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聖者達part 嵐のようなメンバー達 元盗賊団の長編-3

『元々カリヴァーンとジルファーンの仲は良くなかったのですが、ジョルゼーブの一件から日に日に険悪になっていきました。彼等の両親も、ジルファーンを段々と嫌悪の目で見るようになりましたが、利用価値があるとしてジルファーンを国に残していました。』



「利用価値というのは多分戦力だろうね………。」

僕がそう言うとガンさんはうんうんと頷いていた。それは似たようなことがあり、それを体験しているような感じだった。


「まぁ、昔は戦の時だけ戦わせるために飼い慣らそうとする王族も多かったからね。王族に反抗はしていても、国を守るためなら戦に参加する人も少なくないし。。あくまで王が治める国の所だけだから、君達は心配はしなくていいよ。」

「とはいえ、防衛戦では前線近くまでは行かなきゃならないかもしれません。まぁ、ヒルージュさんがいればほぼ一人で壊滅できますけどね。」

「わ、私も雌豚レベルの力ぐらいありますから!!」

「はいはい、そーですね、アンシュルテ。まぁ、怖い人が多いってパニックにならなければいいけどさ。」

「な、何を言ってるんですか!!パニックになんかなりませんよ!!」

「いや、魔物の討伐クエスタの時にはパニックになって『苦悩の梨』を無差別に撃ちまくってたじゃないか。あれ全部払うの大変だったんだよ………量が。あれは当たらなければ簡単に対処出来るからなぁ……」


苦悩の梨がなんなのかが分からない僕に塔子ちゃんが耳打ちしてくれた。どうやら苦悩の梨は小さなお友達には聞かせられないような用途で使う拷問器具らしい。なんでも奥深くまで刺した後に肉に入っている部分が開いて無理矢理広げて激痛を味合わせるスキルらしい。


「…………アンシュルテちゃんがこんなスキルを使っているだなんて…………こんなに可愛いのに……。」

「花多美ちゃん…………ちゃんは余計……です…。」

「……………………………羨ましいなぁ………あんな風に、大胆に…………はぁ……。」


ジルフェさんがアンシュルテちゃんと花多美ちゃんの二人の様子を見てから溜息をつき、ガンさんの方を見つめていた。その目は恋する乙女に近いのかな?と思う。僕は前の世界でアイドルをやっていた頃に、ファンからの目の一部が僕かシロに恋をしていると分かる目をしていたのを見たことはある。でも、ガンさんに向かっているジルフェさんの瞳はこれまでに会ったことのないような、純粋な恋する瞳だった。



見ているだけでも僕の顔まで赤くなりそうだったので僕は童話集へと視線を戻した。


『ジルファーンは親にも双子の兄に嫌われても悲しくはありませんでした。なぜなら、彼には慕ってくれる使用人や、町の民がいたのですから。』


『ジョルゼーブがカリヴァーンの婚約者として発表されたのはそれから三年後の事です。しかし、国の人々はそれを快く思ってはいませんでした。なぜ、次期国王がジルファーンではなくカリヴァーンなのですか、と。』


その隣のページには幸せそうなカリヴァーンとジョルゼーブが手をつないで城のバルコニーから顔を出している様子と、それを見て腕を組みながら二人を睨んでいる国の人々というような絵が描かれている。おそらくジルファーンは抜け出して会っていた人達にはジルファーンにカリスマを感じていたのだろうと思う。


『カリヴァーンは確かに優秀な王となると思っていたのは本人とペルクデイル王国の王、その妻と賄賂欲しさに議会に出るような役人ほどでした。』


『「カリヴァーンは頭が良い。どんな戦にでも勝てるだろう。どんな苦境も乗り越えられるだろう。」それがペルクデイル王国の王の口癖でした。』


『「あぁ、私の愛しいカリヴァーン。あなたの父の為に、このペルクデイル王国を今以上に繁栄させなさい。」これは彼等の母の口癖でした。』


『それはあくまでカリヴァーンに向けられる言葉であり、嫁をとらないジルファーンには罵声を浴びせ続けました。決してペルクデイル王国の王が正しいわけでもないのにも関わらず、 ジルファーンは不遇な時をすごしておりました。』


『カリヴァーンがジョルゼーブを婚約者として発表してから数週間後に、ジョルゼーブがカリヴァーンに抱きつきながらこんな我が儘を言いました。』


台詞は次のページになるのだろう。このページの隣にはカリヴァーンに抱きついているジョルゼーブの絵だった。しかし口は閉じているし、耳打ちをしているから口元が見えないわけでは無いのだから。


『「とても美味しいと言われている香辛料を毎日使いたいわ。ねぇ、もっと多くの香辛料を輸入てきないかしら?」』


その台詞は夫に抱きつきながら言うような台詞では無いと思うんだけど、気のせいなんだろうか?いや、せめて求める物が宝石やブランド物のバッグ…………いや、この世界にはブランドとか関係ないのか………。


『ジョルゼーブにゾッコンなカリヴァーンは、国の民に必要な日用品の輸入する量をかなり減らし、その開いた部分を全て胡椒や棗などに変えてしまいました。』


そんな事したら国民の暮らしがかなり不便になるはずだ。毛布などの家具などを輸入していたというのならそれがカットされた時の怒りは尋常だと思う。


『ペルクデイル王国の特産品は、鶏や豚などの肉類であり、味気が無い為に、なにかしらのもので味をつけなければならないのです。』

 

『しかし、おかわりを頼めばすぐに新しい肉が出てくるような王族とは違うでしょう。香辛料だけで腹は膨らみません。次々と国民が飢餓が始まっていきました。』 



………………確かに、調味料だけでは腹は膨らまないよなぁ………と僕は思ったのだった。


『輸入の事に反対したのはジルファーン一人だけで、段々とジルファーンが城から追い出されるような問題を起こそうとしているのです。その事をジルファーンには話しませんでした。』



……………そろそろ亀裂が砕けるだろうと僕は思ったのだけど、これなら兄弟の関係は終了だ。と、でも、ジルファーンの方が人間らしい動きをしているなぁと思ったのだった。

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