闇の巫女part その後のイーステルム-3
新しく書いた作品の方に夢中になってしまって更新がかなり遅れました。後、惰性が強化されてしまったので、これから先は1000文字程度で更新します。新しい作品を優先にしがちになってしまうので、更新ペースは落ちたままになると思います。
「さて、これからもやる事というか、前王の後始末もしないとなぁ………。ということで、ほれっ。」
「なんだこれは?」
グレルアラングムートが私に投げて寄越したのは一冊のノートだった。その中にはマルタという糞親父殿の通っていた娼婦との間の子が行っていた悪事と、それに賛同していた貴族の名が書かれていた。
「………そこにいるアリエルという男とは別の協力者がコイツを渡してくれたんだよ。にしても、貴族も貴族で悪事働き過ぎだったんだな…………この国は。」
「全くだな……しかし、こうでもしなければ良い国にはならないだろう。」
そう言いながら、私は大臣達の実家となっている家などを次々と記憶していく。私も色々と調べているため、この貴族達に相応の罪を与えることは可能だろう。
「だが、まだ隠しているような事は言っておらぬでは無いか。はぐらかすなよ、グレルアラングムートよ。」
「俺は何も隠していないんだがな………」
私が言及するたびに視線を二度ずつ逸らしていくグレルアラングムートに、私は言及を続けた。そういえば昔もこんな事がよくあったと記憶している。
「…………グレルアラングムートよ、お前は私に良い物を見せてやると言って虫の大群を見せたときがあったよな。」
「お前、そんな事覚えてやがったのか…………言っておくが、あの後に店のおっちゃんからお詫びに貰った飴は俺が金出したんだぞ!!」
「しかしだな、今でこそ私は平民の暮らし理解しているが、子供の時に間違った平民の作用を教えた事もあっただろう?」
「それはそれ、これはこれだ!!」
そんな私達の様子を見て、ニーデルヘンス郷とフエレルス郷は私達のやりとりが微笑ましいと言う。まぁ、ここ数年は周りの目もあったためどうしても話題がかしこまった事になっていたのだ。
「しかし、この王冠はどう処理すべきなんだ?一応儀式の方は知っているが、俺の知る限り平民側の鍵を持っていた家の奴は貴族に罪を着せられて奴隷になった挙げ句、第二王女に食われていたからな………。」
「最後まで余計なことをするのだな、あの第二王女は………」
この王冠は、この地が王国である証であるのだが、この国を公国にするためにはどうしても破壊が必要だ…………しかし、そうする事は出来ないのかと諦めかけた時、聞き覚えのある声が聞こえた。
しかし、その声は本来ならもう何年も前に聞けなくなってしまった声の筈だったのだ。しかし、現に今聞こえた声は間違いなく、姉上……………カルティナート姉上の声だった。
「王冠を壊す方法ならば、他にもありますよ。」
姉上は、光の粒子を取り込むように、肉体を取り戻しながらそう言っていた。…………それは、砂像となって散ってしまった時とは逆の風景を見せられているような情景だったのだった。