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聖者達part 嵐のようなメンバー達 茶葉の研究者編-3

「そういえば、この紅茶の品種ってなんですか?」

「あぁ、それはシエラだったか………。お前等が転生する前に似たようなのはあっただろうけどこの世界ではシエラだ。」


味としてはアールグレイに近いけれどと、紅茶に詳しくない女子力の低い僕はそう思った。まぁ、一々前の世界の紅茶と照らし合わせるのも二度手間なので気にしないことにした。


「別の茶葉も試して見てくれよ。なるべく気に入った茶を飲んでほしいからな。」

「…………私は……これでいい。」

「私はもう少し味が濃い方がいいかなぁ。」

「…………美味しいですけど私は抹茶の方が良いですけど………今はこれでいいです。」


兎子はシエラを気に入っていたけれども、塔子ちゃんは少し物足りないらしい。花多美ちゃんはイメージ通り、抹茶を飲み慣れていたらしい。紅茶も飲むけれど抹茶の方が好きらしい。サーティさんは抹茶という言葉に疑問を示していたけれど、聞くのは後にするらしく黙ったままだった。


「ちなみに私とジルフェもシエラが好きなんだよ。ね、ジルフェ。」

「は、はい!団長!!私もシエラ派です!!」

「私はシエラよりもジルグの方が良いですよ………。」

「…………お前ジルグにミルク五杯も入れるじゃねぇか……。後ジルグは熱いのを飲むのが美味いのに冷ますしな………。」

「お、美味しいから良いじゃないですか!!それにあれだけ熱ければ舌が火傷しますから!!」

「…………だから何度も言っているだろうが。ジルグはその適温の高さと大人の苦みだってよぉ………。お子様みたいに文句言うならチャコベンでも飲んどけ。」


どうやらジルグというのは熱くて苦いのが特徴でチャコベンは多分子供向けの飲みやすい茶葉の種類なんだろう。僕はシエラも良いけれど他のも気になったので今度サーティさんに頼んでみようと思うのだった。できれば気分によって飲み分けが出来るようになれば良いけど。


「そういえば太がフィルアーマに行くんだったな………。フィルアーマはメグラス茶葉やユーグリ茶葉が特産品だし茶菓子になる果実も豊富だからな………。注文しとくか。」

「茶菓子になる果実って何があるんですか?」

「多分名前は同じかもしれないが、バナナとオレンジだな。こんな奴だ。バナナはカップケーキの生地に混ぜたりするんだよ。」


見せられたのは確かに見覚えのあるシルエットのバナナとオレンジだった。見たことのある果物ばかりで安心する。未開の物ばかり食べようとする程の余裕がない状態では無いのだから。


「フィルアーマは遊べるビーチがあるほど平和な砂浜があるほど平和な国だよ。特産品には鮪や烏賊なんかがよく穫れるらしいよ。ジーブルフリーデとはよく貿易しているからメグラス茶葉やユーグリ茶葉も大量に手に入るんだ。この二つはジーブルフリーデと環境の折り合いが悪くてこっちで栽培はできないからね。」

「ちなみにジーブルフリーデではシエラ茶葉やジルグ茶葉が元々多く栽培されている。この二つ意外は俺が改良して採れるようになったが量としては少ない方だ。」


どうやらサーティさんの活躍でジーブルフリーデには茶葉の種類がこなり多くなっているらしかった。しかしあくまで紅茶と呼べるような紅い色の茶しか扱ってないらしく緑茶や抹茶などの日本製の茶が飲めるのは随分先になりそうだ。なんせ味は似ていても加工の仕方で変わってくれるほどこの世界は甘くないのだろうから。


「そういえばサーティ、アルクレーガンの団長のベルにクリュックス茶葉とかを持ってきてくれって頼まれてるから持って行っておいてね。」

「クリュックスは一回に使う茶葉が他のに比べて多いからな…………。分かった。また明日か明後日にも渡しに行ってくる。茶菓子については何も言ってこないよな?」

「そうだね…………。最近はアルクレーガンの中でも作れる人間が増えてるから必要ないってさ。茶葉の配達ぐらいでいいよ。奥さんにも悪いしね。」

「まぁ確かに茶会に参加するのも悪いからな………。あぁ、そういえば最近ベドマ茶葉が量産できそうだから欲しかったら早めに予約しておけって言っておいてくれ。団長。」


ちなみにクリュックスはアイスティーとしての適性が高く、ベドマはチャコベンから少し甘さを抑えた茶となっているらしい。


「そういえばバクベル茶葉の量産にも成功の道が近付いてきてさ、今度女房と収穫するんだが、誰か体験してみたい奴いないか?」

「はーい!!って、あれ?他の皆さんはなんで手をあげないのですか?」


アンシュルテちゃんが茶葉の栽培体験をしようと手を真っ先にあげていた。やっぱり見た目相応なお子様らしい表情だった。それを見てから花多美ちゃんも手をあげる。その様子はまるで妹の付き添いをする姉のようだった。


「じゃあこの二人で良いか~って、なんだいたのかよルカナ。」

「はい、さっき来たんですよ。僕も体験に行きたいです。」


ルカナとサーティさんが呼んだ場所を見ると、そこには黒い髪で大きい三つ編みで後ろの髪をまとめている若そうに見える男の人がいた。サーティさんの時はジルファーンの話に夢中になっていたから分からなかったのは仕方のないことだったとおもうけれど、この人は気配もあまり感じなかった。


「お前は演習以外には興味津々だよな…………。」

「そうですね。嫁にもよく言われますよ。今はテンペストに来れて良かったと思っていますから。」


テンペストの男性の既婚率高いなぁと思ってしまう。サーティさんにルカナさんなど、これまで出てきた人全員既婚だ。この世界の結婚適齢期は知らないけれど女性陣はまだ若いのでこれからなのだろうと思う。


「まぁ、テンペストのようなスタイルの騎士団ならお前も生き生きとするだろうなぁ…………。」

「よくサボるのが僕の長所ですから。」

「俺はお前のことを褒めてないぞ、ルカナ。」

「…………………あ、転生者の人達もう来てたんだ。自己紹介しておきませんとね。」


そう言ってルカナさんが自己紹介のために礼をした。その時にルカナさんの左手の薬指には小さな青い宝石が埋め込まれた結婚指輪と思われる指輪があったのだ。


「僕はルカナ。職業は『占符剣士』となっていますね。そちらの世界でも名前は同じかもしれないタロットカードを主に利用するのが僕の戦い方なんです。」


そう言ってルカナさんは自分の首もとのネックレスを指さした。どうやらこれがルカナさんの武器となる物の鍵らしい。どうやって武器にするのかはさっぱり分からないけどね。


「あ、サーティ、僕にはいつも通りチャコベンとジルグのブレンドをお願いします。」

「ったくよぉ……。ブレンドは手間かかるから入れ方覚えろって言ったよなぁ、ルカナ。」

「だって嫁やサーティに入れてもらう方が美味しいんだから。僕はそこまで器用じゃないしね。」


ちなみにチャコベンとジルグのブレンドはカフェオレに似た感覚の紅茶になるそうです。

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