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聖者達part 嵐のようなメンバー達 元盗賊団の長編-5

『二人の母は、父親に見初められてから無理矢理結婚させられてその父親から洗脳の魔法を受けていた事をジルファーンは知っていました。町の者から聞いていたのですが、王族の魔法は発動時に跳ね返すこと以外に解除する方法が一つしか無い魔法でありました。』


『もう一つの方法は、王が死んだ後、新しい王に変わった後に解除されるのですが、母親は魔力が足りず洗脳の魔法が解けるのが少しばかり遅くなっていました。』



『何年も愚王であった父親に操られていた母親を思うとジルファーンは悲しみましたが、カリヴァーンはただ笑っているだけでした。』


……………おい、カリヴァーン。せめて母親の死を悲しんでおけよ。父親殺したのはジルファーンと言っても仕方ないかもしれないが母親殺したのはお前だろうが!!と叫びたくなってしまった。つーか真面目なのだけど不気味な笑顔て書かれているカリヴァーンの絵が本当に怖い。絵師さんはもう少し押さえた方が良いと思うぐらいリアルで怖い。童話でその笑顔をそのままにしないで!!もう少しデフォルメして!!



『「なんだ、母上が死んでしまったのか。まぁ良いとしよう。残る邪魔者はお前だけなのだからな、ジルファーンよ。」カリヴァーンはもしかしたら灰も残らなかった母親を自分が殺した事を認識しなかったのかもしれません。』


『「しかし、このまま魔法を放っても何の意味も無いだろうな。魔法を跳ね返して私を、私の愛するジョルゼーブを殺されたら溜まらない。国民も悲しむだろう。」カリヴァーンはわざとらしくそう言いました。』


…………いや、絶対に国民は悲しまないと思う。国民が悲しむとしたらそれはジルファーンが死んでしまった時だろう。



『「しかし困ったものだ。洗脳も聞かなければ石化も跳ね返される。それに、煉獄はお前が誰かを盾にし続ければ死ぬことも無い。他にお前を殺すことが出来そうな魔法は無いのだなぁ。」そう言いながらカリヴァーンは溜息を付きました。』



「まぁ王族魔法にはそれぞれ種類があるけれど殺す物は本の魔力余剰分が少ないから比較的少ない魔力でも跳ね返せる。だけど、王への処刑の三つ目は本から借りられる魔力が多いから洗脳の魔法や石化の魔法を跳ね返せるような実力があっても跳ね返せない。」

「とゆーかそれってどの国にもあったんですか?」

「形が違ったりするけど一応ジーブルフリーデ王国時代にはあったよ。もっとも使われたのは一回だけ。これについては王都の本屋で探せば英雄として語り継がれている物語が見つかると思うよ。」


まぁ、しばらくはここでの生活と仕事に慣れて貰うために王都には行かないけどねとガンさんが付け加える。それはこちらも同じ意見のために何も言わないでおく僕達だった。



『「まぁ、どこか遠くへと飛ばしてもお前はこの国から消えるのだ。二度とお前の顔は見たくないのでな、ジルファーンよ。」そしてカリヴァーンは利き手では無い左手をグシャリと潰すように握りました。左手からはカリヴァーンの血が沢山流れています。』



『「王族の本よ、我はペルクデイル王国の王、カリヴァーンである。我に害なす男、名をジルファーン。我の血を持って、我が双子の弟を果ての地へ飛ばせ。我、王族なりて王の血を捧げし者。ペルクデイルの血の盟約を与える。力強き反逆者に慈悲も与えぬ魔法となりて、我が双子の弟の力を封じよ。ペルクデイルの誇りに賭けて。」カリヴァーンの詠唱が静かですがはっきりと城の中に響きました。』


横にはカリヴァーンが自分の左手から出ている血を王族の本にかけているシーンが描かれている。王族の本は血でずぶ濡れになるわけではなく王族の本に管があるのかのように表紙の模様や黒いインクで書かれている部分に血が流れて、赤く光らせている。それは平和を願う王が使う印象ではないと僕は思った。


「そういえば、洗脳の魔法や石化の魔法、煉獄の魔法は詠唱が無かったような………?」


花多美ちゃんが不思議そうに語るのを聞いてアンシュルテちゃんがフフンと張り切って説明し始めた。


「それはですね、花多美ちゃん。王族の魔法には三つの種類に分けられていてそれぞれ『洗脳』『処刑』『追放』の三つです。追放に属する魔法は確実に成功させるために詠唱と王家の血の盟約が必要なんです。これが無ければ追放系の魔法は使えません。洗脳と処刑は血の盟約や詠唱が設定されていないためにすぐに使えますけどその分反撃されないために籠めなければならない魔力は増えますね。」


アンシュルテちゃんがきちんと説明した後にガンさんが手を叩いて賞賛していた。


「さすが、とことん調べた甲斐はあるんだねぇ、アンシュルテ。絵本は大人の女性には不必要だって言っていたのはどちら様なんだろうね?」

「こ、子供扱いはやめて!!団長!!」

「……………いや、あれだけで何で子供扱いしたと認識したのかなぁ?」

「……………………………………………………。」


あ、アンシュルテちゃんが黙ってしまった。その数秒後にまた泣き出してしまい、花多美ちゃんがアンシュルテちゃんを抱きしめてよしよしと慰めるという様子を、今日だけで何回みたのかということを思いながら僕は次のページをめくる。



『ジルファーンの周りにはいくつもの魔法陣ができ、ジルファーンはそれを砕いて消滅させようと力を入れましたが無駄になりました。「これで邪魔者はいなくなるのだろう。実に素晴らしいことだ。なぁ、ジョルゼーブよ。これで心置きなくアンファルーガから青い宝石が奪えるだろう。」カリヴァーンはそう言いながらジョルゼーブを抱き寄せました。』



『「あぁ、私はこの国を平穏にする事が叶わなかったのだな。」後悔の言葉と共に、ジルファーンの体は魔法陣から消えて無くなり追放が完了したということが確認されたのでした。』



第一章 ~完~



「………………まぁ、続きますよね。まだ盗賊にすらなってないし。」


塔子ちゃんの呟きを聞きながら僕は次のページを開くのだった。それにしても、絵本にして長いような気もするのだったけど、よくよく考えると童話集には絵本とは書かれていないので当たり前だったのかもしれないけど。

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