聖者達part 嵐のようなメンバー達 戦闘演習のサボリ魔編-1
「つーかお前はいつも怠けているよな………ルカナ。今日は召集かかってたくせに一時間ぐらい前にようやく起きた顔してんぞ。」
「心外だなぁ。僕は戦闘演習以外には常に全力だよ?むしろ茶の研究ばかりで他のことしないサーティに言われたくないよ。」
「なら早起きも可能だよな?毎朝五時起きも全力でやれば可能だよな?なのになんでお前はいつも七時に目が覚めるんだ?」
「ニンゲンネムケニハイッサイカナワナイノデー。」
「馬鹿にしてんのか?」
「うんしてる。」
サーティさんがルカナさんにいらついたのかヒルージュさんの方に注いでいた七麦茶をルカナさんのカップの中に入れよとしていた。
「おおっと、手が滑るなぁ~。」
「ちょっと待って!!なんでいきなり七麦茶の六杯目をさらにブレンドしようとしてくるんだよ!!台無しになるところだったじゃないか!!」
「……………この二人は相変わらずですね。」
「あ、そうなんですか。結構にぎやかなんですね。」
サーティさんとルカナさんが言い争いをしているのを見て、アンシュルテちゃんがため息をついていた。どうやらこれがサーティさんとルカナさんの日常らしい。それにしても自分がもう二度と飲みたくないとコメントした七麦茶の六杯目をルカナさんのティーカップの中に入れようとするサーティは鬼なのかもしれないと思ってしまう。
「そういえばルカナさんはどんな経緯でテンペストに入ったんですか?」
「あぁ、コイツの経緯はヒルージュに匹敵するぐらい酷い理由だぞ。」
「ちょっ!サーティ!それこそ心外な事じゃないか!!」
「うるせぇぞルカナ!!お前は俺より二つも年下じゃねぇか!年上と結婚した若い奴がサボリ魔でどうする!!」
塔子ちゃんがルカナさんに聞くと、ルカナさんが話す前にサーティさんがイライラしながら答えていた。ちなみにサーティさんはシエラ派らしい。シエラを一杯飲んでから話し始めていた。ちなみに当事者のルカナさんは気絶しながら目を虚ろにしていた。どうやらサーティさんの七麦茶の六杯目攻撃が決まったらしい。……………サーティさんは怒らせないようにしようと僕は心に決めた。
「ルカナは元々シェイヌケーテの方に入ってたんだよ。で、魔物討伐でかなりの功績が会ったんだがその前から戦闘演習をサボって図書館に行ったり料理作ったりしていた結果、シェイヌケーテの団長のユンクさんの怒りに触れたんだよ。」
「…………………あの…怖い……人?」
「あぁ、そうだね。恐いよねぁ~ユンクさん。」
「………ちっ、もう復活しやがった。」
「本当に苦しかったから『吊された男』の効果で無理矢理復活したんだよ。大体なんで僕にも六杯目を注ぐんだよ。ヒルージュにだけで十分じゃないか。」
「つーかお前のやったことは六杯目への冒涜だ。なぁヒルージュ。サボリ魔にはこれは極上の味だろ?」
いや、なんで肯定する気満々のヒルージュさんをわざわざ指名してまでルカナさんの事を否定したいのだろうか?というかいきなりタロットの力を使っていたみたいなルカナさんに『吊された男』の能力について聞いてみた。
「『吊された男』は味覚や嗅覚、視覚に聴覚などを一時的に使えなくする銃を召喚するんだ。今回は僕の味覚を一時的に殺してどうにか振り切ったわけ。」
「あれだけの快感を味わうことをしないなんて、ルカナさんは本当に人間なのですか?」
「いや、あれをまともに飲める人間を僕はヒルージュしか知らないから。茶葉の研究者のくせにこれを飲めないサーティが作っている劣化版でも常飲できる人は世界で数人かもね。」
ヒルージュさんは恍惚な表情を浮かべながら喜んで飲んでいたけれどもサーティさんやルカナさんの言うように本来なら七麦茶の六杯目を飲んだ後の反応はルカナさんの状態の方が普通なんだろうと思う。
「でも嫁になんて言おうか………。サーティのせいで今日のご馳走の味が分からなくなっちゃったって言えばいいのかな?」
「それはやめろ。俺まで食い物の味が分からなくなる。というか死ぬ。この事は忘れろってか毎回思うがお前のせいだからな。」
「相変わらずサーティは双子の姉には適わないのかなぁ?」
「…………………………団長、人前でその事は黙っとけと何度言えば…………」
………………なんか面白そうな予感でもしたのか兎子が上目遣いでニコリと笑いながらこう言うのだ。兎子になっているシロは身長がかなり縮み顔も少女っぽく………というか、小学生時代のシロなのかもしれない見た目になっていたので、上目遣いの兎子の声はサーティさんの心を動かしていた。
「………馴れ初め………どんなの?」
「…………………あぁ~、分かった、分かった!!言うから!!話してやるから、ルカナとその嫁の馴れ初め!!」
「って、それサーティが言うんですか!!普通僕が言うはずでしょ!!」
「ルカナに言わせたら自分の嫁だからかなり美化するだろうが!!」
「サーティは僕の嫁を卑下しすぎなんですよ!!僕の嫁は最高に美人で可愛いんだよ!!立てばルキーナ座れば白亜。歩く姿はアルネイーテだ!!」
多分さっきのは僕達の元の世界で言う立てば芍薬座れば牡丹。歩く姿は百合の花のバージョン違いなんだろう。今回の解説はアンシュルテちゃんだった。
「ちなみにルキーナは水と美容の神と呼ばれていて、白亜は旅と出会いの神、アルネイーテは美と薔薇の神と言われています。資料では全員美人で描かれている神達です。サーティさんはとても美しいという意味で使っていますね。」
「私達の世界では花を入れていたかなぁ~。」
「そうなんですか……。こちらでは神の組み合わせは人それぞれになりますから意味のアレンジも可能ですね。実際にホラ、サーティさんが言っていますよ。」
神様の数が多いのとこちらの世界とはやや違ってアレンジできるというのを聞いていると、サーティさんが言い返していた。
「あのなぁ、ルカナ。お前の嫁かつ俺の双子の姉は立てばバンキス座ればツェシカ。歩く姿はバンガテスだ。」
「それは心外というかサーティは自分の双子の姉をよくそう悪く言えますね!!」
「いや、アイツは元からあぁ何だよ!!俺の女房の方が綺麗だし優しいし、笑顔が可愛いんだよ!!」
………ちなみに、サーティさんの言った神の意味は『とてもだらしなく、我が儘で乱暴』らしい。バンキスは酒の神、ツェシカは独占欲の神、バンガテスは破壊と戦の神らしいです。これはジルフェさんが教えてくれました。