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聖者達part 代表さんに質問責め-5

ショックで倒れた生徒は数秒後、よろよろとしながら立ち上がっていた。しかし、不安そうな顔は変わっていなかった。


「いや、だってこの職業だとあれだけ巨大な力を持ってしまうのでは?と不安になってしまって………。すみません。言われていたほどの威力がだせるわけでも無いのにビックリしちゃって………。」


倒れてしまった彼の職業としてSWに表示されていたのは炎剣士えんけんしだった。確かに、勇者ならば上位職である事が確定しているだろう。そのような力を持ってしまったかもしれないと、彼は不安になってしまったのだろう。


「………いや、バルデラは炎剣士じゃねぇよ。つーか、炎剣士なんて目じゃねぇよ。バルデラは太の故郷である竜葉王国を焼き払った時の職業は鳳凰騎士。上位職でも中々なる事が難しいレア物だ。バルデラは転生者じゃなくてこの世界のバルデオン王国の出身者だ。」 

「バルデオン王国は我々の国、ジーブルフリーデ公国とは遠く離れているが、バルデオン王国の噂はよく聞いている。現在、最も勇者を排出した王国だ。軍もバルデラ一人の力には届かないが、我らよりも遙かに上だった。」


そう言う二人の顔は、かなり深刻そうだった。何があったのだろうか?と思ってしまう。他の転生者達も、勇者の強さにかなり怯えていた。


「まぁまぁ、そこまで不安にならなくても平気だよ。バルデラクラスの勇者なんて滅多にいないんだからさ。それに、素質を持ってる男だってこの国にもいるんだし。ね、アーサー。」

ガンさんがお気楽そうにアーサーさんに笑いかけた。しかし、アーサーさんはそれを見てうげっとした顔になった。

「俺とバルデラじゃあ素質の時点で違うのは分かってるだろうが。冗談を気楽に言うな。」

「はいはい。冗談だよ、冗談。あんなレベルの奴がウジャウジャいてたまるかって話だしね。私達だって団長を名乗っていても、勇者を倒せるかと言われたら五分五分だし。」


この話を聞いていると、勇者の恐ろしさとは本当なのだろう。バルデラのような男がRPGのような暴挙を行い続ければ勇者がこの世界から畏怖されるのも分かる。むしろ、これで分からない方が恐ろしい。私の頬から汗がツーッと落ちていった。体もそう、反応していた。


「さてと、勇者バルデラについての話はここまでにしましょう。いい加減、彼らに自身のSWを見させ、そこから質問されることも覚えなければなりませんよ。」


ベルさんがそう言うと、他の四人も頷いていた。


「それでは、しばらくSWを見ていてください。私達は質問を受けにこのホールで動き回っていますので。この国の代表として、答えられる物は答えましょう。」

「まぁ、突拍子な職業は中々出ないけどな。それに、俺達は転生ボーナスとかは一切お前等から盗ろうとかは考えてねぇからな。」

「羨ましがったりはするかもだけど。」

「ガンダレス、一言余計ですよ。まぁ、転生ボーナスのアイテムは羨ましくなるかもしれないのは事実なんですがね、口には出さないでくださいよ。」


すると、副会長がさっそく質問していた、というか提案をしていた。

「どうせなら、このままグループ分けを行いませんか?それで良いですよね?皆さん。」


副会長がそう言うと、シータさんも賛成したらしい。とりあえず、騎士団に入る人はそれぞれの団長の所に、その他はシータさんの所に集まることになった。

そうしてみると、基本的にはユンクさんやアーサーさん、ベルさんの所に集まっていき、ガンそんの所には人形をもらった二人以外には二人ほどしか行っていなかった。



「私達はシータさんの所に行っておくべきだな。」

「まぁ、暗を探さないといけないからな………。」


騎士団に入っていたら探せないかもしれないと感じたため、騎士団には入らないことにしたのだ。そのため私達はシータさんの所に集まった。もっとも、私達六人以外は来なかったのだけど。


シータさんの所に集まってから私達の最初にしたことは、自分の職業の確認だった。とりあえず己を知らなければ、敵には勝てないからだ。


「私は万屋か…………。どんな職業なんですか?シータさん?」

この服に関係しているかどうかがかなり微妙な感じがしていた。結局はどんな職業かは分からないのだけど。


「私はガンナーだった。まぁ、前の世界の事を考えれば当然かもしれんがな。しかしこの世界に私が使うような銃があるのかは分からないが……」

「私は魔拳師だったよ。文字的に格闘家っぽいけど……………。」


鈴と早瀬は予想通りの職業だった。まぁ、当然と言えば当然かもしれない。私はそう思いながら、転生前の世界ではこの世界とは全く関係のない才能を持つ隼人と響、奈津の職業が非常に気になった。


「………魔導師だったよ。私は。」

響は服装に似合う魔法系の職業だった。しかし、どのような職業なのかか分かりづらいな……と感じていた。しかし、小説家だったため、響には本が関わっていると思った方がいいだろう。


「私は黒僧侶だったよ~。」

それを聞いて私達は驚いた。あれだけ同性である女の子に欲情しまくっている奈津がまさか聖職である僧侶に!?と、全員で一歩引いていた。まぁ、隠密系のスキルを持ちそうに無いのはありがたく受け取ろうと思う。


そして、最後に隼人なのだが…………。

「なぁ、これって俺に恨みとかでもあるのかな?なぁ?」

一人そう言って落ち込んでいる隼人は中々自分の職業を言わなかった。

「シータさん、すぐにでも転職してぇんだけど、アーサーさんとベルさんのどっちの方がオススメなんだ?」

そう言う隼人は今すぐにでも転職したい、今の職業から離れたいという感情が全身からにじみ出ていた。


「俺は絶対に嫌なんだよ!!こんな職業!!上位職でもお断りだ!!なんなんだよ!!ドMの王様って!!俺はMでもなんでも無いんだけど!!」


……………もうね、隼人の顔はとんでもないことになっていた。私達は、それを見て笑うことはできなかった。ま、まぁ隼人はよく殴られたり縛り付けられたり張り付けにされてるから勘違いされただけだよな。うん。そう思おう。隼人の事を思っている早瀬を安心させるために。










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