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闇の巫女part  イーステルムの意見箱-9

「……………良いぞ。殺したいなら殺しとけ。どうせカツァン以外は殺す気なんだろ?」


グレルアは俺の目的が分かっていたのか、静かにそう言った。しかしいきなり殺すのも忍びないし、どれくらいの実力があるのかが分からないため、とりあえず様子を見ることにした。


「おやおや、こんな薄汚い店に豪勢な馬車が停めてあるから見てみれば………かなりの別嬪さんがいるではありませんか。どうです?次期王の私と一発やりませんか?」

「言っておくがここは娼館じゃねーんだ。城に帰れよ。」

「…………うっせぇんだよ!!お前はここで俺にコイツを売ったってことにしとけばよぉ!!毎回毎回旅人を匿いやがって………今日という今日はキッチリとやらせて貰うぜ!!」

「…………前もそう言ったよな?で、俺に返り討ちにされたよな?」

「うるせーんだよ。王になっちまえばこの店は終わりだ。お前は奴隷になって妹にでも食われとけ。」

「…………あー、そのセリフ何回目だ?言っておくがお前へ王には向いてねぇよ。病気持ちが。」

「ウルサいぞ!!まぁ、いいだろうが!!王族に伝わる病気なのだ。光栄だろう?」

「…………元は娼婦からの物じゃねーか。」

「………まぁ、お前は俺達王族の名誉を汚してくるが、俺はお前が助けた女共を汚してやるよ。最初はコイツからなぁ!!」



そう言って第一王子は手を俺の胸の方に持ってくるが、俺は胸に触れられる前に第一王子のその右腕を掴み、血が出ないように握りつぶした。


「むー。」(正当防衛ですから、さっきのには文句は言わないでくださいね。じゃ、とりあえず殺しておこうかな。このロリコン野郎)

「な・な・な・なにをするんだ!!王になるこの私の腕がぁぁぁぁぁ!!」


俺はそう言って潰した腕を放してから、第一王子を突き飛ばした。そして、そのままハデスサイスを取り出してから、第一王子を切り裂いた。すると、第一王子は呆気なく血の塊になってしまった。店の中が第一王子の血で真っ赤に染まっていく。…………あれ?抵抗しなかったんですか?と疑える程、呆気なかった。


あ、今度はちゃんと首だけは確保できました。首の付け根の所を狙ったのが良かったのかなぁ………。これで勇ノ宮達を晒し首にできなかったって嘆くことは無いだろうと思うと、途端に充実感は出るけれど、物凄く拍子抜けしてしまった。


グレルアがたいそう見事なお手前で的な空気で称賛してくれているけれども、どうもこの王族の弱さだけはいただけない。ハデスサイスを振り抜いた時に反撃や防御は疎か反応もできていなかったし、警戒もしていなかった。


ゲームでは微妙に雑魚っぽく扱われるかもしれないけどさ…………せめて、もうちょっと強く………少なくとも一撃で倒れないほどの強さは持っていて欲しかった。とりあえず、第一王子が特別弱いという可能性に賭けて俺はグレルアに聞いてみるのだった。


『…………王族って、こんなに弱いの?』

「……………逆に聞くが、食っちゃ寝てとかヤッちゃ寝ての生活してるやつがどうやって強くなるんだよ……?カツァンのような反悪政派はそんな事はないんだけどな……。」

『つまり、権力に溺れて何の訓練もしてないわけですか……。期待外れも良いとこですよ。』

「俺だってこんなにあっさり死なれるとは思ってなかったからな。むしろ洗浄石だけで片付けられる程の被害ですまないとも思っていたんだがな…………」


とりあえず俺は式神の紙を使って血が飛び散っている所を掃除する。今夜行う予定の王族殺しでは顔を見られずに逃げるということも重要なため、式神の奴を使っている暇は無いだろう。そのため、集められる時に集めておかないと。


これ、人の血にしか反応しないからそこまで機会が作れないんだよなぁ………と思いながら、式神の紙に血を染み込ませていく。それを見ていると、便利だなぁ……と思うのである。


『そういえば王妃様などは生きているんですか?』

「………いや、いない。全員死んでいるな。まぁ、原因は王が娼館で貰ってきた病気からなんだがな。なんでも、風邪をひいただけで死ぬほど免疫が落ちる……とかなんとか。王族の血を引いている王や王子は平気だけど、元平民だったりする王妃じゃあなぁ………。耐えられなくても仕方ないかもな……。」

『どこの世界でもあの病気はあるんですねぇ………』


しかし全ての王妃が死んでいるのは………いや、それがこの世界の普通なのかもしれない。しかし、殺す人数が減った事には素直に喜べてしまう。本当に屑野郎だけを処分するだけなのだから。


『あ、そういえば馬車の中に同郷で奴隷にされかけていた人達が中に入ってたんだった。その人達をここで雇えませんか?』

「……………そのような事は早く言ってくれ…………通りで娼館になったとあの馬鹿な第一王子が誤解した訳だ。まぁ、雇うのには問題ないが、どんな奴だ?」

『女好きな女……レスビアンの二人。』

「…………まぁ、娼婦だと誤解されない奴なら別に良いか………。配膳役ができれば料理の方で客も増やせそうだしな。」

『じゃあ一応白金貨一枚置いていくよ。これから王族殺しに行く予定だから、二人を引き取ってくれるお礼と思って使ってもらえれば、その貨幣も喜ぶと思う。』


そう言って俺は第一王子の首をSWに仕舞ってから、城の方に向かうことにした。一応、最初に殺すのは第二王女だということは決めている。王は一番最後にするのだが、第三王子がどのような容姿なのか分からないので、慎重に見極めないとなぁ………と思うのだ。


「とりあえず、油断はすんなよ。後、城に入るには鍵が無いとかなり面倒なルートになるから第三王子見かけたらすぐに切り捨てて鍵を奪っておけ………。」

『アドバイスありがとうございます。ところで、やはり王族は…………』


俺がそうスケッチブックを見せると、グレルアはニカッと笑った。そう、それは農民達と同じ……………第五王子以外は殺して良しという言葉だった。

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