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闇の巫女part  イーステルムの王族殺し-3

なるべく苦しんで死ぬ…………という事には時間をかけるという事だ。例としてはマルタの死に方だ。しかし、『祈祷魔法』は暗殺には向いていない。元々処刑用の魔法なので相手に姿を晒さす事が条件になっているのため、なるべくここの王族やらに顔を見られないという事を考えると使うことはできないなぁと思ってしまう。


それを踏まえた上で考えた結果、殺す方法を毒にしたわけだ。即効性で無ければあっという間に死ぬことは無いため、城の警備の目を向かせられる。


王女殺しと王殺しが同時に起こった場合、多くの人間は王の方へと急ぐだろう。しかし、時系列を少しずらせば王に向かう人間は少なくなる。王の警備も王女の死を聞いてから、王女の元へ急いで駆けつける事があればラッキーだ。


さらに、混乱の種となる物が手の中にある。王女が苦しみながら死んだことと、別に起こす事を考えれば殆どの人間がパニックになるだろう。まぁ、一番懸念するべきは、イーステルムの王が王の間から離れて第二王女の元に来ることだけど。


しかし、実の娘を殺している王の事を考えれば、部下に見に行かせるだけですませるかもしれないと思う。多分、子供にあまり愛情を注いでいないのだろう…………そうでなければ第二王女や第三王子が異常な行動をとっているのを見過ごすわけが無い…………いや、性格事態はすでに修復不可能なのかもしれないけどさ。


そう思いながら俺は、城門の前に来た。地図で見てみると、鍵を使って開く扉の先には中庭へと続く道と城の内部に入るための扉がある。城の内部では警備の者が多いが、中庭の方は景観を保つために兵士を一人も置いていないらしい。


当然、中庭の方のルートを選ぶ。城の中に入ってしまうと王子や王女の部屋に侵入するための経路は木で作られたドア一つになってしまう。つまり、侵入した事はバレるわ、逃げ道も防がれる事も多い。木の扉と石の壁だと、擦れるギギィ………とした音がなるからなぁ………。


侵入者が来ましたよと言っているような屋内からの侵入に対して、中庭からならば自然な形で侵入できる。なんせ窓はあってもガラスなどで閉じられていないため、矢も投げナイフでもドンと来いという感じだった。


……………ついでに言えば、窓の方には誰も立っていない。さすがに暗殺者からの矢などの生け贄になりにいく使用人はいないらしい。背中に盾を背負えばいいと思うのだけど………と兵士でも無い人間には持続できないか………と思う。


まぁ、そんなこんなで第二王女の部屋の窓に着いた。……………犬走りが無ければもう少しまともなセキュリュティなんだけどなぁ………。と思いながら俺は犬走りの上に乗り、第二王女の様子を窓から覗く。


もちろん、スキル『インビジビル』を使っているために第二王女側には認識されないだろう。だが、『インビジビル』は姿だけしか隠せない。そのために、叫び声やら呻き声などは消せない。


その事は承知していたので、俺はすぐに口に抑えた。第二王女の姿を見て、思わず叫びそうになったからだ。グレルアから聞いていた話通り彼女の体は醜く巨大だったが、正直言ってあそこまで醜いとは思わなかったのだ。


第二王女、メツァン・イーステルムは、約四メートルの高さの部屋の中、天井に後五十センチ程届かないほどの場所に、頭のてっぺんがあった。つまり、彼女の身長は三メートル五十センチとなる。……………これがまともな姿ならば、バスケやバレーで引っ張り蛸だったのだろうが、そんな事は無い。


なんせ横幅が頭だけでも一メートルはありそうで、胴体はその五倍程の幅がある。そして、何層にも重なった腹……まるで階段の様な形になった腹を見て、俺は吐き気を抑えられなかった。


醜く太っているという事がここまで恐ろしい風景だとは思わなかった。俺の元いた世界でもここまでの人間はいないと思う。なんで死んでいないのかが不思議になるほど、第二王女を見るのは気持ち悪い。人間あそこまで膨らんでしまえるのだろうか?


腹と胸の違いが分からないが、もし胸のサイズがあるのならZの大台にいけるのではないのだろうか?いや、いけないだろうけども、胸の方は完全に垂れ下がっていた。


まぁ、大事な所である場所には布が張り付けられているが、ほぼ裸なため、気持ち悪い程ぶよぶよした皮膚がむき出しになっているのだ。


幸いなのかトイレなどの方は問題ないらしい。……………洗浄石が大手柄だ。なんせ第二王女、太りすぎてもう一歩も歩けないらしい。


彼女の両足はすでに脂肪と一体化して、骨格は変わっていないはずなのに、象の足みたいに円になっている。さらには変にブヨブヨと均一になっていないため、歩く事は愚か立つことすらできる筈もないのだ。


そのために、第二王女の下半身の部分の近くに大量の洗浄石を置くことで、垂れ流しになる排泄物を浄化している訳だ。これが俺達の元の世界にあれば大人気商品になっているよなぁ………。部活のマネージャー業や介護の仕事がかなり楽になるぞ………。


そう現実逃避しながら、俺は第二王女の顔を見る。…………はっきりと言えてしまうのは、これまで見てきたドキュメンタリーで、激太りしている人の特集で紹介されてきた人達がまともに見えてしまう。


なぜなら、顔の形が顔の形としてはっきりしているからだ。それに比べて第二王女の顔は、もはや顔と呼べる代物ではなく、何段も同じ大きさの持ちを積み上げているような肌色と黒子の黒い色に、口が付いているだけの物にしか見えなかった。


髪は綺麗にまとめようとしているが、顔の横幅の長さが大変な事になっているからか、どうしてもちゃんとした髪型として俺の頭が認識しない。どれだけ見ても、頭が膨張しすぎて本来なら密着しているはずの毛穴までもが離れているため、落ち武者にしか見えないのだ。


そう思っていると、第二王女の物らしき声が聞こえた。その内容は、第二王女の自画自賛から来る過大評価からのまさに狂っているような声だった。


「私はあなたに恋をしたの。でも、あなたと私では身分が違いすぎる。それでもあなたは私と一緒にいたいと言ったよね?だから私の血肉となって、私と永遠に幸せになりましょう……………いただきます。」


そう言って第二王女は、人の挽き肉から作ったのであろうハンバーグを手掴みで口に運んでいく。ナイフやフォークを持てないほどの指の太さであるのは見たのだけど、手掴みで行くとは………まぁ、右手も左手も完全に引っ付いているようになっていれば仕方のないことだけ………なのだろう。


正直本当に殺すべきか確認する前に殺してしまいたいが、一応第二王女にも弁解の余地があるのかを確かめるべく、俺は部屋の中にいる第二王女の側近らしき女性二人の心の声を聞いてみることにしたのだった。

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