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聖者達part 万屋とガンナーと魔導師の叫び-3

「ユンク、私は代表なだけで、もう王族では無いのです。私の祖母が国民に政権を返還した事をお忘れですか?私はシータという名前だけなのですよ。」

城の奥から出てきた女性は、かなりの美人だった。髪は青で短く切っているものの、風格は変わらない。わざと風格を抑えているようにも見える。服装はベージュでヒラヒラの無いドレスのような服だった。

「ですが、シータ様。私はシータ様はたとえただの一般市民に戻られたとしても、このジーブルフリーデの名は付けさせて貰います。」

ユンクさんはそのまま片腕を胸の前に組んだ。騎士団長らしい忠誠の証だと見える。

「…………全く、あなたという人は。どうしてそこまで暑苦しいのでしょうね。それがなければ私はユンクを嫌と思わないのですけど。」

そう言いながらシータさんはユンクさんから顔を背けていた。しかしシータさんの頬は赤かった。……………もしかして、シータさんはユンクさんに片思いをしているのだろうか?と思ってしまう。というか、ユンクさんが何歳なのだろうと思ってしまう。何歳か気になるのはシータさんもなのだけど。

「シータ様、そろそろ転生者達に聖者の説明をお願いします。その間に私は他の騎士団の団長達にも声をかけておきますので。」

「あぁ、それなら他の商業ギルドにも声をかけておきなさい。宿の予約も忘れないで。それと、勇者が来ても特権はこの国では使わせないこと。我が国では公国になると同時に、勇者特権の排除と勇者先発制度を廃止したのですから。」

「了解しました。シータ様。」

そう言うと、ユンクさんはそのまま城の外へと出ていった。

「さて、転生者の皆様………このような所では窮屈でしょう。昔、舞踏会の行われていたホールがあります。そこへ移動しましょう。」

確かに、城の玄関に約百人いる状態で突っ立っているのも異常な光景であり、他の人達にも迷惑なのだろう。私達は素直にシータさんの後ろを着いていくことにした。


広いホールに着くと、シータさんがステージらしいところに立ち、話し始めた。

「まずは、この国がなぜ公国になったのかという話ですが………。」

少しばかり話が長いために要約しようにも、すでに要約されきった感じがしてしまう。重要語ばかりでも多少長いのかもしれないのだ。


「我が国、ジーブルフリーデは、私の祖母の代まで王国であった話は聞いたと思います。国の領主の一族は二つ目の名前に国の名前が付くのが普通なのです。そのために、ユンクが私の名前に二つ目の名前としてジーブルフリーデを付けていたのもこれが影響しています。……もっとも、国民に政権を返した今、私はただのシータというこの国の代表であるだけなのです。」

きになるのは、シータさんの祖母の時代に何をして国民に政権を返したのか、という事だ。ただの文章で終わるほど王権は手放したという実感の無いものだと思うのだけど………。

「政権を国民に返すためには、王国の領主が四六時中被っている『王家の冠』と、王の一族の持つ『王権の鍵』、市民の中の誰か、初代代表に相応しい者が持つ『自由の鍵』を使うのです。さらに、『王家の冠』は、王権を次代に譲る時にしか外せません。新しき王が王権は必要ないと感じれば、『自由の鍵』を持ってこさせて政権返還の儀を行うのですよ。祖母はいち早くこの制度を使い、王権を放棄しました。これは、母の立場なども判断したのかもしれませんが………。政権が国民に渡った場合、他国との交流には選挙で選ばれた代表が行くことになっております。私は元王族でしたけど、それも関係なく当選しようと努力した結果で今ここにいるのです。」

そうして、シータさんは数回咳払いをしてからこう言うのだ

「先に言いますけど、私達ジーブルフリーデ公国の国民は、勇者をとても恐れています。傍若無人に家などを荒らす勇者に怯えていました。王国ならば、勇者はどれだけ好き勝手な事をしたとしても、無罪なのです。そんな勇者を国に入れないようにと、速急に公国にしたいと、祖母は先代の国王に話、ジーブルフリーデ王国のやや長い歴史は終わりました。その時に私は10歳、ユンクは12歳でした。これが、400年ほど前の話ですね。」

…………………なぜか桁が一つ多い気がした。いや、二つか………?聞き間違いだろうか?しかし、周りも困惑している様子が伺えるため、聞き間違いでは無いのだろう。しかし、400年?しかし、それでもその見た目というのは……?そう思っていると、シータさんが答えた。


「言っていませんでしたけど、私とユンクは供に魔人族と人間のハーフなんです。私達の国、ジーブルフリーデは王国の時からすでに、魔人族との関係を深く持ち、平等に暮らしていました。私の母は、魔人族の父に恋をして私を産みました。ハーフは魔人族よりは短命ですけどかなり長生きするんですよ。」

そういえば、目の前にいるシータさんの耳はエルフの様に横に長いようにも見える。ユンクさんの特徴的な髭も、特徴の一つになっているのかもしれない。

「…………と、公国になった話はここまで。今はこの世界の現状を話さなければなりませんね。」

そう言ってシータさんは空中から何か黒板のような物を取り出していた。………そういえば、あの声の言っていたステータスウィンドウの出し方まだ分かっていないんだった………と、今気付くのだった。

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