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闇の巫女part  イーステルムの意見箱-2

農村エリアから城下町にまでの道には色々と馬車がよく通る。なんでもその馬車は酒やら麦などの作物に狩られた獣の死体などを乗せた馬車が貿易の為に来ているらしい。


俺が話を聞いていた農村はそれなりにイーステルムから遠いためか、農村の方々は『マルタ仲介商会』といういくつもの馬車を連ねている馬車を引き留め、俺を一緒に乗せてやってくれと言い、そのまま俺はその馬車に同行する事になった。


話を聞けばこの馬車を率いているマルタという男と、その妻は夫婦でイーステルムへの貿易を仲介する事で食っているらしい。しかし、仲介にしては量が多すぎるかもしれないが、これには訳があった。


「イーステルムの王族は基本的に嫌な奴ばかりだけど、そのおこぼれは美味しいという理由で王の側に付く貴族や商人も多いんだけど、そんな奴らは法外に輸入値段を下げようとするからね………。その防止のために僕達が仲介業を開始したんだよ。」

「……まぁ何度も王側の商人を殴りそうになる事はあるんだけど。」


そう言いながらマルタ夫妻は笑っていたけれども、目が笑っていなかった。昔イーステルムか別の国でなにかあったのだろうか?と心配になるのが普通なのだろうが、俺はそうは見れていない。


実際、俺はこのマルタ夫妻もまた王側の人間なのだということが分かっている。試しに鑑定してみれば案の定、この二人もおこぼれ狙いのために正義を気取っただけの、王の妾の子達だった。簡単に言えば今の王が王子の頃に風俗などで子を産ませたという、娼婦達の子供………らしい。


ちなみに、職業の部分でマルタ夫婦は両方奴隷商人となっている。スキルの中に偽装関連が入っているので一般人にはただの仲介商としか思われていないのだろう。よくこんな子供を妾に産ませたものだ。


話を聞けばイーステルムの王様は3人の妻を持っているとは言うものの、それだけでは満足できないのが愚なる王であるイーステルムの王様の血らしい。王妃達は一応男は王様しか知らないというのが唯一の救いかもしれないけど……貞操観念としては。


マルタ夫婦にとって俺に言った真実といえば夫婦であることだけだった。まぁ、今殺してしまっても構わないけれども、農民の方々の目もあるために殺すことは難しい。まぁ、降りるときに考えればいいかと思いながら俺は連なった馬車の中に入ったのだった。


この馬車にはお貴族様と言えるような王側に付き王の悪政のおこぼれをいただいている貴族の為の荷物が乗ったのが全部で15。多分三世帯程の貴族に持って行っているのだろう。後、勇者用の食料や酒が25。主に干し肉やら魚の干物だけれども、焼けばそれなりに美味くなると、マルタ夫婦が言っていた。


マルタ夫婦は俺がマルタ夫婦を善良な市民であると疑っていないというように錯覚しているのだろうが、全然そんな事は無い。むしろ旅人を乗せては身ぐるみ剥いで奴隷に仕立て上げようとするなんて事すらお見通しだ。


しかし、俺を奴隷候補の人間の馬車の隣に乗せるというのはある意味で間違っている気がする。まぁ、そこが一番狭く逃げ場の無いような作りだけども、横にいる奴隷候補の声により別の意味で憔悴してしまいそうになった。


…………………正直、二度と関わりたくなくなった知り合いというか、転生者だった。女教師と女子生徒………いや、制服じゃないから多分用務員さんだったのだろう。そんな大人の二人がレズってました。


その行為による声を聞きたくないが故に俺は耳を塞ぎながらこの二人が誰なのかを思いだしていた。確かあれは体育の時間に見たことがあるんだった。授業している時間ではなくて準備のために倉庫の近くに行った時の事だ。


教師である原中 エノ(はらなか えの)と、童顔でありしかも華奢な体型から高校生でも充分通用する見た目の学校の用務員である日得ひえる うめだった。確か二人とも奈津に負けず劣らずのレズビアンであり、昼休憩には毎日体育用の用具室で何かをしているという噂があった。


多分転生させられたときにその建物にいたためにあの二人だけでこの世界に転生させられたのだろう。しかしまぁ、奴隷として売られそうなときになぜここまで何かをする事ができるのだろうか?と思う俺なのだった。


とりあえず俺は自分の体に隷属魔法の封印を施しておく。どちらにせよ、マルタ夫婦のような悪党にも実験台として使えそうな役割だった。


「さ~て、そろそろ到着するよ~。」


マルタ夫婦の内、夫の方の声が聞こえた。城下町の貿易のための場所に着いたらしい、しかし隣の馬車でレズっている二人は止める気配が無く、一番最初に降ろされるのは俺になりそうだった。


ちなみに、この馬車の中では中の音は全て聞こえるが、外の声は聞きづらいということで、普通なら門番とマルタ夫婦の会話などは一切聞こえないと思われるだろうが、俺にははっきりと聞こえていた。


「よいせっと。今日も奴隷が釣れましたよ。しかも上玉が三人です。」

「おうおうアンタも悪だねぇ。仲介商もかなりぼったくりしてるって俺は知っているぜ?相変わらず良い商売してるよ。まぁ、性奴なら俺が最初に頂くんだけどな。味見はしとかねぇと。」

「誰もお前に抱かれたいとは思わないと思うぜ?」

「はっ、娼婦の息子が何を言っているか。にしても三人もいりゃあ多分10年は夫婦で遊んで暮らせるぜ?雲隠れしちまったらどうだ?もう一生遊んで暮らせるだろ?」

「でも簡単に騙されてくれるからなぁ……。親切な振りしておけばいくらでも奴隷や金も手に入る。これほど楽な仕事は無い。もうちょいと稼いだら引退するよ。その後はお前がやればいいんじゃねぇか?まぁ逆にぼったくられそうだけどな。」

「はは、そうに違いねぇ!!」

「二人ともそんなにはしゃいでないで………。私、さっさと隷属魔法掛けてくるから。最初は農村で拾った子でいいでしょ?」



門番をしている小太りな男とマルタ夫婦の夫が話しているが、妻の方は俺に隷属魔法を掛けようとして馬車の中に入ってくる。そして、俺に隷属魔法を掛けるためにゆっくり………ゆっくりと俺の右腕を掴んだ。


「………………え?隷属魔法が発動しない………な、なんでよ!!」

「むー」(………………いや、驚いている暇なんてアンタには無いと思うんだけど……………。)


俺は相手には聞き取れていないだろうけども一応警告はした。なので実験させてもらう………ということで俺はスキル、『ライトマトハンド』という相手を光魔法によって作られた大きな手で握りつぶした。巫女服に血がベッタリと付くぐらい、マルタ婦人はあっさりと潰れ、血の塊となっていた。


まぁ、よくよくマルタ婦人を握りつぶした手の下を見ると潰しきれなかった胃袋が、肝臓が、膀胱やらが血塗れになって転がっている。あぁ、気持ち悪いと思いながらも俺はそれを踏まないように進む。


そして、実験結果を確認して俺はニコリと笑った。あぁ、俺は………………………………………愚なる王を殺したとしても、愚かな勇者を殺したとしても何も心に響かずに、心が少しも傷つかない。


そう思いながら、俺は馬車を降りた。残りの二人をマルタ婦人と同じように殺すために………。


だって、俺は魔王の娘なんだ。愚かな王に味方する屑やろうは、殺しても心が痛まないんだから……………俺は笑いながら門番とマルタ夫婦の夫の方を殺しに向かうのだった。

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