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聖者達part アルザール城での居住生活-10

色々と忙しくて更新が遅れてしまいました。………いや、新しく買ったゲームに夢中になっていたわけでは………(汗)

その言葉を聞いたアマツバメはビクリと体を震わせていた。なぜなら、ルーファリアスの言っていることが図星だったからだ。


アマツバメはアルヒバリ達を守ったときには、確かに自分がどうなってしまっても構わないという覚悟はあった。しかし今では、その時の覚悟すら持てないような本当の弱虫であり本当の臆病者………それがアマツバメだったのです。


アマツバメはその日から、昔の様に覚悟を持たなければと思うようになり、特訓を始めていました。しかし、一向にわざと苛めてくるアルヒバリに反論の一言も言えませんでした。


そんなある日、嵐がアマツバメ達の国を襲いました。普通の嵐ならば嵐が通り過ぎた後に泥やら流木やらのゴミを片付ければ良いのですが、今回の嵐は毒を纏っていました。


その毒に、アルヒバリとカラツバメ……さらには王女であるヒメツバメまでもがやられてしまいました。本来ならカラツバメは毒にも負けない筈なのですが、今回ばかりは毒を多く受けたために、弱ってしまってから寝込んでしまいました。


アマツバメは、とても恐ろしい事だと思っていました。尊敬する父親も、守るべき親友や王女様を守る事が出来ずに死んでしまうのでは無いのだろうかと。


アマツバメは何度も何度も悩みました。自分には何も出来ないのではないか。また無駄足で終わってしまうのでは無いだろうか…………?


そんな考えがグルグルと回っていました。嵐も普通なら二日もすればどこかへ行ってしまう筈なのに、五日の時が経っても一向に嵐が過ぎ去る様子はありませんでした。


これでは、他の国から医者が来るまでに三人が死んでしまう…………。嵐の中を出るのは怖いけれど、三人が死ぬのは見たくないという思いから、アマツバメは一人でルーファリアスのいる小屋まで飛んでいきました。


もしかしたら、ルーファリアスなら毒を治すための方法を知っているかもしれない…………と。そんな淡く、藁にでもすがる様な思いを胸に秘めながらアマツバメはルーファリアスのもとへとたどり着きました。


「ルーファリアス、お願いだ。あの病を治す方法を何か知らないかい?」

「…………あるにはある。でも、君がやらなかったれ何人の鳥人が死ぬんだろうね?あぁ、君が勇敢であれば、君が勇気を持っている鳥人ならば…………。または、君が死ぬ覚悟を持てるのなら、実現は可能なんだ。」


無邪気な声で笑ったルーファリアスはアマツバメのきょとんとした後に顔を鬼のように赤くして憤慨した顔を見て、 またも笑い転げました。


「なんでそこまで僕にこだわって、僕を馬鹿にするように笑いながら、僕以外に出来ないなんて言えるんですか!!こちらは真剣に話をしに来ているのに!!」

「ゴメンゴメン。君があんまりにもオドオドとした最後の希望みたいな人だから、つい笑ってしまったんだよ。」


笑い収まったルーファリアスは、今度はやや深刻な顔をして、アマツバメに三人を救う方法を語りかけました。それは、確かにアマツバメ以外にやらせようとすれば、鳥人は死に至るような方法だったのです。


「まず、あの病を治すために必要なのは黄色い葡萄なんだ。でも、葡萄というのは基本的には濃い紫色……普通の品では無いという事が分かるよね?そして、この黄色い葡萄はどうやって出来ているのかは分かっていない。でも、嵐の過ぎた後に出来ているのは分かっている。もしかしたら、嵐が止む前には手に入るかもしれない。でも、この嵐には雷がよく落ちるから、葡萄の木にはかなりの電流が流れている。それに、採るためのスピードが足りなければ落雷にあって死ぬ可能性も無いとは言い切れないんだ。」

「…………確かに、飛ぶ速さだけなら僕にも自身はあるけど………。確か、もう少し先に葡萄の木があったはずだから、見てくるよ。もしかしたら、簡単に手にはいるかもしれないからね。」


ルーファリアスの考えだと、カラツバメ程の飛ぶ速さが無ければ落雷に当たり死んでしまうという事だけれども、アマツバメは飛ぶ速さだけならばカラツバメよりも上なのでどうにかなるだろうと考えていました。


それからアマツバメとルーファリアスは、嵐の中で森に向かって走りました。物凄く速い速度で行ったために、すぐ着きましたが、そこで二人は黄色い葡萄を手に入れることがとても難しいと理解しました。


落雷が多く、葡萄の木が次々と焦げ尽くされていきます。しかし、その一瞬だけ、葡萄が黄色になったのを二人は見ていました。しかし、黄色になった後に刹那と言うよりも短い時間の内に、葡萄の木は焦げて葡萄の実はおろか、葡萄の木全体があっという間に黒く焦げた炭のような物体になってしまいました。


ですが、ルーファリアスはアマツバメが勇気を持てれば、落雷で黄色くなった葡萄を、木が焦げつきる刹那と言える時間よりも早く採ってしまえば無事に手に入れられると考えてアマツバメに提案しました。


「で、でもそれは無理じゃないですか!!僕にはそこまでの勇気はありません!」


当然のようにアマツバメは拒否しましたが、その様子を見てルーファリアスはアマツバメに向かって怒号を浴びせました。それは、ルーファリアスがアマツバメに向けた怒りの中で最も大きな物でした。


「じゃあ、君はこのまま大切な三人を見殺しにするのか?何もしませんでしたで終わらせて、逃げるのか?そのつもりなら私は二度と君とは会いたくない。あの屋敷は残すけど、君の嫌いな獣達を集めておくよ。そうなりたくないだろ?三人を死なせたくないなら、無茶な事をやってからにしてくれないかい?君は、あの黄色の葡萄を採ることが出来る唯一の鳥人なんだよ!!一生弱虫と臆病者と三人を見殺しにした罪に押しつぶされたくないなら今、ここで、君が弱虫ではないと証明して見せろ!!」


そう言われたアマツバメは、弱々しくも、一歩また一歩とまだ落雷に撃たれていたない葡萄の木に向かって飛びました。その翼には、まだ多少の恐怖はありましたが、アマツバメはただ真っ直ぐに飛びました。そして、アマツバメが向かっていた葡萄の木に落雷が落ちてきました。


アマツバメは、勇気を振り絞って黄色い葡萄を焦げつきる前に手に入れる事がてきました。後ほんの少し、ほんの少しでも迷いや恐怖があればアマツバメは葡萄の木諸共真っ黒な炭になっていたのでしょう。


黄色い葡萄を手に入れたアマツバメは急いで城に戻り、毒に苦しんでいる三人に与えました。すると三人はすぐに回復して、アマツバメに感謝していました。


アマツバメはこの出来事から自分は弱虫では無い、臆病者でもない。いや、そうであったとしても、自分は弱くないという自身が、アマツバメの中に出来ていました。


それからアマツバメはより勇敢に成長して、立派な騎士になったのですが、これはまた別のお話。ヒメツバメとアルヒバリの二人から同時に告白され、それを父のカラツバメが重婚もありだなと笑っていたことも、また別の話でしょう。


…………………………………………………………………………


アマツバメ以外のページをも読み終わった僕は、ベッドに寝ころんだままその本をベッドの近くの本棚に入れようとしてカラーボックス程度の大きさの本棚がいっぱいだったのでその本棚の上に本を置いて、別の本を本棚から取り出そうとして気付いた。


なんで僕はベッドに寝転がっているのだろう………と。そう思っていると良い匂いがしていた。本棚ではない方向を見ると、そこにはハンバーガーと書き置きが置いてあった。


『………正直、帰巣本能というか、クロに合う部屋すぎたよ、ここは。ジルフェは歩きながら英雄談を言うとより遅くなるからって事で本を読ませながら進んでいたんだけど、クロはまるで自分の部屋のように本を読みながら扉を開けてか、本を読みながらベッドに寝転がって夢中で読み続けるんだもの……。夕食後にもう一度行ったらまだ読んでいたから軽食を置いておくよ。 ガンダレス』

『鰻の店は、明日の夜だな。より美味く食えるかもな。にしても、自分の部屋のように使えるって順応性が高いんだな、クロは……。 ニグル』


あれ?と思いながら時間を見れば、多分午前の2時。アトラクション開始は10時から。ただ、一言言えるのは………。


「夕飯食べ損ねたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


やけ食いの要領でそのハンバーガーを食べると、肉汁がジュワッと溢れ出て肉の旨味が聞いていた。パンの少しだけ硬い所でまた肉の柔らかさを際だたせている。少し硬いパンとソースの無いハンバーグだけの筈なのにここまで美味しいなんて………。


僕は、ますます夕食を食べ損ねた事を後悔するのだった。まぁ、明日………いや、今日か。今日はアトラクションで良い汗かいて鰻を堪能する事にしよう………。そう思いながら僕は、また本棚に手を………今度は薄い本にしよう……。


その結果、僕が寝たのは午前四時の事になってしまったのだ。いや……食べた後すぐ寝るのは体調に悪いしねと言い訳しながら、僕はベッドの中で眠るのだった。

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