聖者達part 嵐のようなメンバー達 戦闘演習のサボリ魔編-6
「ファフニールは自身が竜の子であるということから竜を信仰する人々に絶大な支持を受けており、竜でない者が竜の王となった事の怒りをパングラッセに向けたのです。ファフニールは他の兄達よりも強く、気高く、それ以上に魅力を持つ強さがあった事を信仰者達に何度も何度も言い聞かせていました。ラオベンタークの他の息子であるラオベンタークⅡ世や娘であるヴェグネーベンとテポーデの比にならない程の器を持った竜の王であると。そんな竜の王を誑かしたパングラッセの事をファフニールは憎んでいたのです。」
「……………というか竜の名前が多いんですけど………。」
「竜というかドラゴンに関しては種類は多いですね。でもパングラッセの話にはあまり関係ないので………。とりあえずこのドラゴンの家族について僕がまとめた物がありますので、それを見て置いてください。」
そうして渡されたのは『竜の王 ラオベンミルクの家系』だった。ラオベンミルクとファフニールの事はこれを見なくても詳しく言うと思うのでこれのは読まないで置いておくとして残りの竜を見てみることにする。
☆父親 ラオベンターク
・竜の両親から産まれているが親について、兄弟についての記録が残っていない。妻は二人、子供は息子四人、娘三人。
長男→長女→次女(長女と双子)→次男→三男→三女→四男
三女と四男のみ後妻の子。
・元々竜の王として産まれた訳ではなかったが、カリスマ性に似たような物はあった。竜の王として即位した時にはあまり王として認められている様子は無かったが『知恵の神サピエートの乱心』にて知恵の神サピエートとサピエートに仕えし賢者数万人を殺した事により竜の王と支持されるようになった。その後子を残すための竜として幼馴染のヘルゲフィールを妻として娶った。
・その後もかなり多くの戦や略奪で活躍したが、年には勝てずに長男のラオベンタークⅡ世に王の座を譲り隠居した。しかし、三男を出産したときにヘルゲフィールが力尽きてしまい、亡くなった後は悲しみにくれて七日間泣き続けた。その涙は湖となり、現在も残っている。
・ヘルゲフィールが亡くなってから数年後、信仰されていた大司教の娘アオシャルメンカ・ベイデンガストから求婚され、そのまま妻として娶った。その後、三女と四男を出産させた後に老いに負けてしまいアオシャルメンカと供に自害した。
・鱗の色は金色。
☆母親 ヘルゲフィール
・夫となるラオベンタークとは幼馴染。父親と母親についての文献は残っていない。妹にヘルゲスティールがいる。
・『知恵の神サピエートの乱心』の後にラオベンタークから妻になってくれという告白を受けラオベンタークの妻となる。その後、長男ラオベンタークⅡ世を出産した。その後双子の姉妹を産んだ後に産まれる次男ラオベンミルクに力吸われつつもなんとか出産し生存したがその後、無理して三男を出産した後、力尽きてしまい死亡した。戦には出ていた記録も残っているが、討伐戦の名に載っていない。また、後妻であるアオシャルメンカの自殺した後、霊体となりベイデンガストの血を代々見守ると伝えられるようになった。
・鱗の色は薄い桜色。
☆長男 ラオベンタークⅡ世
・父親はラオベンターク、母親はヘルゲスティール。長男のために竜の王を相続する立場にいた。後に妻ガベラを娶っているが、子供はいない。
・『知恵の神サピエートの乱心』事件から数年で産まれてから竜の王となる事を義務付けられていたために日々厳しい訓練を行っていてた。そんな環境の中父親であるラオベンタークから側近の娘ガベラを紹介されて結婚した。
・竜の王として即位した後、ラオベンタークの三男ラオベンパルクが母親であるヘルゲスティールを殺したと認識し、復讐のために隙を見て『スディーリヤのラオベンターク討伐戦』の戦闘中にラオベンパルクを殺害した。その時にラオベンパルクから命乞いで元々はラオベンミルクが悪いと訴えられ、それに感化されてラオベンミルクを殺害しようとするが、『デウダランダのラオベンタークⅡ世討伐戦にて油断しガベラを人質に捕られてしまい、デウダランダの拷問のような攻撃により衰弱してしまう。後一歩の所でラオベンミルクに助けられるがラオベンミルクを殺すという願いが頭の中に残っていたためにラオベンミルクを攻撃するが、ラオベンタークⅡ世を止めようとしたガベラにより阻まれる。その時にデウダランダの従者だったプシュータにより、ガベラの頭が切り落とされ、それに怒りを覚えたラオベンタークⅡ世によりプシュータは死亡。プシュータの最後の反撃の毒に侵されたため、ラオベンミルクに竜の王の地位を譲り、ガベラの死体と供にラオベンミルクによって灰になった。
・鱗の色は金色。
…………………ここまで見るとラオベンミルクの血縁者達はかなり濃い人生を………いや、竜生を送ってきたのだなぁと思ってしまう。正直言って短くまとめただけでもこの量なのは………とも感じてしまう。この近くに図書館があるのなら少し読もうと思った僕だった。いや、分厚い本を読むのは苦手なんだけどね。
「…………そういえば、なんでラオベンタークⅡ世とガベラの間には子供がいなかったんですか?」
「簡単に言うと母親が子供を産んで死亡してしまったのを知っているから自分もこんな形で妻を亡くすことはしたくないという思いから拒んでいたんですよ。竜の中には母親の力を吸い取って産まれる竜もいるんですよ。ラオベンミルクのようにね。そんなトラウマの真っ最中に『スディーリヤのラオベンターク討伐戦』や死ぬことになってしまった『デウダランダのラオベンタークⅡ世討伐戦』が始まっちゃったわけ。だから子供を作ることもできないまま亡くなっちゃったわけだよ。王の跡継ぎどころか楽しく笑えるような家族を得ることも出来ずに亡くなっちゃったんです………。僕には双子の娘がいますけど、その二人が産まれないまま死んでしまっていたら………とても悲しいです。」
そんな悲観的な事を言うルカナさんはすごく暗い顔だった。しかし、今の僕には討伐戦で名前が出てきたスディーリヤとデウダランダとプシュータの事が気になった。もし英雄と呼ばれるような人ならジルフェさんに聞けば良いけど多分歴史上の人物なだけで英雄レベルでは無いのだろうと思ったのだった。…………何で転生者用に基本セットの中に人名図鑑的な物が入っていないのだろうかと思ってしまう僕だった。