聖者達part 嵐のようなメンバー達 戦闘演習のサボリ魔編-8
☆三男 ラオベンパルク
・ラオベンミルクの後に産まれたラオベンタークとヘルゲスティールの息子。ラオベンタークⅡ世に若い頃に殺されたために妻や子供はいない。
・ラオベンミルクの出産により力が衰えていたヘルゲスティールから産まれた。自身の出産で母ヘルゲスティールが死ぬと思えるほど力を持っていないと確信しており、ヘルゲスティールの死はラオベンミルクにあるとラオベンミルクを敵視していた。しかし、ラオベンミルクを殺すことはできず『スディーリヤのラオベンターク討伐戦』の中ラオベンタークⅡ世に呼び出された時にラオベンタークⅡ世から攻撃され致命傷を負う。その時に自らの心内に秘めていたラオベンミルクへの恨みをラオベンタークⅡ世に打ち明けた後に死亡した。この後死体は放置されており、その鱗と牙は後に『黄金果実の戦い』にて戦の女神ハジュワーセが提示した物の一つ、竜鱗の鎧と竜牙の重鑓の素材となっている。
「かなりどうでもいいような所で使われてますね。ラオベンパルクの死体。しかも戦の女神ハジュワーセってテポーデに喰われてるじゃないですか。すごく可哀想な気もしますね。ラオベンパルクは。」
「まぁ、悲劇も多いですから。神話の中の94%は大まかに言えば悲劇ですよ。で、5%は途中まで幸せだけどバッドエンドに近いような複雑な感じに……。」
「いやちょっとまてぇ!!」
それを聞いた僕はすぐに突っ込んでいた。ハッピーエンドな神話って確かにハッピーエンドなのはあまりイメージが出来ないけどさ!!それでもハッピーエンドが少なそうな悪意のある割合なんだけど!!
「いや、もしかしたらこの割合も変わるかもしれませんけど………。」
「つーか童話とかではハッピーエンド多そうなのになんで神話では悲劇ばっかりになるんですか!?」
「…………現実は甘くないんですよ。」
「厳しすぎますよこの割合から言うと!!」
とにかく大声を出して反論してしまったが、後はアオシャルメンカの娘だけなんだ。これが終われば解放されるんだ………と思いながらページをめくると、もはや笑いを誘っているようにしか見えない描写がしてあった。
☆三女 パステト・ベイデンガスト
・ラオベンタークとアオシャルメンカの娘。結婚はしておらず、生涯独身、純潔を貫いた。ファフニールの死後、ファフニールの娘リヴァを養子にして引き取っている。
・産まれた後は教会の人間達に育てられていたが、弟ファフニールが産まれた後に教会から独立している。元々半竜人として産まれていたために常に殺されないかを警戒していたが、特に何も無かった。しかしその中で男性同士の恋愛を見る事に興味を持ち、弟のファフニールと貴族の青年ヤーコスと恋愛しろと直接言ったという記録もある。後に騎士団長のハルベラや医者の息ガイベ、大農地の跡取りトムなどに告白されるも全員振っている。また、後に薔薇書と呼ばれる類の本の中で世界最古の布教活動をした後が残っている。この布教活動は『パステトの薔薇蒔き』と呼ばれている。弟であるファフニールが起こした『ベイデンガストのパングラッセ討伐戦』が起こった時もノータッチだった。王子として次期国王候補だったファフニールが死んだために次期国王になれと命令が来たために嫌々国王の座に立った。その時にリヴァを養子として引き取り国王として薔薇書を布教した。老衰で亡くなった後、彼女の墓には大量の薔薇書が備えられ、今でも彼女の墓とされている洞窟には沢山の薔薇書が保管されており、厳重に管理されている。
……………………………………………薔薇書って、こちらの世界で言う所の同人誌だよなぁ………と思ってしまう。戦争に一切参加していないために余計薔薇書の項目が目立っている。ちなみにパステトが描いた薔薇書のリストも載っていたのだけど生憎僕は男同士の恋愛なんて興味が無いためにさっさとページを開く。ファフニールの項目は飛ばしたので戦争の項目について書かれている場所になった。薔薇書に関しては特に何も言わないことにしていたのでルカナさんも何も言ってこなかった。
「やっぱり○○の○○討伐戦という項目が目立ちますけど、これって現在でも言われるんですか?」
「いや、神話の中では言われますけど、今は討伐戦と言うぐらい強く壮大だったのですが今ではあまり神話に出てくるような壮大な事はありませんね。まぁ強い竜は強いですけど。」
そう言いながらルカナさんはある竜………というかドラゴンの名前を話してくれた。それは今までの竜の話とは違い、ただ存在するだけの物らしいのだけど。
「そのドラゴンの名前はイビルジーク。最も醜く、最も凶暴で、最も人に近いと言われる現代で最強のドラゴンと呼ばれています。」
「それって、倒された記録はあるんですか?」
「一応、勇者の破龍という人物が一匹討伐したという記録が残っています。もっとも、そのイビルジークの死体を保管していた博物館は焼かれて館ごと灰になってしまったらしいですけどね。」
そう話していると、茶を入れ終わったらしくサーティさんが帰ってきた。もう一人見かけない人がいたのだけど、恐らくテンペストのメンバーなのだろうと思う。
「あぁ、サーティもニグルも帰りましたか。」
「まー、そうだな。途中で合流してそのまま漢方茶を入れるのに時間がかかっちまった。一応ストックは確認しておいたんだけどな………。って、新入りのお前にはかなり迷惑かけたな。コイツの惚気話に一人で付き合わせちまって…。」
サーティさんはとても心配そうな目で僕の方を見た。僕の方は別に気にしなくてもいいですよと返し、シエラを受け取った。そうしていると、サーティさんと一緒に入ってきた人か自己紹介をしていた。
「………まぁ、自己紹介はしておくか。俺はニグルという。職業は『ドラゴンイーター』。多分アーサーから聞いていると思うが、赤子の時にドラゴンに喰われ、ドラゴンの体を食い尽くしたという噂は俺のことだ。」
…………さて、噂話でもっとも超人のような人が登場してしまいました。