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闇の巫女part  イーステルムの王族殺し-6

第二王女が苦しみ始めた時、第二王女の従者二人の思考は停止していたかもしれない。なぜなら、第二王女の体は溶けだしていたのだ。それはもう、ドロドロというようなオノマトペが出てきそうな様子で、だ。


俺が第二王女に使った『魔塊毒』には、脂肪を溶かしながら体温を上げるという物だ。…………まぁ、脂肪を溶かし終わったら筋肉なども溶ける奴は溶けますけどね。


なんせ第二王女は生命維持が得意な人間だ。体温の限界である45度程になったとしても、ギリギリ生き残るだろう。それに、あの『魔塊毒』にはきちんと苦しめられる様に生命維持の魔力も混ぜている。


反発の魔力も加わっているため、思う存分死ぬ直前の高熱を楽しんでもらえるだろうと思う。ついでに脂肪が溶けて体が軽くなるのだが…………ある意味苦痛かもしれないなぁと感じた。


簡単に言えば昇天している所を無理矢理押さえつけられて足がつくか着かないかという位置を細かく跳ねるような感触を味わうだろう。……………どんな嫌がらせだと思われそうだなぁ………。


だが、涙と涎でぐちゃぐちゃになっている顔がデロンデロンと溶けているシーンを見せられるこちら側もどんな罰ゲームだと思ってしまうのは気のせいだろうか?


まぁ、第二王女の体が溶けているとはいえ、外に外にという感じで溶けているため、内臓やらは見なくていい分楽かもしれないなぁ………。いや、本当に。


これまで殺してきた中で唯一血が流れていない殺し方だが、あの第二王女が生命維持の魔法を持っていなければグロさも軽減出来たのになぁと思っているのは俺だけの話だ。


頭から順に溶けているため、口が塞がっているため呻き声はそこまで聞こえない。しかし、最初に考案していた『魔塊毒』の場合、絶対に呻き声は第二王女の口から出てくるだろうと思う。


そう達観しながら第二王女の部屋の様子を見ると、二人の従者の内、先輩と呼ばれていた者は部屋の外に出ていた。恐らく他の王子達の護衛や捜索に暗殺者である俺の追跡をする者達にこの事を知らせに行ったのだろう。


そして、数分後に従者の一人が戻ると、一斉に第二王女の事を支持していたのであろう従者達や見覚えのある転生者達が集まっていた。恐らく兵士になれなかったために下働きをさせられている者達だろう。


大臣らしき腹が少しでている貴族は下働きのような扮装の転生者達に第二王女の脂肪が溶けた物を片付けろという事を言って、転生者達はそれに従っていた。物凄く嫌な顔をしながらだ。


しかし、アレを使うための状況が段々と整っていく事に喜びを感じてしまう。あの大臣らしき男は第五王子では無く、王の補佐という名目の大臣なのだろうと思いながら、俺はSWから、第三王子の死体から取ってきたあるものを取り出す。


大臣達は下働きをしている転生者達をこき使っている………その様子を見て、大臣達は彼らがすでに奴隷の身に落ちている事を知っているのだろう。


そろそろ、第二の混乱を行っても良いだろう。俺はSWから紙束を取り出した。SWには『隷属契約の印紙』と書かれている。名前の通り、この紙は隷属に関する紙だ。未契約の場合は印紙ではなく紙と表示されるとSW内の説明に書いてある。


これが、数百枚ある事からこの『隷属契約の印紙』によって隷属されているのは、騎士団に入った者も含まれイーステルム内にいる転生者全員だ。……………まぁ、勇ノ宮が一時間で追放した政野先輩達はやられていないだろうけど。


そう思いながら俺は『隷属契約の印紙』に発火の魔力を付けて放り投げた。すると、燃え上がって灰になっていく『隷属契約の印紙』がどこか遠くへ飛んでいく。その様子を見ている後ろで大臣達や転生者達の声が騒がしくなった。


「な、なぜ隷属契約が取れているのだ!!第三王子、第三王子を探せ!!」

「一部は部屋の方に、残りで娼館通りの方向かえ!!何者かに第三王子ご襲われている可能性がある!!」

「……………え?私、隷属契約されていたんですか?」

「どういうことですか?大臣?説明してくれませんか?」

「し、知らん!!全ては第一王子の令であり…………き、騎士団からクーデターが起こらぬようにだな………」


……………まさに阿鼻叫喚という言葉の似合うように、混乱している。下働きをしていた転生者や騎士団に入っていた一部の転生者達が大臣につかみかかっているし、大臣達は奴隷だったはずの転生者が解放されている事に混乱するし、王族の従者達は第五王子や第三王子の生死の確認で右往左往していた。


…………『隷属契約の印紙』が安っぽい奴で良かったなぁ………と思えてくる。なんせ安かったから『隷属契約の印紙』に書いてある魔法陣を崩す………ようするに切り刻むとか燃やすとかで奴隷から解放できた。


高級な奴だと何人かの生き血の血判が解放の条件と、和解しなければ外せない奴なので、手間が省けて助かったと思えてくる。……………まぁ、その後の処置は全て第五王子に任せるとして…………。


俺は混乱によって守備が薄くなった王の間へと向かうことにした。正直言って第二王女の最期を見るのは面倒だし、何より胸糞悪い。あの『魔塊毒』は反発の魔力によって第二王女生命維持の魔法は相殺されていくのだが、あの巨体になっても平然と生きている分を考えると第二王女の生命維持の魔法が解けるのは…………あの巨体が全てドロドロになった後だと思われる。


まだ頭が溶けている所なのだけど、奴隷関連の混乱は第二王女の胸あたりが溶け始める頃にはそこそこ沈静化しているだろう。つまり、この場にこれ以上留まるのは得策では無い。


そして俺は、王の間の裏口から入る。第三王子が持っていた地図には逃走用に玉座の裏に逃げ道があると書いてあった。そして、その逃げ道の出口である場所に、俺はたどり着いていた。


王はまだ王の間にいるらしく、足跡の類は一切無い。俺はそのままその道を進んでいく。逃げ道のためか、罠があるはずもなく楽に進めた。………………さっさと終わるかなぁ…………と思いながら『ハデスサイス』を取り出して、ゆっくり進む。


………そして、玉座の後ろにたどり着いた。俺は、『ハデスサイス』に力を注ぎ込み………………玉座ごと、イーステルムの王を切り裂いた。王の間の内部には護衛がいないことを確認してからなので、顔は見られないだろうし………、と思いながら。

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