闇の巫女part 魔王の娘のスキルについて-2
「スキルの欄はまた試すとして、とりあえずステータスの方も確認しておこうかな………。」
スキルの欄を一回閉じて、俺はSWのステータスを選択した。
・(魔王) アン ♀ 0歳
職業 巫女
Lv,SS 1
称号×5
転生前………夜桜 暗 (♂)
かなり簡素なステータスだな………それに、攻撃力などが表示されていない。
「この世界には攻撃力などの数値はありません。レベルは基準なだけですし。」
かなりテキトーなんだな………この世界。というより、転生前の性別も提示されるのはなんなのだろうか?名前は分かるにしても。
「………にしても、この世界には転生して来たんだよなぁ………………。」
転生前の名前を見て、少し悲しくなってきた。涙は出ないくせに、気分はかなり暗くなっていっていた。ファンタジーの世界に憧れたことが無いわけでは無いが、残してきた真琴は今、何を思っているのだろうか?たった一人残されて泣いてしまってないだろうかと不安になっていた。
「やっぱり、前の世界の事が気になりますか?まぁ、分かりますけどね…………」
………………………もし、真琴が俺達の誰かと同い年だったなら…………どれだけ良かったのか、それを思うとますます真琴がちゃんとやっていっているのかが不安になってしまうのだ。独りは悲しい。転生などで別次元に行ってしまったのなら、尚更だ。真琴が壊れてしまわないかが心配になってしまった………。
俺は気を紛らわすために、キラクに気になった聞くことを思いついた。真琴にまた会えたのなら、土下座をしてでも、何を言われても、誠心誠意謝ろうと、心の中に刻み込み、かなり気になった事を聞くことにした。
「転生前の性別が書かれているのはなんでなんだろうな?」
すると、キラクはやや苦笑いをしていた。なんか面倒な人の事を思い出しているような…………そんな感じがした。いや、俺に向かってそんな笑顔を見せた訳じゃなくて明後日の方向を向けていたから俺の質問自身が面倒なわけでは無いと考える。………まぁ、俺は転生するときになんかフードの人に気の抜けた呪文により転生させられたのだ。ソイツが何者かを俺はまだ知らない。知っているはずもないからキラクに聞けば良いものをなぜか分からないが聞いてなかった。まぁ、孫バカの暴走した餞別と基本セットの異様な品数の多さに唖然としていたので聞く事も無かったのだけど。
「アンは僕とローズの子供として産まれてくる体に魂が迷い込んだ感じです。簡単に言えば、死後には普通、アンの世界にもあるであろう天国と地獄のどちらに行くかという場所に行くはずなんですけど、アイツの魔術には魂を迷わせるという性質がありまして………、アンの魂は冥界に残るはずだった体が魂と一緒になって僕の住処に戻ってきたわけです。まぁ、アンが性転換しているのは、僕の子供は女しか産まれないという関係ですからね……。転生は膨大な魔力を使うくせに異常なほど繊細でして………。エラーがよく起こるんですよ。髪の色とか瞳の色、肌色に身長が変わってしまうことがあります。ちなみにアンを転生させた彼女は他の皆さんを転生させた神っぽい人よりも遙かに優秀でして………。アンが転生してから一晩ぐらいたった頃に転生者御一行さんはつく筈ですよ。」
「つまり、転生されてこの世界に来るので俺は一番乗りだったわけか。」
「そういうわけです。ちなみにアンを転生させたのはシャナ・A・スカイフィートという人で、神っぽい感じだった人の名前は伊佐風 勇作です。」
………名字というかミドルネームあるし、あの放送の声の奴なんか完全に日本人だ。普通に考えたらカタカナだと考えていたのだけど………。まぁ、SWに漢字が使われているのだ。漢字だけの名前も存在するのだろう。しかし、神らしい人が日本語での名前だとかなり違和感を感じてしまう。
「まぁ、この世界では二つの名前を持つ人は王族か貴族ですしね。まぁ、僕は魔王が苗字なんですけど。」
なるほど………それで俺の名前にも魔王が付いているのか………。一応括弧閉じされてるけど。多分この中身は他の人には見えないようにしてあるのだろう。
「称号は本人だけが見れるだけですね。後、レベルは最大は100万なんですけど、名乗るのに面倒になることもありますから、1000でS1、10000でSS1と表示されます。転生者は基本的にS1になりますけど、アンは冥界にいる僕の娘達の経験値も現世に持ってきて反映させたことになっていますからSS1になっています。ちなみに僕はSS78ですね。まぁ、目安なだけなのと、ゼツノの力を抑える事に99パーセントぐらいの力を使ってますから、普通に勇者に殺されてますけどね。」
どれだけゼツノの力を抑えるのに全力を尽くすのかという雰囲気があった。いやいや、最大レベルまでもう少しのキラクがほぼ全力で抑えないといけないほどゼツノの力が強いのなら聖者じゃ封印することは不可能じゃないか?と感じてしまう。
「じゃあ、ステータスも見終わったし、最初はどこに向かえば良いんだ?」
すると、キラクはお気楽に話し始めるのだった。予想外だが、かえって好都合な、そんな名前を。俺は相手をどん底に落とすことが復習だと、両親から教わっている。教わるべき事ではないわけでもない。弁護士とは、どんな依頼でも相手から搾り取る、又は相手からの要求を切れる物だけ絶つのが仕事だ。前世で俺を殺したアイツにも同じ方法でやろうと思っていた。学年が変わる頃まで待とうかと思っていれば、アイツはどん底にすでにいるだけの屑だったわけで、首切られたんだけど。
「ここから一番近い、愚王と愚の勇者を多く出している、大陸最東端の国、イーステルム。愚の勇者の名前は……勇ノ宮 純一。」
どうやってアイツに恥を掻かせてしまおうか、ニヤニヤしてしまう。一回だけ相手を改心させられたこともあるが、アイツは改心しても変わらないほどだろう。まぁ、やられたことはやり返す、目には目を歯には歯をの精神で行くのなら……………………。
「アイツ等は、晒し首にしよう。」
そして、俺はスキル土地感を使い、イーステルムへと旅だったのだった。まぁ、先は長いのだろうけど。
…………次回からは聖者達編となります。
魔王の巫女編はしばらくお休みになり、もう一つの妖精編が終わってからランダムに選んでから再開します。