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闇の巫女part  イーステルムの勇者達-3

俺は、町の雰囲気には似合わないが、和服に着せ替えた。武器は………面倒なので基本セットの中にあった刃抜きされている『鉄の剣』に、『歪な鉄鉱石』を『合成』して、柄はやや洋風、刃は和風という刀を作り出しておいた。アイテム名は『歪な刀』………まぁ、ピッタリだけどさ………。


スキルはどっぷり貰ったけれど、強敵との相手に臨機応変に対応するための物のはずだ。なのに関わらずこんな遊び心満載に使っているのは勇ノ宮達やイーステルムの第五王子以外の王族が弱かったからだろう。


まぁ、シチュエーションを楽しめる時には楽しんでおこうと思うのだ。いや、シリアルキラーになったわけでは無いけれど。第一この『鉄の剣』でわざわざ刀を作ったのも、屈辱的に殺すためなんだけど。


だって、刃抜きされている刀で殺された勇者なんて、それはもう滑稽じゃないか。あの勇者にもってこいの死に方じゃないかと思う。…………それに、あのステータスの低さだと、下手したら首の上ごと飛び散ってしまう事もあるだろうし。


とりあえずシチュエーションは完成したので俺は早速台詞を言うことにする。……………しかし、酒臭いな……と思うと、三人は酔っぱらいに近い状態だった。どうやら未成年のくせに酒も飲んだらしい。


しょうがないので軽く『状態異常回復』をかけてやって酔いを覚ませせておく。この台詞は酔っぱらいの悪者にかけられた事は一回も無いと記憶しているし、酔っぱらっていては屈辱も与えられない。


酔いから覚めた三人は、少し困惑した様子をしていた。…………しかし、すぐに調子を戻して俺を襲おうと、飛び出してきたが、俺はそれをパルクールしてかわす。


「むー。」(一つ、人の世、人の涙をすすり。)


次に、北斗の方が背中にかけていた武器………恐らく政野先輩達十五人の内の誰かから奪い取った武器、名を『フルメタルハルバード』………筋力の値が低いと疲労が溜まりやすいという武器を手にとって、俺を切り裂くように振り下ろしてきた。


この武器の追加スキル、『クェイクアップ』の効果からか、威力だけは強かった。筋力が-になっているはずの奴からの攻撃のくせに、石で出来た地面に深々と突き刺さった。


俺はその攻撃をかわしてから、地面に刺さったままのハルバードの柄の部分に右足の親指と人差し指のみで立ち、北斗の首を刀で刺した。そのまま軽く上に刀を振ると、北斗の首と首の下が分離した。


……………ちなみに、北斗も一回逃げようと思えば一応逃げられたはずだ。深々と刺さった『フルメタルハルバード』を引き抜こうとしていた北斗だが、彼の筋力では抜けるはずもなく………。


最初から見限って『フルメタルハルバード』から手を離せば良かった物を……………。そうすれば、寿命は数秒から数分は延びた筈だ。だが、すでに絶命している彼には届かないだろう。


…………首を引き抜くときに肩の肉も付いてきたけれど、それは気にしないでおいた。『フルメタルハルバード』から降りた俺は、それを拝借して北斗の首を晒し首にするように上の尖りに刺しておいた。


俺のステータスはキラクや母方の祖父母からのチート級のボーナス貰っているので簡単に引き抜けました。それはもう、スッという効果音すら出ないほど素早く。


さて、次に晴矢の方だが、これまた他の人の転生ボーナスであろう『流星の杖』を腰から抜き取り、魔法を使おうと詠唱していた。しかし、北斗の死を目の前で見ていたせいか口元が震えており、かなり時間がかかっている。


「むー。」(二つ、不埒な豪遊三昧)


俺は晴矢の両腕を切り落とし、『流星の杖』を手にとってから、その杖の尖っている方で晴矢の首を貫いた。綺麗に首の部分だけが消え、晴矢の顔の部分だけ残った。


………………しかし、この二人の首を斬った後、デロデロと出てきたのは食料が消化される直前の、原型を留めていない個体だった。………………そういえば食後だったっけ…………コイツら。


第二王女の時は深く考えていなかったし、胃ごと溶かすような物だったため、溶けた脂肪の海みたくなった事以外は平穏に終わっていたが…………思えば、勇ノ宮達のスキルやアイテムで、体型が変わらないのはなぜなのか?という事へ疑問を持たなかったのが浅はかだった。


まさかスキル名に反するような、備蓄系のスキルだったとは…………。たくさん食べれば、長期間食べなくても大丈夫的なあれだったとはと思うほど、二人の体はミチミチと音がする程詰め込まれていた。


…………後悔するのは止めておこう。とりあえず、今は汚物が噴き出している事よりも、勇ノ宮を殺すことを考えよう。そう思っていると、勇ノ宮は次は自分の番だと分かったのか、顔を怒りで赤くしながら叫んでいた。


「役立たずが!!何やってるんだ!!おい!!誰か出てこい!!勇者様が殺されるぞ!!お前等の勇者様が殺されんぞ!!早く助けに来い!!俺の身代わりになりやがれ!!」


ここで、悪代官なら部下が大量に出てくるんだけどなぁ………勇ノ宮は北斗と晴矢以外に人望が無いのか、誰も出てこない。本当に誰も出てこなかった。


呆れてしまうのもなんだが、このまま勇ノ宮が逃げようと思う気を無くしておこうと、俺は台詞を続けた。いや、むーとしか聞こえないんですけどね………。


「むー。」(三つ、醜い勇者の首に。)


俺は、勇ノ宮に『体感時間増加』をかけておく。これで、色々と反省する時間はできるだろう。とゆーか、転移する前に人一人殺しておいて、人望が上がるなんて思ったのかねぇ?


しかし、反省とかの時間に付き合っている暇もないので、俺はさっさと終わらせることにする。さっきのやつもその為にかけたのだし。


そして、俺は刀を構える。この刀、質の悪い鉄と二人の血でギタギタになっているため、相当の痛みがあるだろう。質の良い剣だと痛みを感じさせないという逸話もあるぐらいだしね。


そして、俺は逃げようとする気を取り戻した勇ノ宮の首を跳ね飛ばした。それと同時に最後の台詞を吐く。アレンジが過激になっているが、仕方のない事だ。


「むー。」(咲かせてくれよう、紅き花。)


それと同時に、勇ノ宮の首は、空中で一回転して血塗れになり、残った首の下の部分に乗った。首の下から噴水のように出ている血と合わさり、やや不格好な花が、勇ノ宮だった物の首の上に咲いたのだった。



勇ノ宮は作中で最弱の中の最弱な勇者です。普通の勇者はバルデラなどの様に化け物以上の力の人達が多いのです……………。なので、勇者弱いじゃんと思わないでください。

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