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闇の巫女のプロローグ

連載初期と現在進行中の設定の相互から来る不具合を少し修正しました。

………………あぁ、なんで自分はこうまで虐められているのだろうか?


そう思いながら自分の血で汚れている教室の床を見ながら首筋に広がる痛みを押さえることもでしないまま頭を足で押さえつけられている自分とそれを見て笑う者、それを見ても無関心な者、それを見て怯える者を見て、この教室には味方がいないことに悲しくもなければ怒りも沸いてこない。


元々なんで自分が虐められなければいかないかが分からない程くだらない理由でやられているのだろう。それに、味方がいないわけではない。味方のいるところにすら行けないだけなのだ。だが今は助けを求める声は愚か意識すら持っていない。ただの意地でこの世に少しでも長く生き残ろうというと意識を手放すことをしなかっただけだ。



事の始まりは、高校に入学した時だったと思う。


俺がこの高校を選んだのは、保育園からの仲良し組が一緒だったからだ。そして、皆が何かしら凄いと呼ばれるような才能があった。持っていないのは俺だけだったのだ。他の皆は特待生で別の教室だったが俺だけは普通科の総合進学コースだ。


「なんであの先輩方と仲良く話してんだ?あぁん?し・か・も俺はお前のせいでフられたようなもんだっつーの!!」


俺の幼なじみは学校側からは特待生として認められるような人であり、その内の一人、長い歴史を持つ名家の娘で俺の一つ上の、亜希村あきむら ながれに俺と同じクラスの、大会社の社長の一人息子であり、成績優秀容姿端麗で高いプライドを持つ勇ノいさのみや 純一じゅんいちが告白を断られた事から始まった。


彼は八つ当たりで虐める相手を選んでいた時に俺と流が仲良くしているのを見たのだろう。そしてそれから俺だけが虐められるようになったのだった。

いじめの内容は主に暴力だったが、今日みたいに刃物で切りつけられたりもしなければ、死にかけることもない。ただ罵倒と一緒に腹などの目立ちにくい所を殴られるだけで何回も心が折れそうになった。


他の幼なじみ達に助けを呼ぶことは出来なかった。教師から直接特待生のいる校舎に行くことを禁止させられた。それによって授業にでられなくなったことにより一部の教師が反論し解除されかけるも、その教師が次々と転勤となった。悪いのは全て俺の暴力によるノイローゼという事にでっち上げられた。まるで味方を一人ずつ消していっていると思われたが、実質その通りだ。勇ノ宮が圧力をかけていたのだ。それに、あくまで俺の暴力による教師のノイローゼというでっち上げは校長以外が見ることはできない書類にのみの方便であり、俺の味方にはいっさいそのような情報は行っていない。

もし伝わっていたらアイツ等は俺の無実を証明するだろう。俺にはもういない両親に変わって。


俺にはもう両親がいない。両親の管理していたアパートで一人暮らしだ。両親が亡くなった理由は、飛行機事故で、両親の最期の姿も見れないくらいの大事故で、遺体は両親の死んだ何ヶ月も後にようやく墓に入った。両親の葬式の後、流の父や他の幼なじみの親が俺を引き取ってもいいという案を出した。むしろ、面倒を見させてくれと向こうから頼んできた程だ。両親は二人とも弁護士で流の父はよく助けられたといっていたのでその恩を返したいと思っていたのだろう。

しかし、俺はそれを断った。本当に困ったときだけ助けて貰うという条件で俺は一人暮らしを続けていたのだ。


まぁ、そんなお気楽に考えていた結果が今の死にかけている状況なのだけど。俺はこのまま死んでしまう、流達に別れを告げられぬまま、死んでしまうと、そう感じたとき、校内放送のように大きな声で声が聞こえたのだ。


『え~、校内の皆様、教室から出られなくて、大層困っていらっしゃると思いますがご安心を。別にここのダクトから毒ガスとかを流して抹殺しようなんて考えていませんから。』


その放送は全員に聞こえているらしく、俺が死にかけているのをボーッと見ていた一人がハッとして扉の方に走っていき、そしてガチャガチャと教室の扉を開けようとするも開く様子は無い。遂には彼の近くにあったイスでガラスの部分を割ろうとするも、ポヨンと言う感じの変な音によってイスが彼の手から離れ俺の金的な所に当たった。まぁ、痛覚が鈍くなっているからかあまり痛みは感じなかったが、通常ならかなり大きな叫び声を挙げているだろう。それはもう、勇ノ宮が笑い出すほどの。


『では、これより転生の儀式を始めたいと思っております………というのも、友人の世界管理人が言うには、僕の管理区域の人間が友人の世界の勇者なんだってさ。』


何そのテンプレのような転生の理由…………。


『で、勇者はこの高校にいることが分かったけど、僕の世界観でいうと個人だけを移動させるのってどう考えても小さすぎて僕はそんな細かい作業は出来ないんですよ!!ま、そんなわけだから僕はこの高校に在籍する全ての人間を転生の儀の最中で世界に飛ばすわけ。』


すると、しばらく間があった。恐らくこちらの声は聞こえていて、別の教室の誰かが質問しているんだろう。もっとも、俺は正直『こんな状況でも入れる保険があるんですか!?』と言っても良いほどの状態だ。正直死にかけているのは怖いがこれでまた生きるのか?そう思っていると、質問の答えなのか学校放送の声が喋りだした。


『まぁ、これから君達が行く世界には便利なことにゲーム要素が少しあるよ。レベルは存在するし武器なんかの入れ替えもステータスウインドウで出来ちゃう優れ物………まぁ、その分パソコンなんかの機械学はあまり発達していないかな。まぁそれは仕方ないよ。なんたって魔法とかに慣れればもうスマホなんかは必要ないしね。』

「あ、ありえねーだろ!!俺の課金したゲームはどーなんだよ!!オイ!!」


クラスの中で誰かが叫んでいた。確かオンラインゲームで課金しまくってトップクラスの実力を持つと言われる奴だと噂をよく聞く。これまでつぎ込んできた金と時間を理不尽に捨てられてしまうのだから怒りは分かる。


『まぁまぁ、電気魔法覚えてさっさと充電できるようにしていれば出来るけどね。まぁ、電波が届かない場所多いと思うけどね………それに、壊れたら鉄なんかは手に入ってもビニールなんかの配線系やらは手に入らないからね、注意するんだよ。』


まぁ、その内彼にもスマホのオンラインゲーム以外の楽しみが出来ることだろう。


『え?食べ物?まぁ見た目は変わってもこれまでと同じ様な物は食べられるよ。材料もむしろ増えるかもしれないしね。というより君は惜しかった。バナナはおやつに入りますか?を言ってくれたらバナナの缶詰一年分を持って行かせたのにね~。』


おいおい質問に面白さを求めるなよ………生徒達は全員急に転生する事になってものすごく不安なのにお気楽さを求めるなよ。ちなみにバナナの缶詰って300円以内に入らないと思うのだけど。


まぁ流石に友人から五十円で買いましたとかという頓知は通用しない世界に行くだろう。俺の小学校時代の思い出に300円を越えた生徒の菓子が没収されてから全校生徒が静かになるまで十字架に磔にされていたのが印象に残っている。


ちなみにそんなバカなことをしていたのは俺の幼なじみの一人、奈々ななむら 隼人はやとである。コイツの両親は普通だが本人は中学時代にバドミントンで全国大会ベスト4になるほどの実力があり、それで特待生として入学してきたのだ。頭は少々残念な事もあるが、かなり明るく、モテていた。ちなみに隼人は俺の一つ上だ。


『あ、転生先はクラスというか建物事に分けようと思ってるよ~。流石にここの全校生徒820人と教師280人、用務員60人の計1160人をまとめて一つの国に送ったらパニックになるじゃないか。だから分けさせてもらうわけ。』


この高校は一般校舎と特待校舎があり、それぞれ二階と三階が教室、一階には理科室などの施設があり、専門分野の授業の際は特待校舎に入ることもある。他にも様々な棟が存在している。


まぁ特待生というのも家柄+成績+スポーツの成績+その他の経歴が学校の決めた基準を上回ればなれるだけである。

そのために俺は後少しの所で特待生になれず勇ノ宮は家柄のみでもう少しの所だったために同じクラスなのである。


まぁ、勇ノ宮はハッキリ言ってしまうと成績は良くなく、スポーツは出来る物の素行が悪く大会にでられなかったというためだ。


『先生方はカジノが山一つ超えた場所にある所って決めてあるしね。じゃあ、転生を始めようかな。』


そんな呑気な言葉とともに、光を纏った魔法陣が教室の床に設置された。いよいよ転生が始まるのだろう。

「な、なぁ、俺達ってどんな立場で転生するんだろうな…………?」

「絶対に俺が勇者だっつーの!!な、北斗、晴也!!」

「そうだな!!若!!若はもうモンスターを殺すことに戸惑いも感じないでしょう!!」

「そして魔王倒して豪遊しようぜ!!なぁ!!」

勇ノ宮とその取り巻きが笑っていたが、他の奴らは完全に怯えていた。まぁ、行ってから数時間でそれも無くなるだろうけど、よっぽど酷い扱いを受けなければ。

そして、光が大きくなり、他の奴らが見えなくなるまで光が眩しくなった。………光がやんだ頃、クラスの奴らは全員転生が完了したのか、姿が消えていた。


……………………というか、死にかけていたからという理由なのか、俺は完全に置いてかれていた。いや、魔法陣の中にいなかったわけではない。これは分かっている。なのに、なぜ転生させられなかったのか?………分からない、訳が分からない。置いてけぼりにされて、ただ一人で俺はここに残れというのか。くっそ、せめて同じ次元でアイツ等と死にたかった。


流、隼人、奈津なつりん……………………長く顔を合わせていなかったため、せめて最期に笑いあいたかった。


早瀬はやせひびき………同い年で一緒に受験を頑張って、そして最期に会ったのは入学式の後だっけ…………。ゴメン、また会えなくて。


そして、俺の一つ年下で、ずっと傷だらけの俺を心配してくれていた、真琴まこと……………せめて、アイツにだけはちゃんとお礼を言わなきゃいけなかった。本当にゴメン。アイツにだけ自分の本当の事を打ち明けていて、それで慰めようとしてくれていたのに、それに応えられなくて…………。

そんな後悔を感じながら、俺は目を閉じた。…………その時になぜか腹に滅茶苦茶痛い衝撃があった。血は出ていないだろうが……………必死に目を開けると、なんかいかにも『RPGにありがちな正体不明のローブの人』がいた。え?何?俺だけなんでこんな事になってるの?そう思っていると、ローブの人は口を開いた。


「え~っと、とりあえずこの人は………転移系の転生者としてでは無く、死んだ後に転生する方がいいのかな?いや、その方が良よね………じゃ、魔法陣を体内に施した事ですし、さくっと転生してもらいますか!!3・2・1!!ハッ!!」


………………せめて、中二臭くても構わないからもうちょっと緊迫した掛け声にして欲しかった………。そう思いながら、そっとこの体から意識を無くした。



また、別の姿になったとしても、アイツ等にはまた会いたいなぁ…………。そう思いながら意識を途絶えさせた。



『今日、○○高校で集団転生が発生しました。この現象は世界で3回目となります。そして、転生がありもぬけと殻となったはずの○○高校に、○○高校一年生の夜桜よざくら あんさんの死体が発見されました。死体の近くには彼の殺害に使用されたと推測される血痕の付着したナイフが見つかりました。そのナイフには勇ノ宮グループ社長の息子の指紋が検出され、その後防犯カメラからの映像などで、夜桜さんに陰湿ないじめを行っており、ついに殺害してしまったと推測されています。この件について勇ノ宮グループ社長は自分は悪くない。息子の思い人を誑かしたなどの言葉を言っており、それについてかなりの迫害を受け、社内の各部門のリーダー等は独立をすると発表。食品関連のリーダーの政野氏は「もう恩義を感じなくなった。このような非人道的な言葉を吐く男だとは思っていたが、今回の件で完全に着いていけなくなった。」と申しており近日中にも勇ノ宮グループ自身が倒産する恐れもあり………。』



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