバトスが守っていた一本の大樹、グラドには何百年かに一度、黄金に輝く梨が生えた。その果実にはアングバトスが王に相応しきものに食べさせ、その人間を王となる力を与える儀式に使われていた。そして、その果実の味は、神界よりも上に昇ってゆく程の美味と呼ばれており、その味の噂に吸い寄せられた四人の女神が、黄金の梨を四等分にして食ってしまった。それに怒りを覚えたアングバトスは、本来黄金の梨を与える筈だった人物、月の国の第六王子クレルサンクの元へ四人の女神を連れて行き、クレルサンクの望む物を持ってくることを命じた。


・クレルサンクの元へ向かわされた四人の女神、戦の女神ハジュワーセ、豊作の女神オンラルコット、永美の神ロロジェリア、永幸の神ウィンシャウアは、貧相な森にいたクレルサンクを見つけてから、願いを聞きました。この時、クレルサンクは16歳でしたが、自身が王族であるということは知りませんでしたが、世話役の老人が一人いるだけでしたが、彼の言葉からクレルサンクはその事が本当であると信じることができました。アングバトスは神達に怒りを覚えたとき、念じることで神を石像に変えて封印してしまうという術をクレルサンクに伝授していた。


・クレルサンクは戦いの女神ハジュワーセに、竜の子供を連れてくることを命じた。そのためにハジュワーセは産まれてからあまり時間の経っていない竜を探した。しかし、子供の竜を三回も殺してしまい、連れ去る事ができていなかった。竜の素材によりクレルサンクの鎧は完成したが、騎獣としての竜は捕まえられていなかった。四回目にはテポーデの子供、アルマドゥラを獲物に決めて連れ去ろうとした時にテポーデに殺されてしまい、死体はテポーデに喰われてしまった。


・クレルサンクは豊作の女神オンラルコットには黄金の梨にも味が通用するような果実を作る事を命じた。オンラルコットはそのような果実を実らせるために力の半分を一本の梨の木に注いだが、自身の食べた黄金の梨を上回ることができなかった。そんな時に黄金の梨を求めていた悪魔オルコデゴビオに唆され大樹グラドの枝を触媒として使用することを囁かれて大樹グラドの枝を一本折ろうとした所をアングバトスに見つかり、幻術をかけられてクレルサンクに腐った梨を与えクレルサンクの怒りを買いそれからオンラルコットは何百年も石像にされてしまう。


・クレルサンクは永美の女神ロロジェリアに自身に母親がいないために、ロロジェリアに母親として一年間過ごす事を命じた。ロロジェリアは数ヶ月は母親となっていたが、クレルサンクから母親としての責務を放棄する代わりに自身の本当の母親に会わせてくれと頼まれた。しかし、すでにクレルサンクの母親は亡くなっており、クレルサンクの母親の妹を母親だと騙して引き合わせた。その後、罪悪感に苛まされ精神を病み、ロロジェリアは自害してしまう。


・クレルサンクは永幸の女神ウィンシャウアにこの世で最も幸せと言われる永幸の力を分け与えるように命じた。ウィンシャウアの力を手に入れたクレルサンクは幸ではあるが、クレルサンクの望んだ幸では無かったために、精神を病み始めた。一方でウィンシャウアは罪が無くなったと思っていたが、知らない事への幸では無いためにロロジェリアが引き合わせたのが母親の妹だという事も筒抜けとなり、その事に怒り狂ったクレルサンクはオンラルコットと同じように石像に封印した。


・女神が全員達成できなかったためにクレルサンクは王になることができず、月の国は滅んでしまった。クレルサンクはその事に後悔し、国の入り口であった門の前で自害してしまう。


………………………………。


「全員バッドエンドなんですが…………。竹取物語の求婚された時よりも難しくてかつ不幸になるのが丸見えじゃないですか。」

「そうだよねぇ………。ロロジェリアとウィンシャウアは何とかできそうだったけど、ロロジェリアの場合は母親が死んでいたから余計にねぇ………。」

「………悲しがっているところ申し訳ありませんがロロジェリアが連れてきたのは血縁上では完全に他人ですよ。月の国は当時王子は二十人、王女は六人いましたから………継母の妹をロロジェリアは差し出したわけです。」

「「「え?」」」

「ウィンシャウアももしかしたら石像にならなかったかもしれませんしね……………。」


……………実の母親かと思ったら継母だし、しかもその継母の妹だったことを知れば幸せに、なるって、どこが?と思ってしまう。


「…………………でもまぁ、死ななければどうって事はなかったから、竹取物語の方がマシなんだろうなぁ…………。難易度は変わんないと思うけど。」


僕はそう呟いていた。確かかぐや姫の時はと思っているとルカナさんとジルフェさんが興味深そうに僕の方を見ていたので、冒頭部分を軽く説明してから、問題のシーンを思い出しながら話した。


「僕らの世界では教科書に載っているのがこれなんですけど、蓬莱の宝玉といってとある島にある木の枝を取って来いっていう事を命じたんです。」

「それってどんな島なんですか?」

「確か金や銀で出来た木に宝玉が実っている物がゴロゴロある場所です。そして、その枝を見事持ってきた人間がいたのです。」

「ですが、それは職人に作らせていた偽物。そして職人に給金を払っていなかったためにかぐや姫の目の前で給金の催促をして、偽物だとバレたと言われています。」


「確か、火鼠の衣は大金を叩いて買ったのにも関わらず偽物だったので燃えた。天竺の御仏の鉢を持ってこいと言われた人は別の鉢を持ってきたけど見破られた。燕の子安貝の人は背中を折り、竜の首の玉の人は嵐に巻き込まれ行方不明……。だったと思います。」

「壮絶ですね………。それに、この物語があなた達の住んでいた国の最も古い物語なんですね…………。」


他にも御伽草子やらがあることを伝えると、二人は目を輝かせていたけれどお構いなく次のページをめくる。テポーデ関連は無駄に、多いなぁ……と思ってしまうのは気のせいなのだろうか?まぁ、旦那さんが三人(死別ばっかだけど)いたからこそ量が多いのがテポーデさんなんですけどね。


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