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聖者達part 嵐のようなメンバー達 戦闘演習のサボリ魔編-5

「初めてラオベンミルクを見たパングラッセは確かに怯えていましたが、ラオベンミルクは彼女にプロポーズとして自らがかぶっていた王冠をパングラッセにかぶせました。今、ジーブルフリーデでのプロポーズの方法はこの神話から来ています。そして、このラオベンミルクのプロポーズは成功しました。確かに実の兄であるパスドルハーを、殺されていますけどもラオベンミルクの愛を感じてそのプロポーズを受けました。というかパスディアーヤに守られていてまともに男の人を知らなかったパングラッセにとってラオベンミルクは初めて出会う身内以外の男でしたからね。まさに運命の相手みたいに思っていたのでしょう。」

「…………いやいや、おかしいでしょ!!ラオベンミルクはパングラッセの実の兄を殺してるんですよ!?さらに義姉であるユーフラーテも逃げていますし!神話の中の恋愛ってなんで毎回変な事になってるんですか!?僕の前にいた世界の神話にも変な恋愛ありましたけど!!都合良すぎないですか!?」


パングラッセを一目見てラオベンミルクが恋するのは分かる。パングラッセの微笑みと比喩される元となった神だから。でも、どう考えてもパングラッセがラオベンミルクを見て一目惚れを起こすのはおかしい。というか僕がその立場なら絶対に断っ…………。あっ。


「もしかしてパングラッセは脅されたんですか?ラオベンミルクにこのプロポーズを受け入れなければ殺す、とか。逃げたユーフラーテや結婚して幸せなパスディアーヤを殺すとか。」

「いや、それはありませんでした。パスドルハーが追い払ったのは皆悪の心を持っていたのですが、ラオベンミルクは純粋にパングラッセに恋をしたいと思っていました。もし、プロポーズが受け入れられなかったら王の立場を捨てて、パングラッセを守ろうと最初に誓ったようです。ちなみにその時のプロポーズの言葉として残っている物で最も有力なのは。『我は貴女に恋をした。我は貴女に忠誠を誓った。けれども我は満たされぬ。けれども我は諦めきれず。どうか我の心を聞いてくれ。我は貴女の愛が欲しい。決して裏切られぬような愛が欲しい。故に我は願う。我は貴女の隣に生涯仕えよう。どうか、愛の印を我に与えてくれないか?もし断られたら、我は竜の王であることをやめ、貴女を守るだけの物になろう。答えは我に進むか、我から引くかで見せてくれ。』というのです。まぁ、最近ではこのラオベンミルクのプロポーズの言葉をかなり短くした物が使われていますけどね。」


そりゃそうだろう。僕らの世界じゃあ余程の有名人でない限りベタなプロポーズになる。基本的に指輪を差し出して「結婚してください。」って言ったり、「毎朝俺のために朝食を作ってくれ」とかだし………。でもまぁ、ラオベンミルクのプロポーズには本当にラオベンミルクがパングラッセの事を愛しているということが分かる。長いけど。かなり長いけど。



「ちなみに僕はローネにプロポーズした時にはこんな台詞でした。『僕は生涯誰よりも貴女を愛し続けます。結婚してください。』という言葉でした。ローネは顔を紅潮させながら「………おぅ。」と答えてくれましたよ。この時の顔は今でも僕の脳内の中で再生できるぐらい頭に焼き付けてありますよ。でもこの言葉を言うのにかなり苦労しましたよ。言おうとしてから軽く二週間は経過しましたから。」

「ここで惚気話に戻すってあんまりじゃないですか?神話の事を話してくれるならちゃんと貫き通してくださいよ…………。」


せっかく惚気話ばかりの馴れ初め話が終わっていたのに、いきなり惚気話に持ってくるルカナさんに僕は溜息のような愚痴を吐いた。いや、むしろ惚気のペースが落ち着いていることがありがたいから怒鳴りはしなかったのだけど。


「パングラッセに贈られた王冠から、パングラッセは竜の王となり、パングラッセの元にはたくさんの竜が新たな王であるパングラッセに忠誠を誓い、ラオベンミルクの事も、王の婿として忠誠を持っていました。しかし、新たな王パングラッセの事に納得していない竜も当然おりました。ラオベンミルクの一番下の弟、ファフニール・ベイデンガスト。父にラオベンミルクの父親ラオベンタークを持ち、母親は竜を信仰する大司教の娘アオシャルメンカ・ベイデンガストという、人の姿をした竜でした。ベイデンガストの王子でもあったファフニールは自分か生涯適わない相手が色恋沙汰で王の位を譲ったことに腹を立てて、竜を信仰する人々を唆してパングラッセの討伐を命じ、自らもその討伐戦に参加しました。」

「まぁ、色恋なんかで暴走して反乱起こすなんてしょっちゅうだしなぁ………………。クレオパトラの色香に惑わされたアントニウス、楊貴妃への愛に狂った玄宗にトロイアの王子パリスを狂わせてスパルタ王メオラオスから奪われてトロイア戦争を起こさせたヘレネ………。僕らの世界の世界三大美人は皆誰かを狂わせましたからね。」


ヘレネの事は神学なので高校の世界史などでは詳しく教えられないどころか教えられもしないけれど他の二人、特に楊貴妃についてはかなり詳しく教えられたと思う。いや、まともに通っていないんだけどね。


「結構面白そうな話がありますね………良かったら今度教えてください。」

「はい。まぁこれはシロが僕に覚えてからいらないってくれた本から得た知識ですけどね。」


この世界の人にこの話は面白いのかどうかは分からないけど話してみる価値はあるらしい。今度ジルフェさんに話すときに呼ぼうかという事になりました。


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