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闇の巫女part  転生しました-2

「あー、ようやく落ち着いてきた………。」

とりあえず自分のこの世界での年齢がかなり低い事から立ち直ってから、キラクに話しかけた。父親と言われていても、それは体だけだ。心までは一応自分なのだ。亡くなった本当の両親のことは忘れたくないのもあるけれども。

「で、キラクさん。これから俺はどうすればいいんですかね…………?」

すると、キラクは少し考え込んでから俺に微笑みかけた。なんか魔王に見えないようなさわやかな微笑みだな………。

「じゃあとりあえず、この世界の説明を簡単にしましょうか。え~と、僕は魔王なんですけど、魔王はもう一人いるんですよ。この世界は広大な大陸でできていて、僕は東の端に、ドアイは西の端にいます。ドアイは女性なのに戦闘狂なんだけど中々人が来ないからって拗ねてるのが特徴なんだよね……………。」

そして、次に言われた言葉に俺は驚愕した。まさか、そんな…………いや、ありえるかもしれない。しかし、このような事を言われるとは思っていなかった。


「そして、この世界での魔王は、正直言って悪ではない。悪なのは勇者と、勇者を利用する愚王。アンは、それを殺して行ってもらいます。」

「…………なんだ、それ。勇者の方が悪者?いや、ハハハ……………ありえるなぁ、そんな事。」

そりゃ世界救う筈なのにカジノに入り浸ったり武器を非合法な方法で値切ったり、他人の家の中を次々と荒らしていくイメージもある。悪人と言われるのも仕方ないのだろう。

「勇者という称号は、王から与えられる物です。勇者の称号があれば、一生自由に暴れたい放題になっています。なぜなら勇者には情報集めと称して他人の家の中を荒らしても良いのです。犯罪にもなりません。勇者は例えどのような事をしても罪に問われませんし、毎回毎回無抵抗で殺される僕を殺した後も勇者の称号は消えませんからね……」

つまり、勇者は基本的に悪魔のような存在だと。

「最近は聖者制度という物ができたらしいですけどね。」

どうやら一部の地域では勇者ではなく、聖者と言う役職にしたらしい。キラクの話からすると、聖者は勝手に人の家に入ることなどができないのと、本当に有効な絶王ゼツノの封印を目指して旅をするらしい。

「正直、魔王と勇者の戦いは無意味なんです。僕達魔王はそれぞれ魔人の暮らす場所を結界にして絶王の負の力の波を防ぐための働きですし、ゼツノ君は力が大きすぎるだけで世界を支配しようとは考えていないですしね。」

つまり、聖者はゼツノの力を抑えるために封印する旅に出るわけか…………。話を聞く限りゼツノは闘うことを望んでいない節もある。正直言って平和じゃないか、勇者さえいなければ。

「勇者を害悪とするようになったのはゼツノではなく魔王の僕を殺したことからですね。どうも転生者が国の王となっていき、その後魔王を名乗るならず者たちが世界征服企んだりしているのを止めるために勇者達は確かに英雄でしたね………これが、八千年前の話なんですよ。」

つまり、八千年前から勇者の存在は疎まれていったのだろうな…………。

「しかし、そんなならず者も少なくなりました。それでも、勇者は何人も出てくる………そして、比較的たどり着きやすい僕の所へ魔王退治に来るんですよ。」

「で、それからも勇者は好き勝手しまくってるからそれをどうにかしないといけないと一部の王族達が忌諱し初めたわけか………。」

「そうなりますね。勇者の訪れた村は数ヶ月で滅びると言われるほどで、勇者が英雄として讃えられたのはもう昔の事になってしまったんですよ。だから、この世界には勇者というならず者は必要ありません。正直言ってRPGでも魔王よりも勇者の方がより強くなるので怖いのは勇者なんですよ。」

………………………魔王を殺すことだけがファンタジーの世界の正義ではないのだろう。それを深く考えさせられた。


「これからは、聖者という制度が一般的になるべき世界です。そのために、アンにも聖者としての働きである事をしてもらいます。」

「分かりましたよ。とりあえず勇者殺しと愚王殺しは分かってるので。でも他の事はなんなんですかね?」

すると、キラクは一冊の本を取りだした。しかし、俺にはそれがなんなのかが分からなかったが、キラクはそれを開いて俺に説明してくれたのだ。


「聖者は勇者の取り締まりと、絶王ゼツノの力の一時的封印、クエスタの依頼解決などですね……………。クエスタはやっておいた方が得なのですよ。」

「いや、クエスタ自身が分からないんですけど………。後、ステータスウィンドウの出し方とかの基本的な事も……。」

「そういえば、そうでしたね………とりあえずそれについても説明しておかないといけませんね。」

そう言ってキラクは笑った。

「このウィンドウは魔人族なら使えますし、どちらにしろアンは人間のクォーターですから使えますしね。」

「俺のこの世界での母親って、人間と魔族のハーフなんだな…………………」

なんか普通に転生した他の奴らよりも厳しい旅になりそうな気がしたのだった。



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