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闇の巫女part  イーステルムの意見箱-3

まず、門番とマルタが認識したのはマルタ婦人が俺に殺されたことだろう。この世界には存在しないかもしれないが、こちらは抵抗しなければ奴隷になっていた可能性もあるんだ。正当防衛は軽く成立するだろう。


「ななななんで俺の嫁を殺してんだよ!!この奴隷が!!ご主人様に逆らうんじゃあねぇよ!!さぁ、お前の体を捧げて俺の嫁を生き返らせろよぉぉぉぉぉ!!」

「落ち着け!なんかあの奴隷変だぞ?隷属魔法がかかってないように見えるぞ………。お前、こんな事になるなんて言われなかったから今迄協力してきたんだぞ!!」

「はぁ?お前だって酒やら肉やらをガバガバ飲んでたじゃねぇか!!リスクと供に飲む酒は美味いとか言っていたじゃないか!!」


二人は責任の押し付け合いを始めた。それはとても醜くて、思わず笑ってしまった。本当はお前達が笑うつもりだったんだろう?猿みたいに俺を汚そうとしていたんだろ?


「大体なんで俺達が恨まれないといけないんだよ!!俺達は王や勇者に便乗して稼いだだけだ!!奴隷になった奴らも俺達に騙されたのが悪いんじゃねぇか!!」


マルタが叫びだしていたが、俺はそんな事は気にしない。こんな風に惨めで、情けない姿見せれば殺すのも馬鹿らしいとなって俺が見逃すとでも思ったのだろうか?…………だとしたら彼らは相当な馬鹿なのだろう。


「むー。」(神よ、我は神の子であり、罪裁き者なり。)

「な、なんだよ………こっちに来るなよ…………。」


マルタは俺が何かをしようとしているのを感じ取ったのか、俺からゆっくりと後ずさりながら、怯えた声でこちらに叫んでくる。まぁ、何かをやろうとしているという事はあっているしね。


「むー。」(神よ、彼らをご覧ください。彼らは神の子が裁こうとする者達なり。)

「………お、おい!!ここでこの奴隷を殺した方が良いんじゃないか!?俺はまだ死にたくねぇよ!!まだ転生者の女子を犯してねぇんだよ!あそこの風俗はぼったくりだからな!お前が金の方をケチるからこうなってんだろーが!!」

「五月蠅ぇ!!なら酒とかに使わないでさっさと行けば良かったじゃねーか!!」



どうやら、ここの転生者の一部は娼婦に身を落とした人間もいるらしい。まぁ、普通科のクラスの中にはそんな事で生計や遊ぶための金を欲する様な人間もクラスに数人程度はいたと思う。


まぁ、日頃から売春していた奴等はそれなりに幸せだろうから放っておこうかなぁと思ってしまう。助けた後に逆ギレされても面倒だしなぁ………。


とりあえず転生者についての情報が謀らずとも手には入ってしまい、俺は少しだけ笑った。まぁ、マルタと門番を殺す事に変わりはないのだけどね。


「むー。」(彼らは何を望んでいるのでしょうか?神よ、どうか導きください。我の怒りが彼らに救い無き死へ誘ってしまう前に。)

「お、おい!!グラッヘ!!早くアイツを殺せ!!そうすれば俺達は助かるぞ!!早く槍を出せ!!」

「あ、あぁ…………。で、でもよぉ。これは素直に逃げてしまった方が良くないか?どうせこんな賊みたいな女、勇者様々が退治してくれるだろうしよ……。」

「お前はそれでも良いかもしれねぇけど、俺はあの荷物を持って行かないといけねぇんだよ!!ここで怯えて逃げ出したなんて事になったら俺の信用はだだ下がりだ!!だから早くアイツを殺してしまえ!!報酬はアイツの死体を犯させてる!!」

「足りねぇよ!!せめて残りの二人も俺の者にすると契約しろ!!そうでないと俺は逃げるぞ!!俺はまだ死にたく無いんだからなぁ!!」


そう言い切ってから門番ことグラッヘが槍をSWから槍を取り出し、俺の方に突っ込んでくる。…………まぁ、生かすつもりは毛頭無いために、俺はグラッヘの持っている槍を軽く掴み、刃を砕いた。その刃はとても小さな欠片となり、とてもじゃないが殺傷能力など持っていない………と、誰もが錯覚するだろうが、正直言って、魔王の娘となるとそれを使って雑魚のような敵を殺すことはできるのだろう。


「………………ッ!」

「…………………は?え?嘘だろ!!グラッヘ!!」


俺は、刃の細かい欠片を手で扇ぐ様に振った。すると、なんという事でしょう。グラッヘの無精髭の伸びきった歯並びの悪い目の下に隈がある顔が、スローモーションで小間切れになって行くではありませんか。それはもう、CGで再現されつように鮮やかな、人の頭がミンチになっていく動画が完成されたような雰囲気でした。


首までしっかりとミンチになったのてもう助かりはしないだろう。人間というのはそこまで頑丈じゃないし、グラッヘは勇者でもなんでもない、愚なる王に従い甘い蜜を吸う一般人だ。助かる見込みはもう無いだろう。そして。それを見たマルタも、それを自覚しているだろう。


グラッヘの死体は腰を抜かしたマルタの横にドサッと倒れた。俺からはかかっていないが首から上がミンチになったグラッヘの首の穴から出てくる胃液がマルタの服にかかり、マルタの服が少々溶けていったのを見て、血がかかっていないためまだマシなのか、マルタの思考は止まっていなかった。


マルタの脳内には目玉やら脳味噌やらが露出して、その後スローモーションで血と肉だけに分解され、さらにはその肉さえも血の様な液体みたくなるまで切り刻まれる所を見れば、普通は思考が止まるまでの精神的なダメージは喰らうと思うのだが、下衆の極みとも言えそうなマルタの神経は図太かったらしい。



そんなマルタは自分のプライドも脱ぎ捨て、さらには自分のやろうとしていた事や、これまでの悪事すらも捨てて、俺にこう嘆願した。それは、安っぽい悪党が正義に許しを請うシーンを彷彿させた。


「な、なぁアンタ…………。俺と組まないか!!俺と組めばイーステルムで稼げる!!一生遊んで暮らせる金が手に入るぜ!?だからさ……殺さないでくれ!!俺の命だけは助けてくれ!!頼む!!この通りだ!!」


そう言って、マルタは土下座した。土下座しなれてないのか、かなり汚い土下座だった。事実、マルタの土下座には何の誠意も感じない。感じるのは薄汚いただ助かろうとするだけの浅はかな考え方だった。


「むー。」(神よ、彼の求める物が分かりました。彼は、罪の代償に、『生』を求めております。)


もちろん、マルタに俺の言葉は届いていない。それでも、俺はこの言い回しには、救いを与える物では無いという事をマルタには伝えないつもりだ。………だって、マルタもマルタ婦人やグラッヘと似たような死体になる事には変わり無いのだから。


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