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闇の巫女part  イーステルムの意見箱-8

グレルアは、自分が嘗て王族だった事を知った時は6歳の頃だったらしい。知ったのは祖父の昔話からだという。


「じぃがここら辺の昔話をする時に、よくイーステルムをラングムートと言い間違えていたのを問いつめたら、今では語られていない昔話を話してくれたんだよ。」

『それはどんな話だったの?』

「よくある話だ。悪い噂の絶えない大臣が、王の死ぬ間際に狂言を言って自分以外の王の臣下を部屋の外にやり、王と二人になった。そして病によって亡くなった王から王冠を取り、自らが王と豪語していったんだよ………それの子孫が今の王族だ。」

『王冠は確か王が死んだときにしか外れないし、かぶれるのは次期王のみだった筈………』


するとグレルアは苛立ちを抑えながらため息をつく。そして、気を紛らわせるためか椅子から立って、グラスを拭き始めた。


「あの王冠をかぶってしまえば、例え奴隷だったとしても王になれる。しかしあまりそれを知られていないんだよな………。今の王族もその事が分かっていないのは、その王が元王族のラングムート家を城から追放したからだろうよ。」

『復讐とかは考えないの?』

「今更王族に戻らなくても良いだろ?俺はあくまで下町のバーテンダーだよ。王になる資格は無い。なるとしたらカツァンの方だ。」

『カツァンって誰?第五王子の事?』


グレルアはいっけね!という顔をした後にそれを認めていた。第五王子が幼少の頃、城を抜け出して隠れ家として扱っていたのがこの店らしい。


「カツァンの野郎は幼い頃から勇者と王族の供託によって民が苦しめられているのを知っていて、さらには民のために王になる人間だって事は鈍い俺にも分かっていた。でも、第一王女がこの国から出た時………俺達が15の時に、俺はカツァンに自分の元王族の血で王族魔法から守る術を渡したんだよ。」

『第一王女に何があったの?』


すると、グレルアは身を震わせていた。ブルブルほどの軽い震え方では無くガクガクと本当に恐ろしいのを抑えているようだった。


「俺はカツァンから聞いただけだが、第一王女は王族魔法で砂像に変えられたんだよ。頭の上から足にかけて砂の塊にされていった後、サラサラと散っていった。何の抵抗もできないままに殺されるんだぞ?恐ろしくない訳が無い。」

『抵抗できないのは確かに恐ろしいような………。でも、死んだのはどう説明されてるの?』


すると、至極簡単な答えが帰ってきた。まぁ、普通はそうなるよなぁ………という答えだった。テンプレ…………とばかり思ってしまう。


「簡単だ。どっか別の国に嫁いで言ったっていえば王族だし誤魔化せる。別の国に行くことすらしないからな、うちの国は………。まぁ、第二王子と第三王女は恐れを成して国外に逃げた。第六王子は王の娼婦の館通いが原因での病気持ちで短命に診断だけどな。第四王子は政略結婚でだから王と同じ様な人間だ。」

『じゃあ、第五王子だけは逃げ出さなかったわけ?』

「カツァンがいなくなったらこの国は飢えで回らなくなるだろうよ。あんだけ豪勢な食いっぷりだと作る農民がいなくなって何日持つだろうな………。」


国民的にはさっさと第五王子に王位を譲って欲しいだろうが、王冠は老いでも殺しでも良いがとにかく死なせないと外せないため、悪政を徹底的に解決する策は使えないらしい。今は勇者もいるため、革命も起こせないらしいし。


「昔は騎士団も強かったから革命も出来なかったが、今では騎士団は弱体化してる。でもできないのは飢えのせいだな。城下町の貴族達は革命に協力する気はさらさら無いだろうしなぁ………。しかも勇者までいれば無理だと思うだろうぜ。」

『…………この国の状況はよく分かった。じゃあこの国に残っている王族の事を教えて。』


すると、グレルアは解説を始めてくれた。まぁ、説明の所々で「なんでこんな奴が王族なんだ……」とボヤいていたけれどね………。聞いてみれば、気持ちは分かる。


「まず、第二王女はとにかく醜い。日々ケーキやらの菓子に大量の飯を食っているからな。当然のようにブクブク太っている。そりゃあもうカボチャ姫と言っても可笑しくないほどにな。」

『カボチャってどれだけ分かりやすい例え………。で、その王女の他の特徴は?』

「この出で立ちだから第二王女はあんまり男に好かれていない。一応三回ほどは婚約まで行ったがあくまで政略結婚で第二第三夫人とかだったわけだ。それに腹を立てて婚約は不成立。その後は顔の良い奴隷を挽き肉にしてハンバーグにして食べたりしているからある意味怖いな。」


いや怖すぎますから………挽き肉にするってどっかの漫画でもあったけどさ…………。どれだけ狂ってんの第二王女……。どれだけ心汚れているんですか。


「ちなみに件の奴隷は公開処刑で挽き肉にされているからな。それを涙を流しながらクチャクチャと音たてて食べるから余計に嫌な人間として見られているよ。」

『………本当に恐怖しかないんですが………。』


食べ方まで醜いらしく、どうして第二王女はあんななのかと言われているらしい。第一王女は婚約とかする前に王族魔法で殺されているけど、第三王女は第二王女曰くかなりの高レベルなイケメンと結婚したらしい。


そして、その嫉妬と婚約不成立の件からこの様な事を繰り返しているのだという。王族は狂うと本当に怖いな…………。人肉を普通に食べるとか。まぁ、どこかの国の将軍は途中立ち寄った夫婦の家で、その妻の肉を振る舞われたと言われる事もあるぐらいだから何か因縁でもあるのだろうか?


「で、第一王子と第三王子は王と同じく娼婦へ入り浸っている事が多い。第一王子は昼から通って夜に帰るのだが、第三王子は夜の方に出かけるんだよ。で、第一王子の方はタダメシだったりもしていく奴だ。第三王子も金は払わずに勝手にやって帰るからな。この国は本当に訳わかんねぇよ。」

『どんだけ料金払わない権力者がいるんですか………。』

「まぁ、王族の公務をしているだけ第三王子の方がマシかもしれないが、どちらにせよ嫌味なのは第一王子だな………。」


そんな話をしていると、ドアのベルがカランカランと鳴った。そして、乱暴な音を建ててドアが開く。そして、入ってきた男は、いきなりグレルアを罵倒していた。それも、かなり口汚くだ。


『あれは誰?』

「噂をすればなんとやらかよ………。コイツはイーステルム王国の第一王子だ。つーかなんでこんな所に来ているんだ?この店は娼館じゃあねーんだよ。別の所に行け!!」


どうやら、王族の一人をさっそく殺せそうというチャンスが来たことに、俺は笑ってしまう。第五王子以外は別に死んでも構わないのだから、さっさと終わらせてしまおう………。俺はこっそりと自分の武器を取りだした。そして、グレルアにこっそりとスケッチブックを見せて置く事にした。


『アイツ、殺していい?』


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