表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/124

聖者達part 嵐のようなメンバー達 戦闘演習のサボリ魔編-4

ルカナさんはサーティさんが去ったからかかなりごきげんな様子で話し続けた。それはもう、毎日がデートだった頃からの話を多少要約されているとはいえかなり疲れてしまった。そんなこんなで四ヶ月分の話が終わった。


「僕がローネに告白したのは出会ってから五ヶ月目…………テンペストに入ってからでしたね。告白した場所は喫茶店でしたか………いや、これは僕がローネに結婚一周年の時に愛しているって伝えた場所でした!!え~と、え~っと、確か………そうだ、デートスポットて有名なレストランの中でした。名前は………『ハルラック』でした。この店はかなりお洒落な内装で、ローネがそこにいるだけで薔薇の花が一輪咲いたように周りのローネ以外の女性が霞んでいましたよ。告白の言葉は非常に単純でしたけど、ローネはとても顔を赤くしていて………可愛かったです。本当に、パングラッセの微笑みなんか目じゃないぐらいでした。そして顔を恥ずかしさから俯きながら「私も……好きだ。」っていう声が聞こえたときに僕はローネに抱きついていましたね。その包容の温かさはこの世の誰よりも温かかったです。そしたらローネが僕の口にキスをしてきたんです。それはもう天に昇る気持ちでしたよ。やはりベネズギートの口づけなんて大したことないかもしれないぐらいローネからの口づけは僕にとって最高でした。それで…………。」

「ちょっ、止まってください!!いくらなんで速すぎますから!一旦ストップしてください」

「あぁ、すみません…………ついつい歯止めがきかなくなりまして…………」


歯止めがきかないなんてもんじゃない。サーティさんがいなければ本当にいつまでも続いていたと思う。しかもそれにまともに耳を傾けているのは僕だけだ。花多美ちゃんとアンシュルテちゃんはすでに演習場の映像に見入っている。しかしここで聞き役の一人がいなければ延々と言い続けるだろう。僕はこの惚気話が長すぎるとルカナさんに叫びたい衝動に何度も駆られたが、演習場の映像に見入っている間にブツブツと聞こえるよりはマシだと思うので聞くことにする。


「そういえば、話の中に出てきたパングラッセとベネズギートってなんの事なんですか?」

「まず、パングラッセというのは神の名前です。ジーブルフリーデ公国を含む一部の地域では桜の神と呼ばれていて、より可愛い物の例えに使われると言われています。パングラッセの微笑みというのは可愛い人の笑う顔についての褒め言葉となっています。」

「そうなんですか…………。」

「そしてベネズギートも神の名前となっています。彼女は欲望と蛇の神と言われており、諸説からベネズギートの口づけはどんな男でも魅了するという魅力を持つ物として語られています。」

「ルカナさんって神に詳しいですね……………」

「まぁ色々と本を読んでいますからね。」


そう話しているとまたルカナさんの暴走が始まった。それはもう、また口出しができないほどだった。しかも今度は惚気話では無く別の話だった。まぁ、惚気よりはマシだしこれまでの惚気話の口直しには丁度良かった。


「神話からパングラッセはシラキサと呼ばれる春の神(男性)とスフィラスーナと呼ばれる愛の神(女性)の次女として産まれました。姉と兄が一人ずつおりまして、姉は慈愛の神、兄は溺愛の神と呼ばれております。二人は双子ですが仲はよくありませんでした。なんで慈愛と溺愛と感情なのに妹のパングラッセは植物なのかと言うと、パングラッセは三つ子として産まれるはずだった赤子が融合してできた娘だと言われているからです。その三つは成功と恋と失敗だったと思います。」


いやいや、それ『サクラサク』と『サクラチル』という大学受験などでよく使われる表現!!それに恋って絶対に有名なギャルゲーから来ていると思う!!と突っ込みたくなったがなんとか静めることができた。


ルカナさんのパングラッセについての説明はまだまだ続いていた。ちなみにシラキサとスフィラスーナの馴れ初めは春の息吹を蒔きながら旅をしていとシラキサが冬の間凍り付いていたスフィラスーナを助け、その恩からスフィラスーナはシラキサが春の息吹を蒔く旅に着いていくようになった。それからシラキサの訪れた地域にはシラキサの蒔く春の兆しとスフィラスーナの蒔く愛が混ざり合い、春が訪れると供に愛を感じるようになった。という感じらしい。



「慈愛の神パスディアーヤと溺愛の神パスドルハーは産まれてきた妹のパングラッセの事が可愛くて可愛くて愛をたっぷり注ぎました。その愛らしい顔はパスドルハーがパングラッセが自身の妹であるにも関わらず手を出し契りを結ぼうとしたほどです。それを止めたのがパスディアーヤという記録も残っています。」

「なんかどうでも良いような記録も残っているんですね。」

「神の記録はたくさん残っていますからね………変なのも稀にあるんですよ。」


ルカナさんは笑いながらそう言うけども真面目な顔にすぐ戻した。そして、話は続いていく。


「パングラッセの愛らしさに虜となった神は多いのですが、皆パスディアーヤの守りによって手を出すことが出来ませんでした。しかし、パングラッセを守っていたパスディアーヤはパングラッセに求婚していた夏の神であるワーツの使いであった宣教師ハルディオンに恋をしてしまい、ハルディオンを追いかけて行ってしまいました。」


こちらの世界の神話にも横恋慕みたいな恋の仕方もあるんだなぁ…………と思ってしまう。僕としてはこういう横恋慕はかなりあった記憶もあるし。でもパスディアーヤはミーハーすぎじゃないか?と感じてしまう。しかしこれでパングラッセを守る者がいなくなったんだろう。


「守りの無くなったパングラッセは、茶の神であるユーフラーテを妻に持ったパスドルハーがパングラッセを守ることにしました。しかしパスドルハーは最初の何人かの神は追い払えたものの、パングラッセに求婚した竜の王、ラオベンミルクによって殺されてしまいます。パスドルハーがラオベンミルクに殺された場面を見ていたユーフラーテは逃げ出してしまい、パングラッセには守ってくれる者はいなくなりました。」

「ラオベンミルクってどんな竜なんですか?」

「神話の中では殺してきた神々の血により神々しいような紅の色の鱗、二足歩行で動き、背中にある翼の間に袋があり、頭の上には黄金色に輝く王冠をしていたと書かれています。牙には火薬のような粉が付着しておりかみ砕くものの肉片すら爆破してしまう、と言われています。討伐された記録は無く、死因は老いによる老衰となっています。」


こう聞くとパングラッセはラオベンミルクの妻として一生を終えるのだろうか?と思ってしまう。まぁ、パングラッセが幸せに死ぬのならなんの問題もないのだけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ