闇の巫女part イーステルムの勇者達-4
すみません、サブタイトルがとんでもない間違いをしていることに気がつきましたので、修正しました。……………最近別のことに拘束されて確認していなかったため………申し訳ありませんでした。
さてと、残りのことは全て第五王子やらグレルアやらアリエルやらに任せてこの国からは出ることにしようと思う。そうした方が、このイーステルムに未練も感じないだろうからね。
あの馬鹿な王族達のせいで農作物などに影響する様に圧力をかけていた結果、質はかなり悪くなっていた。
……しかし、…次はどこに行けば良いのか……。また、その事をどうやってキラクから聞くべきなのかと思っていると、カラスが俺の上を通り過ぎ、紙を一枚落としていった。
どうやら勇者がどこにいるか分からないため、ゼツノの所に行って力の封印をしておいて欲しいと書かれていた。最近封印する人が来ないせいで魔物が活発化しているらしい。
それを狙って厄介な勇者も出てくるだろうけども、封印の方を優先して欲しいということらしく、俺の目的地は絶界に決まったのだった。
…………しかし、こうもあっさり勇者を殺してしまうと、何とも言えない気分になるのか………と感じる。まぁ、食っちゃ寝ての人達ばかりだったために、難易度の低さが際立っていったのだろう。
しかし、今度の勇者は勇ノ宮の比にならないはずだ。簡単に言えばプロ野球選手となるデビュー戦の前に幼稚園児達との対決で奪三三振を取った後、メジャーレベルの人がゴロゴロいる中で戦うことになったピッチャーだろうか?
そう思いながら俺は自分に着いた血を洗浄石で綺麗にして、この場を去った。………つーか、よくよく考えればコイツのせいで高校にいた何百人の生徒が異世界転移してる事になってたんだよな……………。
そう思うと無性に腹がたってきた。コイツが人を殺せる度胸が一回でもあったはずなのにも関わらず、モンスターの一匹も殺せない勇者になった事に腹がたつ。
まぁ、油断して首切られた後に生き返らせてくれるきっかけを作ってくれた事には感謝するかもしれないが、さっきの事では相殺しきれない気もするのだ。
バカは死ななきゃ治らないという諺があるが、俺の性格が一回死んだにも関わらず変わらないことから、この諺は元々別の言葉だったんじゃあ無いのか?という事を考えさせた。
その結果、『馬鹿は死ぬ直前にしか直せない』という結論になった。なので『体感時間増加』を勇ノ宮にかけたのである。死ぬ直前の時間を、永遠と思えるほど長く感じて貰うために。
俺が思うに、人間って、人生について一番反省するときってやっぱり走馬燈を見ている時だと思うわけで、これまで迷惑をかけていた人とか、家族とか………そんな暖かさが分かるんだと思う。
まぁ、体感時間が増加したとしても、勇ノ宮が反撃をする事は不可能だ。なぜなら、勇ノ宮の俊敏性はスキル『日々の鍛錬』や『情けは人のためならず』によって途轍もなく遅くなっていたのだ。
勇ノ宮はどれだけ勇ノ宮グループの恩恵を自分の力だと過信していたのだろうか?と思うのも仕方のないことだ。なぜなら彼は一人っ子で、跡継ぎは確実に彼だと信じて疑わなかったのだろう。
勇ノ宮グループの会長がまともな場合、彼はもう少し厳しい環境で暮らしていたはずだ。しかし、彼は怠惰な生活を繰り返してきた。………………せめて、心を入れ替える機会があれば、まだ俺に殺されないですんだかもしれないのに………。
だが、ここで疑問に思うことが一つある。勇者として転移した勇ノ宮達は、なぜこのタイミングで転移させられたのだろうか?という事だ。
イーステルムにいた勇者は老衰により死んだとされる。そして、勇ノ宮が勇者として転移される。キラクが復活したという理由で呼び出したというのが普通なのだろうが、何か引っかかる。
そもそも、前の勇者と呼ばれた奴は転生者なのか?それともこの世界の住民なのか?という事と、勇ノ宮達の召還のされ方だ。
他の奴等が転移させられた時、あの声……伊佐風の野郎は確か、勇者が必要と言ったのであって、魔王を倒すためなどの言葉は一切使わなかった気がする。
そもそも、魔王を倒すため………という事でも建物ごとに分けて転移させるメリットはあったのだろうか?………いや、思いつかない。
キラクからの情報でも、魔王という名のならず者がいるとは聞かされていない。現在現役でかつ人里を襲うように活動している魔王は一体もいないらしい。
つまり、全員が魔王であるキラクの元に送る方が効率が良い。わざわざ建物ごとに別の国へと飛ばす必要は無いはずなのだ。細かい調整ができないから?
そんなもの、冗談じゃない。第一、この世界での勇者がどういった目で見られているかを知っていれば、勇者や勇者の一味として転移する事を望まないはずだ。
なら、逆にこう考えてみよう。実は、勇ノ宮達を異世界転移させようとしたが、調節ができずに全員を送ったのではなく、勇ノ宮達の方が巻き込まれた。
それは、勇者召還では無く、聖者として転移させられるはすの転移だったのだろう。それなら納得できてしまう。不穏分子だけを残して異世界転移をさせる方が難しいだろう。
…………つまり、この転移は勇者召還では無く、聖者召還だったのでは?という何とも大雑把な仮定が成り立つのだ。まぁ、正解は分からずじまいなのだけど、気にしないことにする。
さてと……………色々考えながら歩いていると、イーステルムの城下町からすでに出ていたを次の目的地は絶界なのだが、道中にカファシオル公国や、ベネジスオーテ王国などの寄り道できる場所があるため、俺はイーステルムをでるのであった。
カファシオルでは緑茶の茶葉が、ベネジスオーテでは苺や西瓜などの果物と思われがちな野菜などがあるという。緑茶の茶葉はこの西洋的な世界では貴重な物だし、苺などは種が欲しいと思っていたのだ。
ゼツノの所にたどり着くまでは、のんびりとしながらこの世界を満喫しよう…………そう思う俺だった。そうでもしないと、殺す事を本当にただの遊びとして考えてしまうかもしれないからだ。
俺は『韋駄天』を使いながら、カファシオル公国を目指すのだった。