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聖者達part 嵐のようなメンバー達 元盗賊団の長編-2

童話内の語尾をですます系に一部変更と誤字訂正しました。







本を開くと、右側に文字が書いてあり、左に挿し絵が描いてあった。昔の絵本はこんな感じだったのだろうと思わせる雰囲気を感じながら僕はそれを読み始めた。


…………ジルフェさんの目がキラキラと輝いていた。私達にもジルファーンの事を凄いと思って貰いたいのだろう。年下からの眼差しに僕はジルファーンの良いところを見つけようと思ったのであった。


『今となっては遠い昔の話になるのでしょう。ある王国に、双子の王子がおりました。二人はたいそう仲が悪く、正反対でとても双子とは思えませんでした。』


あぁ、ジルファーンって王子だったんだ。でもなんで盗賊王になってしまったのだろうかと思ってしまう。もしかしたら、その王国が滅んでしまったのかもしれないけれど、昔話によくあるような理不尽な事なのだろうと僕は思ってしまう。


『双子の兄の名はカリヴァーン。とても礼儀正しくて、誠実な性格で親などの偉い人の決まりに沿う生き方をするような子供でした。彼は弟の事を決まり事を守らない子供として、弟の事をとても嫌っていました。』


横のページにはカリヴァーンであろう絵が描かれていた。物語の中では六歳から八歳ぐらいの時の姿なのだろう。鷹のように鋭い眼差しで、腰に付けてある剣をしっかりと握っていた。

髪の色は黒で、毎日櫛で髪をすいているのだろう。ハネのないストレートな髪型だった。服は赤を基調にした貴族服だった。


『双子の弟の名はジルファーン。猫のように自由気ままで、城の中は常に彼と、彼に振り回される使用人達の笑い声で耐えないような子供でした。彼は兄の事を決まりを押し付けるような大人として、兄の事を嫌っていました。』


ジルファーンの見た目はカリヴァーンとはかなり対照的だった。クリッとした優しい目で剣に手は掛けているものの、あまり強くは握っていない。顔にあるいくつかの傷が彼を自由に生きているという事を示しているようだ。


『カリヴァーンは彼等の両親であるペルクデイル王国の王とその妻から慕しわれ、期待され毎日勉学や剣術に戦争での戦術を叩き込まれる毎日でした。』



『対してジルファーンは使用人や、城から抜け出した時に出会った町の民からとても慕しわれ、彼等から色々なことを教わる毎日でした。』


挿し絵からして二人が対照的に育った事がよく分かる。ジルファーンは表情豊かなのに対してカリヴァーンの方は教える側の両親達は笑っているのにカリヴァーンだけはただ黙々と頭に書き込んでいるだけの印象を感じるほど無表情だった。


『彼等にとって転機が訪れたのは十二歳の頃でした。ペルクデイル王国に、別の国から嫁を取ることにしたのです。そして、王位を継がせるともペルクデイル王国の王は言いました。』


『連れてこられたのはデビロン王国の第三王女、ジョルゼーブ。歳は十四で、とても我が儘でジルファーンと同じかと思われましたが、ジルファーンと違い、我が儘を自信の努力により解決する事をしてこないような人種だったのです。』


挿し絵に描かれているジョルゼーブは高級そうな宝石を身につけていているが、宝石があまり輝けていないと思ってしまう。多分ジョルゼーブが美しいと思えられるような人間ではないからなのだろう。子供向け漫画でよく見るような、金持ちだけど自分の好きなようにならなければヒステリックになって周りからめんどくさがれるような絵だった。


『兄のカリヴァーンは親に言われたとおりジョルゼーブと過ごしてから1ヶ月後に求婚しました。「あぁ、そなたは美しい。ぜひ、我が嫁になってはくれないか?私はそなたにこれから先の愛を授けよう。」』


そこには求婚しようとして片膝を附いて頭を下げながら片手を差し出しているカリヴァーンの姿があった。それを見て、喜んでいるのかジョルゼーブは涙を流しながら手を差し出している。


『しかし、弟のジルファーンはジョルゼーブを見てこう言ったのです。「俺にはその女の良いところが分からない。使用人をこき使うかと思えば、自分の欲求通りにならなければまるで猫の尻尾を踏みつぶしたような金切り声があがる。んな女のどこが良いのだろうか?」』


…………ジルファーン、口悪いなぁ……………まぁ、自由な人間という感じだから良いのだろうか?と思ってしまう。


『すると、最初にペルクデイルの王がジルファーンを叱りました。「お前は何を言っているのだ?ジョルゼーブ殿は我々ペルクデイル王国に相応しい女性ではないか。」』


『しかしジルファーンは父親であるペルクデイルの王に向かってこう言うのです。「これから先に、彼女の我が儘一つで我が国の民が苦しむのを俺はとても見ていられない。」』


『すると今度は彼の母が彼に文句を言いました。「ジョルゼーブ殿はとても美しい。国の民も彼女の願いならば喜んで苦しみに耐えるだろう。」』


………………なんだかペルクデイル王国の王達はとても善良な王では無いらしい。母親も自分の時にそんな経験があったのかと思うのだが、国民によく思われていないのではないかと感じた。



『「その女が美しいと、俺は感じることができない。その女は宝石に身を包んではいるものの、宝石が輝けても、共鳴して光り輝く事も無いように見える。少なくとも俺にとっては村娘の方が美しいと思うのだが」と。』



………………挿し絵から読みとるに、このページでカリヴァーンとジルファーンが完全にとは言わないもののかなりひび割れた亀裂ができたように感じた。

彼の一言から段々とジルファーンが盗賊王になるまでの物語が展開されているのだろう。



しかし、これはフィクションなのだろうか?と疑うと、ジルフェさんがジルファーンの本当の墓があるということを言ったため創作系ではないということが分かったのだった。

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