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聖者達part 万屋とガンナーと魔導師の叫び-2

……………さて、六人揃ったところで、現在の見た目について再確認しよう。そうしなければ、私達は叫び続けるだけの何かになってしまうからだ。


「早瀬と隼人、奈津は高校の制服のままなのか………」

性別の変わっていない三人をまず確認してみると、当たり前のごとく制服のままだ。周りを見ると、私達みたく制服ではないのはほんの少数だ。とはいえ、私と響、鈴のようにファンタジーによく出てきそうな雰囲気は一切なく、部活のジャージや理科の授業で着る白衣などの学校内ではよく見かける服装だった。

「流は剣士っぽいし、鈴は軍服、響はローブってかなり場違いな雰囲気を醸し出してるよね……。」

早瀬の言うとおり、私は黒を基調にした西洋風の服に変わっていた。私達の高校の制服は黒ではなく紺を基調にしているのでかなり違うようになっている事が分かる。

鈴の軍服は深い緑が基調になっており、どちらかというと現代風の服装だと言える。本人も気に入った様子だったのは、転生後に合流した時に伺えた。もっとも、ただの現実逃避だったのかもしれないが。

響に至っては、響のために作られたのではないかと思うほど似合う紫の生地に金色の模様というローブだったが、ローブの下は私達の高校のジャージというなんとも残念な結果になっていたのだけど。


ちなみに私達の顔は少し男寄りになっているほどで、劇的な変化は無い。自分の顔は見ていないが、他の五人からの反応で大体は分かるのだ。

「でも顔は全く変わってないんだよなぁ……お前等。まぁ、もともと中性的で響以外は女子からも告白されてたじゃねーかよ。ったくモテるってのは羨ましいなぁ」

隼人が私と鈴に向かって羨望の眼差しを向けるが、隼人が鈍感なだけで一応隼人もモテる事は黙っておこうと思う。早瀬の想いにそろそろ気付いて貰わないと、私達も気が気でない。下手したら早瀬に刺される未来も疑えないのだから。………早瀬の場合は撲殺となるかもしれないのだけど。


「にしても、周りめ仲良しグループとかで集まってきてるねぇ。」

まぁ、転生が終わってから一時間は経っている。そろそろ何かイベントのような物があっていいはずだ。あの声の主は私達を勇者として召還させようとしたはずなのだ。それならば、転生を依頼した誰かが私達を訪ねてきてもいいはずだった。そう考えていると、演習場から鎧を着た男が私達転生者に向かって歩いてきていた。


「私は、ジーブルフリーデ公国第一騎士団シェイヌケーテ団長のユンク・シェイヌケーテである!!転生者の方々、我が公国の代表、シータ・ジーブルフリーデの所まで案内させてもらう!!」

どうやら、私達が待っていたイベントが、ようやく動き出したようだ。しかし、公国というのと、代表という言葉が気になった。それは響にとっても同じ事だったらしい。

「RPGなら普通は王国で勇者を呼ぶのは国王の筈。私と鈴、流が男になった事も含めると、この世界は普通の世界と違う。こんな世界ならより国王のような権力者は必要だと思うし、民衆の意見なんか一々聞いていないはずなのに……」

もしかしたら、私達は普通のファンタジーとは常識がかけ離れた世界に転生させられたのでは?と、実感した。


ユンクさんは騎士団長としての実力が高いことが一目で分かるほど屈強な肉体、威厳のある口を囲む髭が特徴だった。そんな彼に震える者、ファンタジーだと面白がる者、この人をネタに何か私には到底理解できない漫画を書こうと悶えているものも含め、演習場から城のような場所に移動を始めた。

「今回は我々の身勝手な都合で、聖者の素質の無いものも連れてきてしまったことに大変申し訳ないと思っている。聖者の素質のあるものでも、この世界にいきなり適応できるわけでもないのだから不安におもうかもしれないが、今回の絶王の封印も重要性は低い。だが、他国に死をも恐れぬ兵士にされる事にならないために、我が国での生活は最低限保証はするし、もし他の国に行くのならば、必要最低限の技術は伝授させて貰おうと思う。とにかく、今はこの世界の現状を知って貰いたい。」

ユンクの言葉には本人の責任感というか、そのような感じの力強さがあった。しかし、いくつか気になる単語があった。特に、聖者という言葉だ。普通なら私達は勇者として召還されるはずだ。あの声の主も、勇者という言葉を口にしている。しかし、聖者とは………?そして、他国での転生者の扱いとは?死を恐れない兵士というのは恐らく、洗脳されてしまうのだろうか?そして、その中には暗もいるのだろうか…………?それを考えると、気が気で無くなってしまっていた。


演習場から歩くこと二十分ほど……私達は、ジーブルフリーデ公国の城へと到着していた。ユンクが門番であろう二人に敬礼し、私達転生者、89名に向かって深く礼をした。

「シータ・ジーブルフリーデ、転生者達を連れてきました。」

そして、私達はジーブルフリーデ公国の城へと足を踏み入れたのだった。

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